スーパーのレジで
おつりのコインを数枚受け取ると
「わあ、お金が増えたね」
と娘は目を輝かせる
自動ドアから出るときも
「あのおばさん、きっと親切な人なんだよ」
ふわふわと歌う
....
君の言う単なる恋愛に
僕は幾度となく涙を流してきた
君の言う単なる恋愛に
僕は幾度となく命をかけてきた
なぜなら
そこに世界で一番大切な真実があるから
....
ぼくはいたずらの天才
スカートめくりがとくいの天才
きみは青い絵をかく天才
スカートをすぐにめくられてしまう天才
ぱんつまるだしできみはすぐ泣いちゃう天才
ぼくはきみをなぐさめる天才
ぼく ....
優劣をつけたがる
この世界
のんびり生きることも
選択肢のひとつ
誰とも争わず
欲を捨てて
身の回りに思いやりと優しさを
振りまいて
足りない ....
いちいち考えるのも嫌な程
空の色は日々まちまちだから
季節という単位はいい
そして新しい春がやってくる
まだ外は寒いのに
窓は全開のまま
ビー玉のような海
煙突は禁煙しない
....
あかねさす紫野ゆき標野ゆき
そんな旅を胸に描いた{ルビ妾=わたし}は
愚かだったのでございましょうか
野守などはおりませんでしたのに
せめて手をお振りになってくださったら
それだけでも嬉しう ....
バスタブいっぱい満たされたお湯に
ここちよくぬくもって
からだをのばして
ねむってもいいんだ
鮮烈さがほしいなら
シャワーを浴びたらいい
冷たい水が
ゆるんだ頬をきっとひきしめる
....
これは事故
あれは事故です
あたらしいニュースが
たおした液体みたいに
体をつたって地面へと
たいらにひろがっていく
戦争は反対です
これは平和
いけない事ばかり考える
マク ....
空が白んで、今日も一日が始まります。
有機物であるはずのわたしはまるで無機物のように
さしたる感慨もなく、ただ白む空を眺めます。
雀が一羽、飛び立ちました。
白んだ空が、眩しさ ....
屈めた背中を ゆっくりと伸ばすように
季節は移り変わる
それは水指に潜む 小梅の性
三寒四温の質感を受けいれては ひとり悦に入る
(ああ 春は素敵な季節
(水指の渇望は
(滴り ....
絡まり合った人たちの影も
それはそれで綺麗だった
東京
そこから抜け出すと
混雑していた日付が
見慣れない文字に変わっていく
月が、取り残されている
南へ向かう電車に深く沈み込めば
暖 ....
生まれた時から蛍光灯は明滅を続け
息吹の動きを受けずに四隅の埃は
存在しない思い
廊下の奥の黒電話
硝子戸を乱雑に引き押ししては
夕暮れの色の中に灰褐色のラッパが響き
....
とっくにもう
枯野の向こうに行っちまったけど
俺に初めてフグを食わせてくれたのは
おんじゃん(おじいちゃん)だった
唇がぴりぴりしたら言わなあかんで
フグの毒がまわったゆうことやさか ....
会いたくて
ただ会いたくて
夜の底
雨降るそこで
声をからして
金の鱗が這って朝の空を流れて
電子レンジの反復音が忙しなくこだまして
なんだ 世界の終わりを告げる鐘ってこんな感じかもな
吐いた息は規則的に白く色付き
目に見える心臓として
生きる ....
けだるい朝の日曜日
空っぽの心とからだを横たえて
残りの義理チョコを食す
いつもと同じ形と色と味だ
とすると真理はこの中にあるのか
改めて認識した
この手の中に
チョコ ....
蝋管蓄音機が回る
カタカタと踊る音
歌声が聞こえると
娘たちは踊り出し
いつまでも踊る
踊り疲れて眠る
眠り疲れて旅にでる
出たとこ勝負の蓄音機
てくてく歩く野の花に
カタカタ歌え青 ....
目に入れろ
目に入れろ
金のかかるカメラなんていらない
この瞬間の光景を
目に入れろ
そして自分の好みに色づけするんだ
逃げちゃダメー
これ ....
すきとおったものを重ねていくと
届かなくなる
幾重にも屈折率をいいわけに
すきとおった君を重ねていくと
届かなくなる
思い出が赤方変位に拡散して
すきとおった偏光を重ねていくと
....
あくまで たとえ話として
聞いてほしい
君が僕に 抱いてほしい
と、願ったとする
まぁ まて たとえ話だって。
僕が君を抱くか 抱かないかは
誰かが
決めることでは
ない
....
ねじくれない僕ら
合い言葉は 道行く人へ
「ねじ、くれない?」
720度のギャップ
合い言葉は 道行く人へ
「ねじ、くれない?」
ネジマキ派のつどい
ねじの回り ....
首相出張と主張し優良有料路、旅客機で旅行
機内食、職業食料測量職人の、瓜売りが売る瓜と引き抜きにくい挽肉と生麦生米生卵
首相食す3種類の食事
食後にしょっちゅう召集する聴衆の焼酎と少数の通称常勝 ....
月のかさは見えないけれど
ふかい雲のむこうでは
気象という名が動きそう
雪の端には
小ずるいねずみも
踏んでやろう
テレビ塔では
三尾のきつねが層になる
俺が自分を誇らないなら 一体誰が俺を誇ってくれんだ?
生憎すべてが自分に都合よく動く星の下には生まれなかったさ
前世で人殺しでもしちまったのかな? だが今の俺には関係ない
我慢するだけの一生 ....
日はこの時ついに陰ることはなく
交叉点の信号が
青ざめて進めという
曲線に添った産声が
白い手で羽ばたき
円周率へ視線をおくり
目をふせた
ふせないで
みつめて
林檎の赤
....
雑音だらけだった人生に
空からキミが舞い降りた
傷だらけのキミがいて
過ちだらけのボクがいた
星空煌く空のした
灼熱の太陽照る空の下
たくさんの話
たくさんの思 ....
送電線の下をくぐって
アスファルトの海を
ぼくたちは、
泳いで、
はりめぐらされる
緯度や経度に
足をとられながらも
ひたむきに
日帰りの旅をくりかえす
ねむる前、ときどき
....
幹さん、
どうでもいいですけど
高円寺のキャバクラで詩人っていう名刺配りまくるのはやめて下さいよ。
大将二号店で2本目のつくねをほおばりながらキムがつっけんどんに言い放った
どうでもいいけどキ ....
正月に日本酒を飲みながら詩を書いていたら
火曜日に詩を教えているキムからskymailがきた
「幹さんやばいっす、オレ犯罪犯しちゃいそうです」
『ちゃんと詳しく説明してミソ』
「ちんこ ....
空が飛んでいる
空が飛んでいるので全ての羽が浮上する
見つめることはいつだって透きとおる
見下ろせば ものの在りかはかなしい
重力の堆積が歴史で出来ているなら
ぼくらの言葉は足跡のように ....
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