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父の死後 葬式が終わった次の日から
働きに出た私を 奇異の目で見る人もいた
供養が足りないと 言う
しかし 私は働きにでて良かったと思う
泣いてもわめいてもどうにもならないのだ
日常を取 ....
父は修行中らしい
はじめての経験だから
父も大変なのだ
だから みんなで助けて
供養して下さいと
和尚様が言う
およばずながら
いちの子分 長女 私
そのに 長男 次男
そのつれ ....
桃の実をすぐるため
はしごに登って高い枝に手をのばす
少し時期が遅くなったので
実はピンポンボールのようにまで
大きくなって 枝一杯になっている
このままでは多すぎるので
適当な間隔を ....
狩りは かかとで 踏んでから
継ぎ足す糸屑 齢にかけて
後の視 留守居に 枯草つむ風
狩りは 掛かりに 放らして
かりは かかとで ふみえ みち
あさのは ゆめのき なきわ こるいし ....
光では消える
だから 灯りを
照らすという意志が欲しい
だから 灯りを
ともすという力が欲しい
だから 灯りを
暗いものが見えるだけでも
心の灯り
たきつけているのは ....
誰も ほどかなかった
包んでいる紙は しわができて
セロハンテープも 古くなり
リボンも 色をなくし
誰も ほどかれなかった
空にも風にも 雨にも土にも
できない事
今日 ....
さからう ゆだねる
かいなく よそごと
こらえて の こす
そしらぬ わたり
ひより びより さえずり ともし
むかえて ふりだす
くさむら やぶやら
育てていた蜜蜂が 熊に襲われた
蜜を狙って巣箱を壊し 女王蜂も食べられた という話
熊って 蜜だけじゃなく 蜂も食べるの?
食べるらしいよ それ以来 蜂が怖がって
外へ蜜をとりにいかなくて ....
ほとり 泉に 群れ 飛ぶ月の 彼方
行方 揺れる しぶき ふける 風に
釣り込まれる 草葉 影音 臥せ 夜
咲いて 咲いて 残す ひき むろ
小石に かせ 花に かせぬ 夢土
....
黄色の帽子をかぶった一年生が
朝の登校の集団に 交じっている
今時はピンクのランドセルもあり
小さな背中一杯に背負い込んでいて
初々しさに 車を運転しながら
自然と微笑み 見ようとしたが ....
つぼめて 槍のように立つ
咲いたら 雪にとらわれ
爪の先 包み乞う 花びら
紫 赤 黄色のスクリュー
破る葉と土 ほどけた傾斜
雪の香りに 身をひめる
....
木の皮に こもった熱が
少しづつ 雪を溶かし
陽射しが 波紋のように
幹の根元を まるくあゆむ
溶けた雪は水となり 土にしみ込む
しみこめない水は 雪の下をたぱたぱ流れ
水の膜 ....
今年はじめて モンシロチョウを見た
まだ畑には雪がかなり積もっていて
道路や地面で アスファルトや地面が
見える所はあるけれど 花は咲いていない
蜜はまだないよ
ひらひらと 春めいた陽射 ....
杉の木から 吹き降ろされた雪が
荒れる風に乗り 空気になだれる
開けた戸から数歩
白く 冷たく
散らされる雪と
ふらり 共に立つ
お迎えに参ります 春
背中にかぶさる重さも
....
書籍小包が届いた 見慣れた宛名の筆跡に
若い頃作っていた詩集の メンバーからだとわかる
が 差出人を見て ドッキリ
初めて見る筆跡と 女の子の名前
娘さんから 私への贈り物であった
童話 ....
雪についた風は 凍りの匂い
立ち上がって ひっかく
かわいてかたい ぽろぽろ
溶けながら指を食む
刻みつけられ 冷たさを
から から
頬から
押し付けて とどめる
残され ....
晴れた日 銀の洗濯棒は陽射しに熱され
光を宿し 立ち尽くしている
光を受けない所は 銀棒のまま
横にかけられた 渡し棒とまかれた鎖を支える
重しにはめこまれ 土の上に立つ洗濯棒
洗濯物が ....
権利にゆるキャラん マスコットくっつける
ふさふさするの 指よりこだかい風に住んでて
かかせないものが重くって
踏めない道草が悪そうに笑う
染み付いてしまっても
ショルダー バック ....
降り続く雪に 何かあったのか
急に停電になる
夜の十時を回り 真っ暗
のはずだったが ほのかに明るい
雪明かりが 窓の外から輝いている
どこにもやりどころのない雪が
家の回りに山の ....
海を知らないのに 波のように
風に這われた雪が空中に駆け上がる
道路から 枝から 積もった雪の壁から
風の爪となり 冬の刃となり
波から眼をそらせば とらわれたハンドルが
凍る道に ....
苦しみが二つあるのもいいものだ
一つの事だけ 思いつめていられない
じっくり向き合ってもいられない
さあさあさあ
最大の苦しみにあうまで
練習しておこう
苦しみながら 生きる術
....
指のとどかない所に 風が吹きつける
残る葉は からくりに寄り添い
ほどこしに 目をあけない
脈が 望みを往く
土に 酔い交じり
ひかるのは星だけと
枝の夜は ふける
雪を水に入れると 水になるように
水は氷に 雪水はつららになるように
死ぬことも生まれることも生きることも
体を通るものの 変質なのだろうけれど
心は 消えても響く
共にと思う幻想に支えられ ....
小さなツリーに飾りつけ ケーキを食べて
プレゼントを期待して眠った子供の頃
夜中に聞こえてきたのは 言い争う声
弟達は眠っている 耳をすますと台所で
父と母が言いあっている
なんだろうと ....
吹雪く雪の中 飛ぶ白い羽音
ひき風 ひと飲み
とどろく 心臓の火
まつげに擦られる 粒氷
ひりひりと まっすぐに溶ける
荒れるな 空
痛めた体を 巣に眠らせるために
銀河吹雪 渦 ....
この曲は アフロ・キューバンのリズムで
と 演奏の方の解説を聞き 苦笑
アフロ・キューバと 聞き間違えて
詩にまでしてしまった
でもアフリカのリズムである事はあっている
いや別に 勝気 ....
バイクの後ろに乗せられて バイバイと
母の実家に行った 四歳の頃
家族と離れて 初めて一人
そんな自覚もないままに
しーんとして広く感じる居間や台所
少し高い所にある黒電話をみつめた
しば ....
聴いた事のない曲が林檎畑に流れる
トロンボーンを演奏する甥の次の音楽会での曲
雨空だったので雨合羽を着て
林檎の まだ青い部分が日にあたるようにずらし
脚立にのぼって 葉をかきわけつつ
かた ....
湯気のゆーちゃん 御茶碗に腰かけ
はみだしたつま先で ほっぺにちょん
冷たかった 指も冷たかった
窓を閉めても 重ね着しても
ふとんかぶっても 冷たい
両手でおちゃわん握りしめた
....
うちこわしの時がきた
半径 ところどころ
直径 つきのわ くま
飲み込んだ夜 ゆれ
ツマンダ ページ 落ち
ふてくされて おひまなうぶ
せとものに つまようじ
焼かれていたよな
....
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