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サンバのリズムで彼女は案内する、
タタタ、タンタ、タタタ、タンタ
広がるフレアスカートは真っ赤、
熱気のみなぎる裏通りは、
これでも充分には裏でないらしい。
粘っこいグリースの臭い、
不意 ....
わからないものに質問しても
たぶん答は得られないので
秋の初めの風のように
いくぶん鋭い金属質の響きで
愚かしくみえる沸騰には
整った和音で対応すること
冷笑じみた混乱には
....
羊たちが目覚めて草原をさまよう、朝の陽は山々にさして、青みがかったきみの虹彩に映るのは昨日落としたまま忘れてしまったきみの幼年時代だ、きみは蜂のように騒ぎながら羊たちと踊る、朝の食事の合図が聞こえてく ....
過去の私をキリコロセ。
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GKって切ないポジションだ。守るのが当たり前で、楽勝の試合では目立たないのが当たり前で、しんどい試合のしんどい瞬間だけ目立って。
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好きに ....
何も見えなくていいのだ
握りつぶしてきた虫の数を数えてみようったって
できない
地球の反対側の生き死にだって見えやしない
私は限りあるイキモノであって
書物だのインターネットだのが親切にも教 ....
1.
高く掲げた手のさきには指がなかった
ただ丸い肉塊である手は
指を持たぬのに天を指さした
天下人と呼ばれた男は
その指のない肉人を
食えばよかったのに食わなかった
食われなかった ....
眉村卓の古い短編小説に「わがパキーネ」というのがある。私が最初にそれを読んだのは1982年。十四歳の夏だった。ヒマでたまらない十四歳の夏休み。自分自身の汗の臭いと、隣で飼ってる牛の悪臭と、それらをぐる ....
遠いロンドンに宣戦布告してみたり
そばに立っててくれと頼んでみたり
それでも飽き足らないので
火星の蜘蛛と宇宙に飛び出してみたり
それでもどうしようもないから
私に火をつけてくれと懇願してみ ....
1.
手紙は書きかけのままテーブルの上で黴びてゆく。
青黴、赤黴、黴の色ってそんなに単純だったかしら。
ふくりと黴が起きあがる、
まき散らされる胞子は常に薄い紫で、
私の部屋はすっかり煙 ....
左川ちか作品のアーカイブです!
全詩集が手に入らなくて泣いてた人は、読みに行きましょう。
そうでなくても行きましょう。
http://soredemo.org/archives_sagawa ....
詩評がつらい……詩を書くのもつらい……書く自信、皆無なり。文章の書き方忘れた(笑。つらくて腹こわした。下痢ぴーである。すーぐストレスで下痢しちまうんだ、私は。とはいえ嘆いていてもしかたないんで、慣らし ....
真夏の渓谷の薄暗い木陰で
川音を聞きながら
ひっそり息をしていた
ひとりといっぴき
濡れた岩のうえ
つんとまっすぐに伸びた胴
行儀よく揃えて閉じた翅
その黒曜石の輝き
日の当た ....