わたしとしては早く終わって欲しいのに
あなたはまるで厳粛な儀式に望む
いんちきくさい司祭のような面持ちで
わたしのかたちを確めてみたり
わたしの知らないかたちで動こうとする
ふだんと違う表情 ....
溶けだしたぬるいアイスの
表面だけをすくうような日々だ。

甘ったるくて、まずい。

アイスを食べているつもりでも
それはアイスとは呼べないんだ。

表面だけの、実体のない日々だ。
 ....
今月末、女房の実家に墓参りに行く。
仕事の都合などで、もう三年ほど実家には帰っていない。
鹿児島なので、千葉からそう簡単に行けるところではない。

墓地は高台にある。
眼下にはきらき ....
生きる意味に悩んでいるなら
悩んで悩んで悩み抜いて
大いに苦しめばいいよ


それでも君は幸せなんだから


今すぐにでも死にたいのなら
遺書のひとつでも書いて
とっとと死ねばいい ....
もういいね。
ワルになってやる。
いいヒトしてるの疲れたよ。

もういいです。
悪に染まってやるのです。
優しいあなたに幻滅です。

ああいいね。
ワルでいれたら、
 ....
夜のネオンきらびやかな街の一画
あまりはやってなさそうなその店の
客引のにいちゃんに騙されたふりをした

「うちは見せるだけじゃないからさ」って

一番前に座って待った
クリスタルライト ....
 裾の長い制服に足を通そうとした瞬間、わたしは鈍痛と共に内股を伝い降りてゆく生暖かい感触を認識した。わたしは最初、下腹部に感じたその鈍い痛みをただの食あたりか何かから来るものだと思った。
 わたしは ....
今日も何にもなく

サプライズが来るわけでもなく

いつもの風景を見て

いつもの夢を見て

ぼくはまた明日の朝日と

挨拶を交わした

マフラーを首に巻いて

パーカーを ....
腕を

上げ下げする時モーター音が少しうるさいでしょう
ごめんなさい

今日はどんな一日でしたか?

駅でまたお腹が痛くなったんですか
大丈夫ですか

私ですか
私は駅のホームか ....
塾の講師なんて仕事をしていると
子供の心に触れてしまうことがある

前に受け持っていた女子生徒が
授業中に突然飛び出して
二階のベランダから飛び降りようとした

「死んでやるー!」と何度 ....
送電線の下をくぐって
アスファルトの海を
ぼくたちは、
泳いで、


はりめぐらされる
緯度や経度に
足をとられながらも
ひたむきに
日帰りの旅をくりかえす
ねむる前、ときどき
 ....
思春期の頃の女の子は皆 腐った生ゴミの匂いがする


授業中廊下でひとりアラベスク 群れを離れた自由と孤独


夕刻の音楽室でピルエット オレンジ色の音符転がる


白カーテン 簡素 ....
もしも私の心の欠けらが
ぽつーんとおちていたのなら
警察に届けないでください
{引用=悪い事いっぱい考えてますから}

もしも私の心の欠けらが
ぼーーーっとブランコに乗っていたのなら
そ ....
道に道無く目隠しの子供が座る
目の前に落ちた小さな手に生は無く
大人より食べない子供が
大人に殺されるのは何故

僕の耳に届く幻聴の手紙を
聞こえない振りをして無感情に振舞う
掻きむしっ ....
あっ、わたし
ふきとばされにきたのかもしれない

冬の砂浜では髪も波打って
耳も引きちぎられそうに寒くて
 ワタシヲ
 マモッテキタハズノ
 カタイカラサエモ
泡となって ....
夜の始まりがわからなくなった
いつからか
それは心地よさを覚えたから
朝が怖いのとはまたちがう

切りとったようなかたちをした窓に
頬をおしつけてみる
冷たさに外の空気を感じて
ゆうべ ....
霊的だと言われた

精神が少し動いた

でも自分で引き戻したんだ

罠が多いんだよ

この世界は

落ち込んでしまわないように

気をつけて

時には遠回りしなくてはいけな ....
正月に日本酒を飲みながら詩を書いていたら
火曜日に詩を教えているキムからskymailがきた


「幹さんやばいっす、オレ犯罪犯しちゃいそうです」
『ちゃんと詳しく説明してミソ』
「ちんこ ....
久しぶりに三人で手を繋ぐ
いつもより寒い冬
汗をかいた小さな掌は
どことなく妻に似ていた

歳を聞けば指で
三本や五本を出していたのに
今では両手の指すべてを使わなければならない ....
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