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雨の匂いがする
川沿いを下る道すがら
梅も桜も木蓮もまだ閉店中
一度に咲こうとしめし合わせているのだ
雨の匂いがする
....
朝日はね
特に良く晴れた日の朝日はね
そりゃあもう別嬪さんで
たったひとりで見ていると
もったいないような
独り占めできてうれしいような
不思議だね おれは
新しい朝と結婚したくなっちま ....
ひねくれて咲いた花は
つまらない冗談を浴び
触れない風潮にそよぎ
良く肥えた嘘に根を張った
罌粟より見開いて
月よりもあぶなくて
桃よりも貪欲で
嘘のようにやわらかい
....
インターホンの向こう
奥さんの返答が聞き取れなくなる
営業妨害の嫌なサイレンだ
気がつけば風にのって煙の臭いが満ちてくる
ますますサイレンが近づいて来た
火事だ!
道路向か ....
冷たい雨が降ってきた
おれは黒々と木のようで
心臓だけがガス灯
何を照らすでもなく ぼんやりと立っていた
小さな春は震えていた
おれの心臓に寄り添い 冷え切ったからだを温めた
....
時折 背負った荷物をすべて下ろしたくなる
そしてまぼろしの中の風のように
異邦人たちの衣を揺らしながら
何も持たずに消滅したい
時折 鳥となって旅路の終わりへと飛び去りたくなる
....
四月 灰色の午後
湿った雪が舞っている
人生で何度目のことだろう
心は鉛の錨となり
失望の海に深く下ろされてい ....
いつも表情を崩さない
お利口な君のこと
そりゃあ嫌いじゃないけれど
中身をちょっと覗いてみたくて
一刀両断!
スパッとやらせていただきました
中ら出たのは意外や意外
小粋なドレ ....
突風が春の入城を告げ知らせ
冬の残党は最果ての地へと追われて行く
変わることなく季節の車輪は廻る
時のレールを 一方向に
樹木もまだ裸のころ
花よりも先に咲く少女たちは明るい色の服を纏い ....
「……殺して 早く」
「何も 殺さなくても」
「いいから殺して! 」
「ねぇ 見逃してやろうよ」
「"それ″私のどっちが大切なの」
「そっ そん ....
夜明けの明けの
ほのあおい闇と光の均衡に
無垢なクラゲが部屋を舞う
流れるままに漂って
夢から溢れたクラゲが舞う
夜明けの明けの
ほのあおい夢とうつつの端境に
大きなクラゲが天井を過 ....
両の窓から見えるものはみな不確かで
ぼんやりと光に融け出しているようだ
心は焦げ付いた鍋のように
そのまま冷たく放置されていた
杖をついて
時が行き来する
昭和 ....
エイハブの 煮えたぎる執念はない
サンチャゴの 生業における死闘もない
ただほんの一瞬
銀色の飛沫 宙に身を躍らせた
美しい魚の姿
七色の光の欠片をまき散らし
碧き海原に滑り込んだ
海の ....
あと 一つ
それで完成
そう思った瞬間
倒してしまった!
しゃっくりみたいな声を一つ漏らして
あとは動けない からだがこわばって
ドミノは時間を遡り
駿馬のように駈け上る
....
学園都市線の高架下
灰色の橋脚に二羽の鳩が仲睦まじく
寄り添ってはキスをして
激しく身をよじってはまたキスをして
やがては重なり 羽ばたきながら
気の早い春が固い雪を緩め
茶色く水っぽ ....
太陽を食べながら
冬晴れの冷気を泳いで行く
空に笑いかけて
わたしは噴水のように歌っている
土地っ子のヒヨドリも
旅行者のツグミも
わたしとともに歌っている
白樺も我を失うほどだ
....
山砂はもうない
海砂ばかりが浚われ
洗われ
遠く運ばれ
混ぜられる
ごくありふれた砂粒に時折混ざる
貝の欠片の白い顔
ガラスの名残の澄んだ瞳
際立つ別嬪な粒子たち
僅かに
微かに ....
人生は手紙
読み進むごとに
春夏秋冬喜怒哀楽
答えは最後のお楽しみ
人生はビリヤード
当たり当たられ飛んで行く
誰が誰を動かして
こいつがどいつに影響されたか
白玉だって分かりはし ....
こんな朝に
カラスのカの字もありゃしない
太陽はふやけた面の木偶の坊だ
白い国道の上
黒いおまえは完全に死んでいる
暗がりのおまえは
いつも何かを舐めていた
おまえが前を横切る時には ....
ない
時間がない
眠りがない
ことばがない
つく 嘘もない
打ち明ける 真実もない
積み上げる 思想もない
吐き出す 幽霊もない
絶叫する 空白もない
....
今夜こうして詩を書くけれど
世界中にある様々な不条理や
悲しみや痛みを知らない訳ではない
この国を覆う様々な矛盾も
今こうしている時にどれだけ多くの人が
不安に慄いているかも
ただ今夜 ....
