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鉢植えの花が咲いていた
色とりどりの花々が咲いていた
しかし どいつもこいつも嘘っぱちに思えて
可憐な花びらをえいっとばかりにつねってやった
花の香りに誘われて蜜蜂が飛んできた
蜜蜂が耳の周 ....
花粉症で 鼻をズーズーいわせている君が
小さなくしゃみをした
花粉を拡大すると 意外に刺々しいもんだから
眼球じゅうに花粉が突き刺さっている図を想像したら
ドキドキドッキンした
そのド ....
忘れないでね
わたしはあなたのためなら何でもしちゃうから
歯もちゃんと磨くし
女もちゃんと磨く
そして心臓どきどきさせちゃう
モノマネもちゃんとするし
泣き真似もちゃんとする
そ ....
本を捨て風を追え
光の鉄筆を持ち
刻むがいい
化石となり残る言葉を
考古学者が
その意味を追うだろう
ノートを捨て雨を打て
声にならない慟哭を
写すがいい
降り積 ....
かなしいときはいつでも
文房具屋さんへゆくの
駅前のデパートの一階へ
夕暮れに自転車にのってゆくの
いろとりどりのペンで
ためしがきができるわ
あの人の名前を思い出さないように
一筆 ....
ゆるしはなく
叫びは消え
川に照らされ
独りになる
雨は去り
夜になり
小声は咲く
とどめの白
とどかぬ花
水と葉 ....
朝にぱっと咲いて
パッと縮む
朝露を吸って
シャキッとする
小学生の成長日記
芽が出た
葉が出た
花が咲いた
朝の名誉=朝顔
笑顔で送り出してくれる
俺も頑張らなくては
....
失踪する雑踏――葬られてゆく錯綜する都会の鼓動が
不整脈を晒している。
失踪する現実――訪れるものは、立ち上がらない
睦言の形骸だろうか。
黒い朝焼けを掴み取るまなざしは、
凍りつく陶酔の血 ....
世の中に吹き荒れる無情の風
その中で誠実に生きる事の難しさ
欲望が街のなかを駆け巡る
いずれ僕も染まってしまうのだろうか
素直さが心無き者に捻じ曲げられる
....
ぼくは詩人
悲しみや辛さは
楽しさとうれしさへのはじまり
今日もまた
雨の中
朝の散歩をしていると
歌人に出会いました
雨が降ってしまうと
ぼくたちの散歩道は
ところ ....
伸びきった痛みのような影を連れた私は
ポッポッポととぼけた足音を立てて
真昼をへこませながら歩いていた
青色に成り切れない低い空には
子供の頃に想像した太陽があって
色鉛筆のタッチで光が ....
潰えていく芽
親指と人差し指で ひとつひとつ 丁寧に摘む
それが適応だと
呪文のように呟いて
人間を枯らして
死んでいくのは楽しい?
楽しい?
....
枯れすぎると
言われる事はない
息をしている 間も
枯れる事が決っている
咲かないのは
枯れた事ではない
咲かせないのは
枯れさせたいのではない
その花瓶に手折る
瑞々しい花 ....
兵士たちの流した血で
山肌は赤く濡れている
野良犬の剥き出しの陰茎のように
目眩い輝きを放ちながら
鋼鉄で造られた機械が
鋼鉄で造られた機械を壊してゆく
見ているだけで身震いするほどの ....
ハナミズキが総苞に
厳しかった冬の名残を残すように
ひとのことばの端々には
生きてきた人生の痕跡を引き摺って
それは醜さの現われでもあり
それはしがらみのようでもある
引き ....
雨の中で星を見ていた<それ>が言った
君 君
全部嘘なんだ
エネルギー保存則も光速度不変の原理も
フェルマーの定理もチューリングマシンも
全部僕が考えた嘘だったんだよ
さいです ....
どんどん沈んでいく太陽が
真っ赤に燃えていた
見とれていて僕は今日がもうすぐ終わると感じた
今日が終わり明日が来る
今日も何もしなかった僕にも明日が待っている
ほとんど空 ....
あら。
また泣いてるの?
何かあったのね。
辛かったんだね。
いつも
綺麗に着飾って
その大きい瞳で
世界を敵視して
頑張り屋のあな ....
ぼくは詩人
自然がすべての自然と
つながっているように
人の心もすべての人と
つながっている
今日もまた
朝の散歩をしていると
藤の花に出会いました
野生に生えたその花 ....
遠
い
遠
い
昔
の
話
海
の
水
が
空
へ
と
引
か
れ
地
球
が
も
一
度
そ
れ
を
引
く
空
に
は
雲
....
ため息は
紅茶の香りとともに
茜色の椅子ににじんでいく
夕日をスプーンでかき混ぜたら
もう一度新しい夕日が
生まれ変わる
角砂糖は
白い四角い砂のお城
きらきらと輝くけど
さ ....
ぼくは詩人
難しく考えるよりも
簡単に考えた方が
わかることもある
今日もまた
朝の散歩をしていると
お坊さんに出会いました
お前は何者か
詩人です
詩人 ....
祝日 新宿の午後は人波に{ルビ溢=あふ}れて
逃れるように僕は古びた細い路地に入る
道の両脇に{ルビ聳=そび}え立つ高層ビルの壁に挟まれた
細い空を見上げると吹いて来る向かい風
ア ....
なんでもみている筈なのに黙っている
大樹ょ
あなたの望む空をわたしもみつめたい
あなたのささやく声もわたしはききたい
のびやかに息づいている
....
僕たちの住む世界には
沢山のものが溢れ過ぎて
何を選べばいいのか判らない
手に取っては捨てて
また違うものを探して歩く
どれも輝いて煌いて
何も劣ってはいないのに
この中から一つだけ ....
寂しさは忘れてしまえる
それが怖くて 怖くて
犬を撫でていると
怯えた体が小さくなっていって
首輪の鈴になります
だから寂しくなかった
一人で生きていけることを知ったとき
夜 ....
ぼくは詩人
明と暗は
それぞれ逆があって
はじめてわかる
今日もまた
朝の散歩をしていると
朝影に出会いました
朝日の光の方向と反対に
ぼくがつくる自分の朝影
い ....
少女は長い間
窓の外に広がる海を見ていた
{ルビ籠=かご}の中の鳥のように
時折
人知れぬ{ルビ囀=さえず}りを唄っても
聞こえるのは
静かに響く潮騒ばかり
( 浜 ....
閃光を浴びる波打つ腕を貫く
静脈の彼方から、疲弊した虹彩がため息を吐く。
朦朧とした街は、たえず銑鉄を溶かして
都会の人々の苦悩の鋳型を作り続けている。
すべての窓には、水がなみなみと注がれて ....
あなたが大声で「ロバの耳」
とか叫ぶ意味が判ったわ
解き放つのね 何かを
解き放ちたいのね 何かを
あなたはこの町一番の床屋
それは誰もが認めていて
あなたが決めた髪形に
誰も逆 ....
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