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倦怠に縁取られた
無垢な黒い瞳
その瞳は
高い空を見上げることが無い
足元に絡んで踊る枯葉を
鼻先で弄びながら
右足と左足を交互に休ませ
歩き出す合図をただ待つ
広 ....
もしもわたしがあなたに
すべてをわたしていたとしたら
あなたはあのこをあいさなかった?
もしもわたしがだれより
あなたをあいするといったなら
あなたはそばにいてくれた ....
乾いた12月の
空に干される一枚の葉
赤く色づく暇もなく
寒さに凍えて落葉する
アナタがほんの気紛れに
こぼした一滴の水に
安らぎを感じ
心は今穏やかに澄 ....
反った背中に
命の雫が伝う
痛いのか
悲しいのか
顔を歪めて
全身全霊の
叫びを
それを見ている
私は
嬉しさと
切なさとが
混じった ....
{ルビ茱萸=ぐみ}の花 満開
植木鉢が 世界
星屑の微ぐさま 音階
午後の柔らかな時間の中で
沈思黙考する
白い花
存在して
心を鷲掴みする
....
{引用=そこに立っていてはいけない
だってね
そこは通路なんだから}
満月の夜
ぽっかりあいた空の穴へと
長い階段を登る
有象無象の影
水面に映る月は
堕落した ....
銀杏の葉が
真夜中のイリュミネイション
誰もいない夜
風が銀杏の樹を抱く夜に
流れ星を見上げていたら
それは空から舞い落ちた
数限りなく降り注ぐ
優しい言葉の欠片のよ ....
手の中の水に
浮く満月
そっと息を吹きかけて
夜の空に飛ばす
一つ
また一つ
揺ぐ度
思いは消えて
深夜の淵に腰をかけた
ディアナは丸く
夜が終わるまで
百と ....
光の届かない
海の底 深く
気泡
息遣いだけが
月に照らされ
プラチナに輝く
空には 冷えた
終わりの瞳
残るのは
吐息
消え入る…
訪れる人の無い部屋の片隅
透明なガラス鉢の中の
私は金魚
一日一度 あなたの声を待っている
「おはよう」
そうしてドアを出て行く音がすると
私の長い一日が始まる ....
円形に縁取られた
濃い闇と冷えた空気の軽さ
{ルビ宇宙=そら}から
5つの星が落ちる
弾幕に遮え切られたドームに
光だけが射して
それは無限
見下ろす時
星は地 ....
桜の咲くころ とあなたは言う
今年の桜は一人
花の一部になりたかった
春の容赦ない風に吹かれて
花の中に愚かに
その醜悪な姿を晒す
散るたびに香る
夜の吐息のような
....
怖いほどの輝きを纏った
一日遅れの待ち人が来る
懐かしさに言葉をなくす…
私はすでに空っぽで
あなたの全てを受け入れられる
一年の穢れ
妬み
悪意の数々が
その光に浄化 ....
カメオ細工の月
地平に凍てつく時
追って
捜して
ススキの陰に
今宵月光を見る
心と身体を射し貫く
秋の夜に
照らし出される白く長い道
命の儚 ....
川面に跳ねる無数の虫たち
深い底の
引力に抗って
跳び続けなければ
直ちに飲み込まれ
消える
嵐の夜の虫たちは魚となり
晴れた日には姿を隠す
掬うのは
網ではなく ....
ざわざわ
静かな海に漣が起こる
ざわざわ
胸の中に眠ったはずの想いが
静かに
静かに
閉じ込めた
中身を見ずに
静かに
もっと心の奥に
....
崩壊する青い壁
とどまることを知らず
何万年もの夢が
一瞬に消える
清浄な酸素を吐く気泡
海は怒り白い炎をあげる
時が重ねた史実は
時に覆される…過去を飲み込む
漂 ....