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瞳がかすむように
この両手がこごえるように
なぜ 淋しくなってゆくのだろ
*
雪よ 降るのでない
悲しいわけじゃないけれど
彼方で
白い夜が{ルビ蹲=うずくま}る
....
窓ガラスにくちづけを
吐息がこぼれたら
やさしいあのひとの時間
ミルク色の月に
紅茶をこぼして
頬を寄せて眠るひざまくら
好きといって
嫌いといって
憎むといって
どうか
ほらこんな風に
指と指で窓をつくる
その空間に映し出されるのは
きっといつか見た事のある
冷たく水を{ルビ湛=たた}えた青い空
耳をそばだてて そして
聞くのはなつかしい声
冬から冬へと ....
陽ざかりに
影がゆれる
塀の上に
白樫が緑の枝をのばし
陽ざかりに
光がゆれる
そこに咲いている
荒地野菊の花
寡黙な額に
風が吹き
みつめる心も
そっと ....
さびしくなったら
花咲く野辺へゆこう
ごらん
{ルビ凌霄花=のうぜんかつら}に蝶がぶらさがる
何度でも愛しているとくり返す
雨打つ窓にムスカリ蒼く