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鏡の前のぼくの瞳に映る彼女は
血の涙をながしている
彼女は聖母なんかじゃない
手には電気コードを持っている
黒い電気コードが
ぼくの首を締めつける
ぼくの口から彼女の手が這 ....
忘れているものが思い出せない
そんな毎日が続いている
わたし以上に、
大切なものがあるような気がして
胸の奥が落ち着かない
賢明ながらも堕落した生活に終止符を打ちたい
十六 ....
光の中に硝子を置くと
影の中に虹が生まれる
それはたとえば
闇の中にも見いだした
ひとすじの希望に似ている
過ぎてきた日々を
振り返る
もうすぐ激動の時代が終わる
これから先は ....
ずっと待ち焦がれていたの
その手を
あなたのその手を
あなたに愛撫されるように
夜のシーツに包まってわたしを宥めた
あなたをずっと待っていたのに
あなたの指がわたしに触れ ....
わたしには、きっと
読まれることのない
手紙を書いている
わたしには、きっと
云われることのない
ことばを書いている
進む指の感覚がもどかしい
ひかりを知らない子どものように ....
冷えた氷の一片が
熱く手のひらを突き刺す
待つことを乞うように
力一杯握りしめると
氷の時間が止まる
氷のなかにあるものは霧と雲
そのなかにわたしの足跡はない
どんなに熱を残 ....
あなたが愛するこの指が
毎日どれだけの幸せを包んでいいるか
あなたは知っているかしら
あなたが愛するこの指が
毎日どんな風に打たれて
泣いているのか
あなたは知っているかしら
わ ....
スライドする
夜の窓辺
あかい灯が
高速に乗って流れていく
ひかりの背に乗った
過去と未来
一秒先の遠い未来より
今があることが
今であることが
こんなにもあたた ....
遠ざかるものよりも
進むものでありたい
あなたに向かい
深夜
雨に濡れた肩を抱く
あなたの手のぬくもりが
この背中に焼きついて離れない
赤い痛みが沁みていく
離れていて ....
あなたのその
ちいさくつよい
あたたかな手に
わたしはどれだけの
今を与えられるだろう
あなたにどれだけ
こたえることができるだろう
ことばのないふたり
眼差しだけが優しく ....
君の歪んだ妄想をぶち破りたくて
ことばを固めて
ぶつけても
時間の壁は揺るがない
君が紡ぐあいのうたは
100年前のアリアで
わたしは踊れない
きっと君は知らない
幸福 ....
わたしたちは、ひかりに向かい歩いている
いつも
目にはみえない風のなかで
闇を求めながら
闇を求めているときでさえ
わたしたちは
ひかりのなかにいる
求めるというひかりに
....
風はどこからくるのか
行方もわからなければ
くる場所さえわからない
それはわたしが
生まれた理由と同じ
自分には風がないと
あなたは云う
わたしにはみえる
あなたの風
....
毎日毎日、ことばを書く
わたしのことばは
なにもないけれど
わたしのことばは
生きている
わたしのなかから
わたしの外まで
わたしのことばは
続いている
わたしのことばは ....
透明な
軽薄と後悔の隅に
揺れ濡れるわたし
一秒先の未来にさえ
眠れぬ夜を過ごす
指先が
痛い
ひび割れた仮面が
散らばる部屋で
やさしさも
どこにもない ....
解放された自由などいらない
解放されない
繋がれた
なにかがほしい
雨が
一粒であって
降れる場所を知らないように
水面にとける
ささやかな波紋でありたい
わたしに
あなた ....
わたしのことばには、肉体がない
空間ばかりを愛したせいか
かたちあるものに
寄り添う術を
忘れてしまった
わたしのことば
わたしはいつも
浮遊している
死んだ血液のつめたさで
....
眠らない
秒針の足音に
呼吸をして
風を待つ
目覚めていく
空の鼓動に
とけるひかり
あの光は
何処へ向かうのか
東へ、ただ東へ
屈辱に背中を押されても
あるべき ....
透明な糸が
のびていく
あてもなく
まっすぐと
洗い髪の先端が
とぎれる音と
あなたのためいきが
寄り添って
わたしを流れていく
たしかな明日を
手探る右手が
ふるえる
....
スライドする
月が笑う
夜の窓辺
憂鬱を孕んだ
胸が冷える鼻先
わたしはわたしの行方を
ポケットに押し込んだまま
吸い込まれる
終電の渦
たった1mgの錠剤で
繋ぎ ....
真昼の月の窓辺に
通り過ぎゆく
硝子の世界
なにかが在って
なにも無い
誰かがいて
誰も居ない
ジオラマの影
週末の真昼の東京は
目を開けたまま
眠っている動物のように
....
風のぬくもりが
わたしの瞼を閉ざす
風のぬくもりが
髪を掬う指先を早める
風のぬくもりが
昨日の足音 響かせる
風のぬくもりが
終わらぬ唄を 呼び覚ます
風のぬくもりが ....
睫毛にひかる
指先の鏡
幾筋もの
昨日を靡かせて
球体空間を漂う
漂う影と影とが
結合すれば
軈てひび割れ
風の彼方へ消える
その現実に微笑むことが
あ ....
朝から
しゃっくりする
左の指
秒針を無視して
血管の縮れる音
何かに似ている
携帯の着信ランプ
あおい点滅の吐息
あなたの奥へ
踏み出せない ....
指先でたどる
過去の先端
二股にわかれ
ぼろぼろに
とけるように
消えていく
しなやかで
なだらかな鼓動が
指先から
血管にひびく
わたしは明日に向 ....
透明なかなしみが
ういている
逆さの世界に
歪んだ空の隙間に
そっと掌を忍ばせて
沈黙した重力の風を
わたしたちは
そろそろと飲み干す
風は影をまきながら
....
窓際を覗く
あなたの瞳は
いつも
風の彼方の
虹を探している
窓際を覗く
あなたの耳は
いつも
時間の足音を
聴いている
窓際を覗く
あなたは
....
空から
風のなみだが
叫びとなって
堕ちてくる
わたしは
部屋の片隅で
目を閉じ
風に語りかける
もう少し、
もう少し、
待っていてね
あ ....
真実に化粧をして
嘘のしみを隠す
わたし
みえない虚像の「顔」をして
日々を歩く
わたし
もう みえない「顔」に
馴れてしまって
虚像の世界を
生き語る ....
雲間から
虹の手が
世界にのびてくる
わたしは
君の手を
掴もうと
空に手をのばす
だけど
意地悪な風が
わたしの手を
かきけしていく
軈て
....
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