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足を拾いに行きました
海の匂いのする街でしたが
この街に海はありませんでした
足を拾いに行きました
この街にも海があればいいと
子供の頃から思っていました
父に海をねだったこともありました ....
「ヘンリーってのは
 どこの国のサッカー選手だい?」



ねえ、母さん
ヘンリーはアイルランドの選手だ
ヘンリーはアイルランドのカレッジのチームで
今日もベンチを温めている
ヘンリ ....
遠い山の向こうへと繋がる
七色の虹を
その人は背負っていた
重くないですか
と尋ねると
その人はすこし微笑んでから
紺色を私に手渡し
故郷の虹は六色でした
と寂しそうに呟いた

空 ....
きみは激しく泣いていた
初めて背負う肉体の重さと、
もう止まることのない時間の速さに怯えて
予想もしていなかった祝福と、
手荒い歓迎の痛みに驚いて
きみは激しく泣きながら産まれてきた

 ....
同期の桜が散ったから、夏
些細な変化は時計によく似ている
受付の女の子は
朝からずっと
体温計を口に咥えたまま
お客さまの顔を忘れ続けている
(ところで、その娘の名前が思い出せない)
喫 ....
先生をビーカーに入れて
塩酸で溶かすと
同じだけの虚しさが
胸の中に生まれた
誰かが
質量保存の法則だ、と叫び
それはたぶん正しいことだった
その日
トスカーナ州の子供たちは
ピサの ....
水平線に帽子を被せている人を見た
世界と対等に向き合うということは
それほど
難しいことではないのかもしれない
子供たちに蹴飛ばされた波が
海の向こうで
砂浜に描かれた絵を消している
 ....
庭の土を耕して
人差し指で穴を掘り
ヒマワリの種を植えたのが五月

まいにち
土の湿り具合に神経を尖らせ
やがて
いくつかの芽が出ると
お気に入りの芽を一つ残して
あとは全部引っこ抜 ....
なぜそこに居るのか分からなかった
気が合う仲間たちから離れて
早く一人になりたかった
そう思えば思うほど
一人になることが怖かった
通いなれた八王子の雀荘に
喪服姿の若者が四人

「最 ....
戦争が終わって
俺は窓辺にサボテンを飾ってみる

戦争が終わって
俺は愛のあるべき形を知ったのだ

戦争が終わって
俺は誰も彼も愛しまくる




 フィルピンパブで働く女を
 ....
好奇心が連れて行く
マカロニの穴の向こう側
あなたが筏を浮かべる海は
塩っ辛い
涙のように溢れ出し
沸き立つその中へ
マカロニを放り込む
あなたの胃の腑めがけて
エレベーターの中で
「開」というボタンを押すと
涙が止まらなくあふれ出た
何かを受け入れるということは
何かを拒絶することと同じくらい難しい
一人またひとりと乗り込む人を
か細い指で支えな ....
戦争のあとにはいつも
殺されなかった死体が転がっている
それが君の言うところの
正しさなのだろう

ぱたりと本を閉じる
車窓の外へと目を移せば
淡い色の田畑が広がっている

「次 ....
北大路京介さんのTsu-Yoさんおすすめリスト(13)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
帰郷- Tsu-Yo自由詩1108-1-4
HENRY- Tsu-Yo自由詩10*07-7-8
考察_〈野原にて〉- Tsu-Yo自由詩907-7-4
今日、産まれたきみへ- Tsu-Yo自由詩8*07-6-24
考察_〈会社にて〉- Tsu-Yo自由詩407-6-12
考察_〈理科室にて〉- Tsu-Yo自由詩12*07-6-7
考察_〈海辺にて〉- Tsu-Yo自由詩2007-6-4
バス停- Tsu-Yo自由詩1307-5-28
麻雀- Tsu-Yo自由詩2007-5-14
終戦- Tsu-Yo自由詩1307-5-14
マカロニ- Tsu-Yo自由詩407-4-24
エレベーター係- Tsu-Yo自由詩1807-2-9
1両編成- Tsu-Yo自由詩2006-12-26

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