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地面一杯に落ちた椿の中で
ひとり囁く者、有り。
群生林である椿は木の上にはもとより
私の足下まで赤で染め抜いていく。
生温い血溜まりに座り込んで
私は貴方の声を聴く。
「はやくはや ....
モノローグと別れをしたらそこには何があっただろう
息がしにくい 君は何処?何処にいるの?
自閉する夜を生きるには私はまだ子供で
....
淡々と青空は灰色にけぶる
呼吸を止めたまま じっと動かずに
生きていることを不思議に思う僕は
よく冷えた死臭のするこの部屋で
小さな小さな段ボールを抱えて立ち尽くすのだ
耳 ....
白く甘い夢は砂糖菓子の狂気。
「おさとうを、あめ、に溶かしたら、たんさんすいができる?」
白く甘い、夢。
「おさとう、を、あめ、にとかしても、たんさんすいはできないわ」
....
太陽が傾いであんな所へ落つこちようとしてゐる。
鞄の中にカメラを六機忍ばせて。
愛しき貴方の掌には浮き上がるポラロイド写真。
写真を振つてはゐけないよ。
現実が掻き混ぜるスウプ ....
癒えぬ傷跡、
それとも病月の劣情なのだろうか
白く飛んだポラロイド写真のような
明け方に私はきみの体温を求める。
ただ只管に。
低くて甘い声
あたたかい指先
触れれば輪郭はやわら ....