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車椅子に座る
小さいお婆ちゃんを
前から抱きかかえる
少し曲がった
「 人 」という字そのものに
なれた気がする
ごめんなさい、ごめんなさい
と繰り返すので
な ....
ノロウイルスの流行で
デイサービスの部屋はすっからかん
いつもにぎわう30人のお婆ちゃん達も
いつのまにやら5〜6人
職員は皆マスクをして
消毒液にひたしたぼろきれで
あち ....
疲れた顔したあなたの前に
一杯のお茶を置く
( そこにいてほしい
( くつろいでほしい
長い間
心に固く閉じていた
{ルビ蓋=ふた}を開いて
今までそっとしまっておい ....
一日の疲れを
シャワーで洗い流していた
湯舟には
二本の髪の毛が組み合わされ
「人」という字で浮いていた
水面でゆっくり回って逆さになり
二本の毛の両端がくっついて
....
休憩室の扉を開くと
左右の靴のつま先が
{ルビ逆=さか}さに置かれていた
ほんのささいなことで
誰かとすれ違ってしまいそうで
思わず僕は身をかがめ
左右の靴を手にとって ....
私は今、顔を猿のごとく真っ赤にして酔っ払っているのである。
なぜ酔っ払っているかって?
それには深い、深い、わけがあるのである。
女に振られたって?
そんなのは日常茶飯事朝飯前であ ....
長い間
{ルビ棚=たな}に放りこまれたままの
うす汚れたきりんのぬいぐるみ
{ルビ行方=ゆくえ}知らずの持ち主に
忘れられていようとも
ぬいぐるみのきりちゃんはいつも
放置され ....
誰かと笑い転げる日々を過ごす私
仮面を一枚{ルビ捲=めく}れば
誰の手も触れ得ぬ「もう一人の私」がいる
あたりまえの幸福は
いつも手の届く場所にあり
浜辺へ下りる石段にぽつん ....
少女は長い間
窓の外に広がる海を見ていた
{ルビ籠=かご}の中の鳥のように
時折
人知れぬ{ルビ囀=さえず}りを唄っても
聞こえるのは
静かに響く潮騒ばかり
( 浜 ....
少女は高い{ルビ椅子=いす}に上ろうとしている
小さいお尻をどっかり下ろすと
食卓には色とりどりのご馳走とデザートが並んでいる
食べ終えると飽きてしまう少女は
物足りず他の何かをき ....
さびしさに
ひざをかかえて
タオルケットははいだまま
「る」の字でねむる
あの{ルビ娘=こ}は今頃
遠い空の下
今夜も誰かに抱かれて
求めあう「る」と「る」を
くみあわせてる
....
夕凪ここあさんの服部 剛さんおすすめリスト
(11)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
「_人_」_
-
服部 剛
自由詩
18*
07-7-18
もみの木を囲んで_
-
服部 剛
自由詩
7*
06-12-20
お茶の時間_
-
服部 剛
自由詩
19*
06-12-5
「人」
-
服部 剛
自由詩
11*
06-10-29
靴
-
服部 剛
自由詩
24*
06-8-31
新連載?はっとりんは今日もゆく〜その一〜
-
服部 剛
散文(批評 ...
12*
06-8-27
棚の中のきりちゃん_
-
服部 剛
自由詩
21*
06-8-20
「自画像」
-
服部 剛
自由詩
12*
06-5-22
海を翔ぶ翼_〜_少女と羊_〜
-
服部 剛
自由詩
8*
06-5-3
小景_〜父と娘〜
-
服部 剛
自由詩
6+*
06-3-10
「る」
-
服部 剛
未詩・独白
31*
04-7-9
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