すべてのおすすめ
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タキオンが像を結び
無数のクラゲが空から
淡い光を放つ
*
どこまでも歩いていっても元に戻ってしまう
三畳間の宇宙に
*
生まれてから白痴に至る世界
*
笛を吹いて ....
海が みえるよ
海が みえるから
砂浜に座って
雨が降るのを待っている
海に
海に
灯りを
一つずつ
消していく
浮かびあがる
無数の光が
遠くの
素朴なものを
照らしている
みえる
と
みえない
の
間に
暗い淀みができていて
....
静かに
指をあてた
静かとは
ゆらぎ
静かとは
雨
静かに
そう言う
あなたが
薄暗くて
もう
見えない
蜜柑の皮をむいてのばして
扉を作って
香りを漂わせながら
扉を開ける
呼んでる声がするので
駆けていく
少しずつ広がる世界
握られた手にある
飴玉は
水晶のように輝いていた
そんな頃でも
風は冷たかった
普段通っている路地の
影にあるもう一つの街
影の街を僕が知ったのは
12の頃で
その頃
父はこの街を出て行った。