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ぼくらがその時住んでいたアパートは二階建てで、二階のちょうど真ん中の部屋がぼくらの住処だった。

深夜一時半、月が白々と全てを明るく照らし出している夜の中へ、ぼくはひっそりと出ていくことにした。
 ....
{引用=*《明科》

{ルビ山間=やまあい}にある明科という名の小さな駅から、ぼくは下りの電車に乗った。よく知っている場所のよく知らない駅だった。それは梅雨入り前のこと ....
親しみを覚えるのはノリに乗った文章ではない。

ところどころ覚束無い感じの消しゴムで消した跡が今にも見えてきそうな文章がいい。

ためらいがちで、口下手で、それでいて丹念な性格が見て取れるよう ....
営農センターの方から多くの桃が北側の倉庫に運ばれて来ていた。
フォークリフトの爪が木製のパレットに引っ掛かかる時に出す苦しげな音が梅雨明けの北信地方に反響し、鉄で出来た{ルビ軌条=レール}のような態 ....
その歳若い上司は、ぼくどころか妻よりもずっと若く、なんとその若さで現場のチーフを仰せつかっているとの事だった。
妻はつねづね、その上司が、制服の上から胸や腹のあたりを無造作にガリガリと掻きむしるのが ....
物音と話し声を聞いたとき、ぼくは布団の中いた。

ぼくは、しばらくじっとして、できるだけ注意深く外に耳を済ませることにした。

空耳ではないはずだった。
たしかに、微かな話し声と、横たえられ ....
心奪われる詩、とりわけ自由詩のそれにかんしてはだいたい数行読んだだけでピンと来て、後頭部から頭のてっぺんにかけてスッコーンと何かが抜けるものだ。

しかし、なかには例外もあり、これが不思議なところ ....
20代後半の頃、ボランティアをしていた事があった。

それは人生で唯一、サンタクロースの恰好をしてジングルベルを歌うのを自分に許せた季節であり、一銭にもならない仕事の代わりに、食べきれない量のお菓 ....
{引用=「言葉にならないなら、無理しなくてもいいよ。だって海にならないからって、水は流れるのをやめる?」}


サクラソウという名前の花を買った。帰り道に食材を買いに寄ったホームセンターの見切り ....
今年の梅雨明けは遅いですね、と話しかけられた気がして目を開けた。誰も私を見ていないし、ましてや狭いバスの中で他人に話しかけるなど、いまどきともするとちょっとした迷惑ととらがえがちな行動を取る人は少ない .... {引用=松本へ行く道すがら、ルート19号のダム湖を取り巻く緩やかなカーブに沿って、ぼくは軽自動車を走らせていた。流しっぱなしのYouTubeからは尾崎豊の『15の夜』が流れ出す。なんてこった。またなん ....  久々に二時半に尿意で目覚めた。最近、あまり良質の眠りがとれていないのにと心でぼやきながらトイレに立った。寝床に入りもう少し眠りをと願ったが、最近また体重が増えた妻のいびきがうるさく、結局寝れずにその ....  「キレイだよ、誰よりも。」


 鞍馬口駅のトイレでそっとつぶやく。髪を直して、グロスを塗って。そうして見つめる鏡越しの自分に向かって言っているものだから、他人が聞いたら「アホちゃ ....
ジム・プリマスさんの散文(批評随筆小説等)おすすめリスト(73)
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