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踊る阿呆見る阿呆つれて飛んでゆけ
雨くわえ曇すててゆく鳥の群れ
風ふいて燃えないゴミの笛ひびく
人のこと言えない自分ふくれゆく
言えぬまま言おう ....
無音が無音をわたる波
青空よりも遠い青空
どこへもたどりつかない坂を
息つぎだけがのぼりゆく日
雨は生まれ 雨は消え
雨は雨を巡っては消え
坂を駆ける髪と背に
翼の苗 ....
つきあたりの家
つきあたりの家
風腫らす路
つきあたりの家
音のない日の
痛みある日の
片足立ち
つま先立ち
雨とはわからぬ
雨まじりのまぶしさ
午後の ....
考えが考えになる前の
弱くふわりとした場所の
まるい{ルビ柔毛=にこげ}に浮かぶまぶしさ
手のひらにのる
手のひらを吸う
ふたつに分かれた音のひとつが
もうひとつの背を ....
三つの蝋燭が
互いを溶かしてかがやいている
まぶしさを覆うまぶしさが割れ
雪に重なり降りおりている
ふせた手帳から漏れ出す音
窓に凍り
窓を作る
花は花に会うため ....
夜の硝子
朝の氷
はやく溶けるのは
(指)
祭壇の上
振り払われた火
煙の行方は
(川底)
ひとつ
かけらが降る
ふたつめは
(手のひら)
....
すぎてゆく
すぎてゆく
小さなものたち
大きく見えても
小さなものたち
右ききの車輪
すべらかに
音もなく溝をはずれる
いくつもの
右ききの車輪
容れも ....
うなじにもいて
みぞおちにもいる
雨はいろんな速さの生きもの
応える声に重なってゆく
肌をついばみ
葉のようにすぎ
甘く指を噛み
飛びたつしるし
強さでもな ....
しあわせに触れたら次はふしあわせお手玉の唄うなじ香らせ
あやとりの糸たぐるうちたどりつくふたつの胸のはざまのひかり
遠くをば見つめることすらでき ....
雪原の風たぐり舞う銀髪にあるはずもない笑みを見ていた
くりかえし光の行方追いつづけ雪の背骨を駆けてゆく子ら
道に棲む{ルビ静寂=しじま}に映る水の笑 ....
眠ることのできない緑の音が
雪の上にかがやいている
わずかな甘味を
鳥はついばみ
金のうたを聴きながら
粉の明るさを上下する
雨がふたつ
手をひらき
流れるもの ....
午後をわたる数羽の鳥が
いくつもの笑みを描いている
空と曇の鈍のさかいめ
まぶしく見つめる目のなかを
笑みはめぐり飛び去ってゆく
曇を映した滴にかがやく
水の壁のよ ....
汽笛は尾を引き
遠いほうからかがやきになり
応えの兆しを耳にしながら
傷をまぶしく抱きしめている
水のかけらを見つめる間も
陰のまばたきは増えてゆく
とどろきは地 ....
左目を右目にあげたのに
右目は涙を流さない
目が覚めたら一緒にごはんを食べよう
そう書いた手紙を残して
眠ったまま逝った人の声が
もう一度どこからか聞こえてくるまで ....
道端で
ガードレールを呑み込んで
冬の蛇が死んでいた
白く 汚く
冷たく 硬く
すべてに背中を向けていた
ひとりの少女が泣きながら
蛇の頭を撫でていた
私は言っ ....
白 灰 午後 虹
放られたままに響く冬
窓に映る野を馳せる
手のなかの声 粒の声
まわる色 重なる色
水に濡れた小さな神話の
終わりとはじまり
陽から降りつづ ....
たくさんの雀が
それぞれの空を持ち
わたしの内をはばたいている
淡い羽が 喉を昇り
外に出て 腕に乗り
別の色の 空へ帰る
繰り返す
今ま ....