どうもはじめまして
わたし「くまちゃん」と申します
とあるアパートの集合ポストの上に置かれ
かれこれ一年くらいでしょうか
わたしが「何か」と申しますと
まあ一言で分かりやすく申しますなら ....
吹き荒ぶ二月の夕刻
山裾の疎らな住宅を
訪問営業でまわるのは
実に 切ない
長靴ギリギリの雪をこぎ
通りから玄関までの細道を通りぬけ
もはや顔面がかじかみ
鼻水が垂れている感覚すらない ....
寒さが緩むと
凍りついていた月光が溶け出して
暗い穴の中にも
虫たちの道を通って
滴り
滴って
ヒグマは
浅い眠りの中で
霞がかった
春の野山を
夢に見る
....
まだ
誰一人として
踏みしめてはいない
ふわりとした新雪のままの
土手に重なって 遥か遠く
超然とした白雲が広がり
それを 微かに淡い
冬の空がつつんでいる
こがね色の午後の日差し ....
降り続いた大雪は止み
白く埋もれた住宅地が
青く澄んだ空に覆われている
朝は
つめたくて
まぶしくて
目が八の字だ
ビルのない地域にただ一つ
すっくと立っている
ごみ焼却場の煙突 ....
あなたという詩集を読む
ページをめくるごとに
あなたは姿を変える
それは紛れもなくあなただ
湖面に張った氷の下で
微かにあなたの体温を感じている
あなたはぼくをぎりぎりまで追い詰める
....
心の奥底から
ぼこん ぼこん
呻くように
呟くように
一つ
また一つ
上がってくる
白いあぶくを
押しつぶす
日々の生業に
心を添わせようと
外側は
辛うじて
規格品 ....
月は敵でも味方でもない
その光は冷え切ったこの身を温めてはくれない
ただいつも美しく
いつも見つめてくれるだけ
月は訴えることはしない
だが証人にもなってはくれない
寡黙な隣人だ
星もそ ....
長年やってきた
自分というものを
衣服のようにスルスルっと
脱ぎ捨てられるなら
別の物語の主人公にも
なれるかもしれないが
すべてを新しくしたつもりでも
自分という本質は変わらない
....
北大路京介さんのただのみきやさんおすすめリスト
(400)
タイトル
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カテゴリ
Point
日付
_いつかは虹を見るだろう
-
ただのみ ...
自由詩
12*
12-4-26
黄金の花嫁
-
ただのみ ...
自由詩
28*
12-4-22
時代の日陰の奇妙な花
-
ただのみ ...
自由詩
14*
12-4-18
その笑顔が忘れられなくて
-
ただのみ ...
自由詩
14*
12-4-16
つぐない
-
ただのみ ...
自由詩
22*
12-4-13
乖離したものが_いま_月のように弧を描き
-
ただのみ ...
自由詩
26*
12-4-9
__尽きぬ恵み
-
ただのみ ...
自由詩
20*
12-4-7
マトリョーシカ
-
ただのみ ...
自由詩
18*
12-4-3
遅れる時計
-
ただのみ ...
自由詩
15*
12-4-1
今は家族で一人だけ
-
ただのみ ...
自由詩
11*
12-3-28
潮流
-
ただのみ ...
自由詩
14*
12-3-22
春の悲哀
-
ただのみ ...
自由詩
13*
12-3-14
魚の群を追いかけて
-
ただのみ ...
自由詩
10*
12-3-10
時間ドミノ
-
ただのみ ...
自由詩
16*
12-3-4
鳩は人より情熱的だ
-
ただのみ ...
自由詩
16*
12-3-1
輝く日に
-
ただのみ ...
自由詩
15*
12-2-29
一個の孤独
-
ただのみ ...
自由詩
13*
12-2-26
人の数だけいろいろあるけど
-
ただのみ ...
自由詩
20+*
12-2-23
ジンクスが死んだ朝
-
ただのみ ...
自由詩
25*
12-2-19
ない
-
ただのみ ...
自由詩
20*
12-2-16
すこし話しがしたいんだ
-
ただのみ ...
自由詩
16+*
12-2-13
完成品
-
ただのみ ...
自由詩
14*
12-2-7
かまぼこ型_どんぶり型
-
ただのみ ...
自由詩
19*
12-2-2
浅き眠りに見る夢
-
ただのみ ...
自由詩
12*
12-1-22
美しいものは流転する
-
ただのみ ...
自由詩
12*
12-1-19
白いけむりの風景
-
ただのみ ...
自由詩
9*
12-1-14
あなたという詩集を読む
-
ただのみ ...
自由詩
20*
12-1-12
この海は深く呼吸する
-
ただのみ ...
自由詩
12*
12-1-8
すべてが敵でも味方でもなく
-
ただのみ ...
自由詩
14*
12-1-3
新しい年も続きを生きる
-
ただのみ ...
自由詩
10*
11-12-31
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
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