「コンクリート・リゾート」


最後に僕がここに立った日
それはきっと、セピアンブルーの日
変わったものといえば
角のコンビニエンスストアの名前くらいで
もしかしたら ....
真っ赤な帽子をかぶって 
自転車に乗って
川沿いを走る
そのあとには
くちづけだけが残る
彼女は 詩だから

彼女は 詩だから
窓辺にアリスとかハートのクイーンを飾る
 ....
Ser immortal es baladi;
menos el hombre, todas las criaturas lo son, pues ignoran la muerte;
lo  ....

初夏の山は
いいにおいをしたものを
たくさん体の中に詰めて
まるで女のように圧倒的な姿で
眼の前に立ちはだかってくる
たまに野良仕事をしている百姓が
山に見惚れていることがあるが
 ....
取り違えられた

色の壁
名前を聞かれて
「青」
と答えてしまう

投げた
配水管の中に
あいまいな
猫が
右目がつぶれてしまって
横たわっている
弧を描いたらしい
血が ....
白髪を掻いて
新聞を読んでいる
あなたは
岩だ

猫を
下手くそに撫でる
次郎丸は
僕が名づけた

うちで生まれた猫たち 三匹
母親にとって
あんなに大切だった ....
わかんなくていいよ
そういってウミスズメは
うなだれて水に入った
ここの漁師たちは野蛮だから
ライフルを持って船に乗る
水面下を飛ぶように泳ぐ君を散弾で撃って
ああ そうさ ....
?.

日が沈むぜ
ウォッカの氷に
日が沈むぜ
おまえの鎖骨に

観覧車に
モップ犬に
道行く人に
カモメの声に

書くしかない
書くしかないんだ
おれたちこんなに ....
塾の講師になって二年

はじめから
教えられることなど
何一つなかったのかもしれない

今日も一人の生徒が
僕のもとを去ってゆく
「高校へ行ったら、此処へは戻ってくるな ....
ほしいもの
それはお金でもなく
名誉なんかでもない
ほんの小さな手だけでいい
温かみのある誰かの手

ありがとうと
軽く振ってくれる手
がんばってと
応援してくれる手
大丈夫だよと ....
?.

ヒヨドリたちが庭に現れる
鳥は歌うものだと思っていた
あれは
叫びだ

桜木町から横浜に向かう道で
君は叫んで
何度も叫んで
アスファルトの上に寝転がって
 ....
眼球の下にそっと差し込んだヒマワリの種が
芽吹いた

冬だと言うのに街が暖かい
ラフロイグのビンがそこかしこに転がっている
白い玉砂利を食わされた犬がひっくり返っている
通り雨に ....
何を思い出せば
幸せになれるというのだろう


始まりは
遠い海の底の夢でした
船底を擦るようにして
人は、人は旅に出て行くので
いつか大きな音を立てて
傾いていく私たちのために
 ....
カーテンの裏に潜んだ結露を
指でなぞると
するすると雫は流れ落ちて
行き場のない小さな水溜まりは
冬の外気と人の温みのあいだで戸惑っている

わたしはうっすらと冷えた指先を持て余しながら
 ....
チャーリーブラウンは後退なんかしない
あの頃に踏みとどまっているだけ
英語の勉強になるならと
無理して読んでみたけれど
やっぱし後退なんてしてくれなかった
それがリアルってやつ
細い線で描 ....
みなさんどうしてそんな顔してるんですかと
もう猫も言わない
電車はいくつもの死体を引きずって走る
国民みんなにワライダケを月一回配給すればいい
ついでにあんこにくるんで北朝 ....
人が手を出せない方は。

綺麗に見えた。
二十三年間生きてきたのに
おめでとうのひとつも
満足に言えない
そのことについて
頬杖をついて考える
一人で
室内で吐く息は白い
ストーブは足元ばかりを熱くする

家 ....
{引用=


一、擬人法


かなしむこころではなくて
かなしみという言葉を覚えなさい

よろこぶこころではなくて
よろこびの色彩に詳しくなりなさい

問うことはよそ ....
風の中で何かが消えた
それは生きてきた中での何かだった

それは
その時のその場所によって
様々な変化と成長を続け
その日のその情景によって
豊かな感情を創り出した

同時に
風の ....
 浮き沈みはあるけど
 詩を書くことは楽しくて仕方ない
 季節を文脈の中に刻み込み
 文字が絵を描くように
 新しい個性的な世界観を作る
 言葉が天から降ってきて
 ちょっと、スパイス ....
面影はなくなったのだ
そこにはたらくちからを
しばらく考えもする
不条理ではない 赤い血だもの
とくべつはひかりを放ちながら
平楽のなか 潤いはかぜだったか
中核にむかい やがて永 ....
休園中の
誰もいない遊園地で
ひときわ大きく
一本のレールが
空に向って伸びている

カタカタカタ
カタカタカタ

レールの上を
ジェットコースターが
空に向ってのぼり始めた
 ....
洗面所の壁を
優雅に歩く

脚が一本
足りないなんて

誰にも
気づかれないように
冷蔵庫の中に沈む午前三時の闇
車座に向かい合って呟き交わす僕らの言葉を
陰鬱に笑うオレンジ色が
少しずつ噛み砕いていく


(僕たちはどのくらい現実なのだろう)


昨日
 ....
降水確率が
七十パーセントだとか
予報された空から
雨は得意げにやってくる
ビルとビルの隙間を
灰色に染めていく
知らない顔の持ち主が
逃げるように通り過ぎていく
少女は傘も持たずに
 ....
?.


一日中ひどかった雨も小降りになって
窓から見る白樺の木は
ここ最近やっと葉を落とし始め
冬時間に変わって
六時にはもう日が暮れてしまうようになった
公園の明かりは ....
少女が爆死したその瞬間は
少年の爆死したその瞬間だった

少女が生きたその時間は
少年の生きたその時間でもあった

少女が愛した世界は
少年の愛した世界ではなかった

少女が憎んだ敵 ....
*
遠くでぼくらが病んでいる


十一月の夕暮れに
落とした財布は
世界の意味にすっかり濡れて
もう使い物にならない
ちょうど
開かれることのない
窓の高さで生きる
ぼくらのよう ....
この世界はどうかしている
根拠もないことが信じられている
真実でもウソだということにできる
昨日までいた人が今日はいない

この世界はどうかしている
そんな世界を普通だと思っている
その ....
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