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バックミラーの中
満月には少し足りない月が
どこまでもどこまでも
追いかけてきた
ヘッドライトの灯りの中
小さな白い子猫が
おびえた顔で行き過ぎて
外灯の影を
....
愛し君の面影は
絶えず目蓋の裏に
笑顔のままに時をとめ
溢るる想い出は
柔らかき棘と
甘き疼きを伴って
遠く滲む記憶の端より
はらはらと溶けて
やがて淡く淡く ....
わたしに降り注ぐ優しさはどうして
こんなにも哀しいまでに鮮やかな花びら
灰色のわたしを埋め尽くすように
幾ひらも幾ひらも舞い降りる
紅い花びら
白い花びら
青い花びら ....
わたしは深海に漂う水の泡
孤独に苛まれ紺碧の檻の中
どこまでも寂しく漂うのみ
天から射し込む幽かな光に
引き寄せられて誘われて
虹色に輝きを変えても
決してどの色にも染まれ ....