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夏の熱を切り裂いて宵闇に咲き誇る花火は
彩りと音の仲の良い双子の兄弟で
光と影、それぞれの役割をちゃんと心得ている
江戸の粋を三尺玉に詰め込んで
街のイルミネーションに負けずにきらびやかに ....
たなばた たんざく たちつてと
秋の空と乙女の心は七変化
夏じまいに
怠惰で熱っぽい光を
燦々と振りまきながら
ねっとりとした風が
がらんどうの原っぱを吹き渡っていく
夏休み最後 ....
夏の夜空の番人
星かごを襷がけして麦藁帽子を冠った少年は
いつも北を指す柄杓を星取り網にして
日曜から土曜までの一週間を飾るにふさわしい
喜怒哀楽、悲喜こもごも、揺りか ....
遥か悠久の昔、空と海と陸がまだ混沌としていた頃
全ての命は気ままに泳いで飛んで
果てもない混沌を駆け回るのは楽しかった
亀はいつの時代も競争に駆り出される性分なのか
ある時、亀と鯨が
....
五月晴れの代わりに雨だれを聴いていた
灰色の鬱屈が繭のように気分を丸め込む
長過ぎた梅雨の間に熟成され黴びた心は
あおく澄み切った夏空に溶け出していく
剥き出しの感受性は些 ....
ワープ航法が確立され
テラから宇宙探検にこぞって飛び出し
地球歴16世紀に始まった大航海時代で
世界が縮まったように収縮を始めた宇宙
銀河建国2198年の今
宇宙旅行のトレンドも52 ....
絵はがきみたいな花丸正しい夏休みには
入道雲と蝉の声と蒼い海の三点セット
空と大地をパッキリと分ける入道雲は
どこまでも大きくまっしろで
桃源郷までいける螺旋階段を隠す
蝉はサイレン ....
仕事が楽しくって
忙しさも勲章だと思っているうちに
携帯のメールもおざなりになっていく毎日
すれ違いばかりのあたし達
待ちぼうけを喰っている奴が
新しい局面を模索するのは世の常で
....
男女の蜜月は4年も続けば上出来で
後は想い出の時を刻んでいれば良い
社会的基盤がペアで行動する事を
定めてあるからか
結婚という契約は惰性というからくり
乗っかっていれば安心でらくち ....
年に一度の七夕当日は朝から
日常の憂鬱が蓋をしたような曇り空
地球全体を水の中に
沈み込ませたようで
纏わりつく湿気で少しだけ呼吸困難かも
空が泣き出すのは時間の問題かな
定時にさらさ ....
わっしっし うっしっし
三拍子のリズム、灰色の空、優雅に
ワルツのステップ踏んで
雷様のお通りだい
のっしっし うっしっし
梅雨空を掻き回し
大地に吠えろ
ゴロゴロゴロガ ....
なつは名のみのあめばかり
紫陽花は爛漫に咲きほこり
つゆの雫をぽとり、ぽとり
樹々の緑も色濃く、ゆるり
夏はまだだと雨降り積もり
あたしの心の奥底に
善と悪のふたごがちんまり住んでいる
哀しい事があるたびに
鏡の中の世界だと言い聞かせ
嬉しい事があると
これが当たり前だと言う現金な奴ら
言い訳上手なあたし ....
錆び付いた夜
カタカタと軋んだ音をたてて
綴られていく 砂色のあした
バラバラと崩れていく
哀悼の鐘の音
脆弱な信頼の鎖を断切った いま
かさぶたが 癒えるよりもすぐ ....
北の国では雨粒が
まっしろな六角の花を咲かす頃
運命をギュっと掴んでいたその指は
夢や幸せも白く結晶させたようで
すべからく物事は
原因があって転がりだし
人との出会いも必然で ....
ジットリと纏わりつく雨のヴェールは
西からさし込むその日最後の煌めきを二重の架け橋に変容し
ジャン・フランソワ・ミレーが1863年の春に見かけた虹のように
夕ご飯の買い物客でごった返す街並を ....
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