女はわたしといっしょに海の中に入りたいと言った。女には尾びれがあり、わたしには足があった。わたしたちはあのとき、海に入っていった。女が先に進み、わたしは後ろからついていく。波が胸元まで来たところで、 .... 俺は時計を持たない営業部員でつまり仕事ができない
もらい物の手帳に不明瞭な単語だけ書きつらねて
昼間を秋葉原で過ごし歌舞伎町に立ち寄ってとにかく帰ってくる
今日は何本のエロビデオを店に突っ込んだ ....
風の音。わたしは平野に立つ。西の空は錆びた色をしている。

離れたところ、陸橋に車が列を作って走り去る。月が風に揺れている。風の音が、遠くの車の音が、わたしの耳の中の音が、入り交じっては、かき消さ ....
 
歌と踊り
    
                失った恋人に



歌と踊り1



それはむかしの
それはお ....
肌を、エア。気づくとイラつく太陽は頂上。知らずのぼくらの、ここそこあそこを均等に、均等に照らすのでした。光、光光、だから見えるってさ。記憶って、街中に溶けて流れて固まってつまり建物とか電柱とかそういう .... 羊歯が葉を裏返し
白い歯を見せて笑う
日陰の庭で
ちいさな神様が
泣いている

山じゅうの
虹を融かしこみ
熱い涙をながし
泣いている

(ちいさな神様の
 まっかな
 まっ ....
残業もそこそこに
今夜もいそいそと帰ってきた
玄関のすぐ脇の部屋で
かつて母だった生き物が
また呻いている


父の三回忌を済ませた頃から
母は溶け始めた
ビデオテープのように過去を ....
ある時ダヴィンチが
金魚鉢を眺めていると
金魚がウインクしたので
「魔が差したんだろう」
と思った


またある時ダヴィンチが
散歩をしていると
電信柱がおじぎをしたので
「人 ....
--僕の、美しい人の話をしよう。

さっきまで、おしっこみたいな雨が降っていたのに
太陽の奴ったら
まるで君の妹のように、甘酸っぱい笑みをうかべて
うそみたいにけろっと晴れちまう、
なんて ....
どうにもやるせない自転車です。雨水の玉つぶてなサドルの革を「そうでもなく茶色だ」と言って、拭き取ればままよ、と走りました。光、スロウ、アウェイ。そして溶解するするりとした残像を肴に、ウィスキーに言い訳 .... 風の強い夜だ
下弦の月のまわりに
虹色の光の輪を作っていた薄雲が通り過ぎる
窓辺に焼きついた油色の日々が
ガラス板から流れ落ちる

星々がさわさわ震えている

明滅する交通誘導棒を持ち ....
体中の
キズを辿る

一番大きいのは
三歳のときの
やけどの痕

足だから目立たないのに
ママは
いつまでもいつまでも
ごめんなさいと
言う
もうこの子は
結婚できないかと
 ....
左目を右目にあげたのに
右目は涙を流さない


目が覚めたら一緒にごはんを食べよう
そう書いた手紙を残して
眠ったまま逝った人の声が
もう一度どこからか聞こえてくるまで ....
 
道端で
ガードレールを呑み込んで
冬の蛇が死んでいた
白く 汚く
冷たく 硬く
すべてに背中を向けていた


ひとりの少女が泣きながら
蛇の頭を撫でていた
私は言っ ....
白 灰 午後 虹
放られたままに響く冬
窓に映る野を馳せる
手のなかの声 粒の声
まわる色 重なる色
水に濡れた小さな神話の
終わりとはじまり


陽から降りつづ ....
たくさんの雀が
それぞれの空を持ち
わたしの内をはばたいている



淡い羽が 喉を昇り
外に出て 腕に乗り
別の色の 空へ帰る

繰り返す



今ま ....
エミリー
あなたと最初に出会ったのは羊水の中
あなたは何も言わず
私を蹴って押し出してくれました
あなたはそれっきりそのままで
難産だったと語る母にあなたのことを訊いてみたのです ....
塩水和音さんのおすすめリスト(137)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
霧(ミスト)_(連作7)- 光冨郁也自由詩9*05-2-5
(自己紹介のかわりに)- 古溝真一 ...未詩・独白3504-11-4
平野- 光冨郁也自由詩6*04-10-10
歌と踊り- 渡邉建志自由詩7*04-10-9
エア・エア- nm6自由詩1604-9-23
八月- 青色銀河 ...自由詩704-8-1
肉じゃが- 窪ワタル自由詩60*04-7-31
ダヴィンチの怪- たかぼ自由詩1904-7-21
『虹のように犬のように、』- 川村 透自由詩804-7-2
光、スロウ、アウェイ- nm6自由詩5204-6-10
夜警- ダーザイ ...自由詩24*04-4-5
勲章- チアーヌ自由詩6*04-4-2
ノート(右目)- 木立 悟未詩・独白704-3-15
ノート(冬の蛇)- 木立 悟自由詩704-1-17
降り来る言葉_Ⅹ- 木立 悟自由詩503-12-26
ノート(雀)- 木立 悟未詩・独白403-12-18
エミリー・エミリー- いとう自由詩63+03-11-24

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