ふいに年経た恋が訪れたんだ真夜中に
小川をはさんで納屋の二階の窓際に立つって
その白い歯に魅せられたんだろうね
きみが思い出せる恋ってやつは
蓮華みたいに咲いて実を結ぶ
きっと誰だってそ ....
批評祭から遠くはなれてみる。
アフリカじゃ紛争が終わりそうもないし、パレスチナなんて終わりもまったくみえてこない。
一方で、キャンパスでメシ食ってのうのうとしてる奴だっているし…たぶん私だってそう ....
反射熱――りふれくと――Reflect
Reflection――反射、反射熱、影響、現れ、映像、鏡映
谺を返そう。それもより大きく、その熱にやられないように大きな熱量をもって。“りふれくと” ....
寝たきりの祖母が一週間の大半を
天井を見て過ごすことがかなしい
私の顔も忘れた瞳が
時にきれぎれの記憶を思い出す
その輝きが
新しく覚えることがらを無くしても
ふと寂しさを宿して見える ....
のぞいてごらん、おまえは蓮華畑で興奮している、鼻腔を刺激する春の芳香のなかで、何かを追いかけ、また何かに追われて、ちいさな蓮華の花を踏み潰すたびに熱くなっている、いけないことをし過ぎて気持ち良くなった ....
椿の花が首折り零れ 足踏みしていた夜が 膝を抱え込むように小さく、小さくうずくまって いつの間にか シャボンのように消えたので 蛇口を捻って顔を洗い、手に掬った冷たい水を飲んでから、一万、四千二百、十 ....
器の
壊し方を知っている
けれどもわたしは
外側にいない
器の
壊れ方をおぼえている
けれどもあなたは
内側にいない
朝と呼ばれるものや
愛と呼ばれるもの
....
やさしみの
さかなが
しずかに
みなもをおよぐ
やわらかな
さざなみは
しあわせなきおくを
みたそうとする
やきつくされたあさ
さいれんがなりひびく
しきはまた ....
ゾウが支える世界の右で
小さく小さく座り込む
静かに赤い太陽が
ゾウが支える地面の下に
ゆっくりゆっくり、潜ってく
ゾウが支える世界の右で
夕日と虚無を眺めます
....
パンの いる 午後
滑るように わたるように 遠投...
その 距離は 長く 零の領域で 黙秘 して いた
コバルトの 蜃気楼の むこう から
泣きながら 出て い ....
真夏に日車は、咲いている
雷鳴の空を裂く。
轟音で目を覚ます
一輪車に稲光りが青白く反射する
一瞬で葉陰の殻は黒焦げになり
焼けた臭いに鼻をひる
傘の骨はしろがね色で
{ルビ死灰 ....
{引用=
***
}
ラ. ラメント
風、蕭々と吹くばかり/か
泣いているのかと思えばそれは
馬頭琴であった
海から遠いというのに
天地逆転すれば
空でひと泳ぎできるものを
土 ....
テーブルに置き忘れたメモが朝を捉え損ね
誰かの起こした風に遊び散る
それは断層にしがみついた学者の手の中で
ありふれた三葉虫や瑪瑙にうまれ
ひとつとして同じ気配でないが
またとない程の発 ....
この草のにおいを意識し始めたのは、
いつからだろうか。
翳る当為が、こおりのように漂い、
透きとおる幻視画のような混濁のなかで、
きみどりいろに塗された、切りたつ海岸線が浮ぶ。
冬の呼吸 ....
明日の夜 君はきっと 僕に似た女の子とキスをする
月の光りに照らされて 綺麗な影が伸びるだろう
僕が嘘をついて 君が嘘をついて
ふたりがうまくいくのなら
良いんじゃないか
....
「序詞」
ゆりかごの中で
小さな戦があった
理不尽な理由とプラントが
長い海岸線を覆いつくした
けたたましくサイレンが鳴り響き
その海から人は
眠りにつくだろう
....
あたしは河だった。
両岸の、
親族と参列者を満たす河だった。
あたしは、
泣いて、
泣いて泣いて泣いた。
やがて涙は両岸に溢れ、
氾濫し、
洗い流した。 ....
真っ赤な帽子をかぶって
自転車に乗って
川沿いを走る
そのあとには
くちづけだけが残る
彼女は 詩だから
彼女は 詩だから
窓辺にアリスとかハートのクイーンを飾る
....
?.
星を
呼べるんだね
あのロバ
ほら
また流れたよ
願い事三回は
いじわるだね
静かにしていよう
叶わないよ なにも
どうせこれ以上
たどり着こうとして
....
?.
眠っているとき
おまえは
ほんとうだから
なあ
なんで
眠っているときだけ
おまえは
本当なのかな
?.
....
くろに燻ったぼくのいかりと、きのうのゆめが
ちらかったなつのよる、小さなさんぶんをぬりつぶします。
くれよんとかえんぴつをなめて、蛍のうみをえがこう。
あじさいのはなびらが、 ....
・
女子高生のルーズソックスの中には
何が入っているのだろう
はるか昔
恐竜が生きていて
まだわたしが女子高生だったころ
何度もルーズソックスを履こうと試みたが
あの絶妙なふくら ....
散弾で撃ち抜かれた無数を胸に見るや
目を瞑り落天してくる鳥々のこれ
演じる躯
燦とぶつけて
それが同じ軌跡を描けない
きみは風切りを整えられた渡り鳥
飛べない指が指に重なりまだの空を辿る
....
夕暮れ色の飛行船、
たくさん空に浮かんでいたけれど
空と一緒の色だったので
誰にも気付かれないままでした。
*
毎朝、起きたらすぐに顔を洗います。
....
きょうハルミちゃんがくる
あたしにはおねえちゃんがいないから
ハルミちゃんがおねえちゃんのかわりとか
そんなたるいりゆうじゃない
だって妹にとってあたしはそんななまやさしいものじゃないし
....
君は
君の家に入らない
雨が降っているというのに
軒下の風を嗅いで前足を舐めている
私の上には屋根があるので
髪に降るよりも
雨は、
硬質な響きで
音の羅列を渉っていく
....
いっしょに
空を飛ばない?という声に
ぼくは怯えた
だけど
あの雲のうえには
どんな花が咲いてるのか
ちょっと知りたかった
そういえば
この ....
1
・
・
羽虫の亡骸が
そらに・うかんでる
・
・
・
親指と
人差・指でつまむ・
....
とおくみつめる
あの秒針の刻む音が
きこえるほどの しずけさで
あやしくぼんやりとした曇天に
にじむ光の粒子を
私も刻む
時のまなざしは熱かった
始まりは、秋の縁側で
ぶらさがっ ....
換気扇の音が気になって眠れないよ。
そういう君のいびきは換気扇の音よりはるかに大きかったけど。
僕は換気扇を止めてベランダで煙草を吸ったんだ。
角を取るなんてズルイ。
そういう君には一 ....
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