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水が割れるのです
いま
指先の銀の引き潮に
水が
割れるのです
うなじを笑い去るものには
薄氷の影の匂い
たちこめてゆきます
たちこめてゆくの
です
紫色の ....
昆布の匂いがする、と
おんなの言うままに
おとこはそっと確かめてみる
漁師町で育ったおんなは
季節ごとの海の匂いを
知っている
おとこは
ただなんとなく海がすき、とい ....
うやむやに熔けてしまっていませんか
その夕暮れに
指揮棒に従うことで
いくつの雑音を聞かずに済みましたか
なつかしい歌たちに包まれたい日があります
拒みたい日もあります
....
宛てたい心があります
傍目には
いまさらでしょうが
いいえ
いまだからこそ
伝えたいことは簡単なのに
前置きが長すぎて
床に散る便箋は増えるばかり
傍目には
綺麗な足元か ....
覚えていますか あの国道を
場所のことではなく
名前のことではなく
もう二度と通ることのない
あの
国道のことです
向日葵の頃には
とても眩しいものでした
容赦のない陽 ....
暑い日だった
目覚めのベッドは僕のにおいで湿ってた
喉がカラカラだった
コップの水をかるく舐めたら
少し、ぬるい
鏡に映るはだかのおとこ
汗 ....
{引用=
一、漕ぎゆく者へ
明るいうたは明るくうたおう
明るくないうたも明るくうたおう
そうすれば
必ず
いつかどこかが壊れてゆくよ
治すというのはそ ....
{引用=一、くじらヶ丘
口に出してごらん
うるおい、と
その
やわらかな響きは
途方もなくひろい海の
すみからすみまで
満ち満ちてゆくようなものではない
干 ....
あの頃は
生まれたばかりの気分でいたけれど
あの頃の僕は
生まれてさえいなかったのだと
思う
もしかすると
こんな僕も
未だ知らないところで同じように
恥ずかしそうに
解ける ....
吐息に曇る夜の硝子に
時計の文字盤は
逆行をみせて
捨てた指輪の光沢の
おぼろな記憶さながらに
銀河の揺らめく
午前零時
涸れてしまう代わりに涙は
こぼれる理由を失ってしま ....
空のいろには 届くはずもなく
だからこそ
仕方のないほどに
空のいろを
瞳に宿しながら
きりんは ゆっくり緑を{ルビ咀嚼=そしゃく}している
その
長い長い首の得る高さは
....
この路地裏の
アスファルトのひび割れは
どこかの埠頭の
それと
似ている
相槌を打ってもらえる筈が
ここにあるのは
頬を刺す風
見上げる雲の隙間から
一筋の光が降 ....
いつものように
午後をあらいながら
うつむき加減に 軽く
雲行きを確かめる
それもまた いつもの事だけれど
その
始まりの日を憶えていない
寒暖の差を道として 風は渡る
よ ....
初夏の陽射しは 便りを運ぶ
宛名も消印も
差出人も
見当たらないけれど
懐かしさという
こころもとない手触りに
わたしは ゆっくり目を閉じて
紫陽花のさざなみに
いだかれる
....
絹のような 抗いがたい量感に
涙さえも濡れてゆく
霧とよぶには 重たく
雨とよぶには 軽く
そこはかとなく
命名を拒むような
その 結界に包まれて
記憶の軸も同様に
遠退い ....
自サイトにて開設していたコーナーのなかから抜粋。
※現在、このコーナーは廃止されています。
暇つぶしに御楽しみ頂ければ幸い。
【あいづち:相槌】
少なすぎれば怪訝に思われ、
....
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