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潮が引いていき
潮溜まりに一尾の魚が残された
魚の名は ユア
アユではない ユア
ぼくはユアを追いかけて
潮溜まりの周りを
めぐる めぐる
ユアはどこ?
夕日が落ちてきて
水面を塞ぐ ....
詩は語らずに歌えって
俺の先生が言った
先生って誰だ
そう訊くから
雀だって言ってやったよ
スズメ?
雀だ 雀だ 雀の学校の先生だ
俺はそう言うしかなかったぜ
だって、その通りだも ....
夜になると風が出て
{ルビ毬栗=いがぐり}は落ちてゐた
次々と
加速されて
硬く冷たい実が
ぱらぱらといふよりは
すぽすぽと黒土にはまりこむやうに
降つてゐた
流 ....
鐘の音がひときは澄んで響いてゐる
高原の牧場
風は爽涼として
日は明るく照つてゐる
ここに一頭
健康優良の乳牛がゐる
乳が溜まつて乳房が張るものだから
たまらずク ....
暑い日だ
こんな日は
私にパラソルの女が
寄つて来る
女が来ると
私もパラソルの陰につつまれる
―日盛りに
ぼんやり立つてゐると
日射病になるわよ―
....
草の茂みから
木の上へ
さらに
低空から
中空へと舞ふ
一匹の蛍
漆黒にあらがひ
淡く
かぼそき線を曳き
線といふよりは
点滅
・・・・・・・
....
日の出
小鳥はまだ明けそめぬ闇のうちから
啼き始める
辺りを憚るやうに
ほとんど囁くばかりのくぐもり声で
それは天与の美声を押し殺した 呟きだ
野の鳥よ ....
カマキリを殺した
あんまり威張つてゐるから
縄張りでもないのに
アスフアルト道のまんなかに出て
仁王立ちになり
人を通すまいとするから
私はその夏 傷心を抱へて
祖父母の郷へ帰つ ....
山を吹き下ろす風が
水面を撫でる
渓川は波立ち
日が跳梁する
瀬音と光の乱反射
私は川原の石に腰掛けてゐる
振り仰ぐ嶺には
消え ....
あなたの瞳は美しい
四囲の変化や季節の移ろいにも
敏感に反応し
あますことなく映し取ってしまう
だからぼくは あなたを見ていさえすれば
それでもう
世界を手に入れているよ ....
木はただ黙ってつっ立っているのではない
両
う
で
を
木はかならず 立 っ て い る
....
水車を造つて里を出た者がゐる
自分が村にとどまれないから
代はりに水車を廻して――
いつたい何を
この男は水車に託したのか
いくら頑丈に拵へてあるとい ....
クローバー
舌に巻取り行く牛の
胴の{ルビ片方=かたへ}に朝日は濡れる
貰はれて育ちし吾と
知りてより
牧にゐ ....
このままの状態では
生きていけないと思つたから
突然おれは走り出した
走ればどうにかなるといふものではない
どうすればいいのか判らないから
走り出したのだ
人間の行為なんて
....
落葉の中を走る鳥は
悲しい鳥だ
飛べないかはりに
足は太く節くれ立つて
駝鳥の足のやうだ
このしつかりした足で
枯葉を大仰に鳴らして
進むのだから
化け物が暴れ回 ....
荒き野に
異香放てるひとところ
{ルビ頽=くづ}るるばかりの山百合なりき
五月雨のホームに
長く停車する
灯は明々と空きの電車よ
北海に
まなこ鋭 ....
夜
一羽の鳥が生れる
絶え絶え灯つてゐた
電球の切れた 丁度その辺りに
これからは おまへにだけ見える
明りを頼りに
羽ばたいていくだらう
....
水在らあらあさんの杉菜 晃さんおすすめリスト
(77)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
ひとけのない海
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杉菜 晃
自由詩
3*
06-8-25
十一代目の雀
-
杉菜 晃
自由詩
7*
06-8-24
毬栗の毬ばかりなる里を出る
-
杉菜 晃
自由詩
5*
06-8-21
慈愛
-
杉菜 晃
自由詩
6*
06-8-19
夏日
-
杉菜 晃
自由詩
6*
06-8-11
いのちの
-
杉菜 晃
自由詩
7*
06-7-22
日の出__蝶__あさがほ__……
-
杉菜 晃
自由詩
6*
06-7-11
カマキリ
-
杉菜 晃
自由詩
3*
06-7-11
渓川
-
杉菜 晃
自由詩
8*
06-7-6
そして_あなたの中へ
-
杉菜 晃
自由詩
6*
06-7-2
木
-
杉菜 晃
自由詩
4*
06-7-1
水車
-
杉菜 晃
自由詩
5*
06-6-30
朝日は濡れる
-
杉菜 晃
短歌
4*
06-6-28
真夜中の走者
-
杉菜 晃
自由詩
4*
06-6-26
飛べない鳥
-
杉菜 晃
自由詩
6*
06-6-24
まなこ鋭き鳥
-
杉菜 晃
短歌
5
06-6-16
夜の鳥
-
杉菜 晃
自由詩
6*
06-6-10
1
2
3
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