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今は昔、をとこありけり。
片田舎に住みければ、いとあやしき箱にて文を交じらふ。
箱の中に、あまた集ふ詩歌の会ありて、よき歌には人々
より数を賜る。
思ひ起こして歌をばと箱の中に投げ打つも賜ず、 ....
秋の深むる道すがら
吹かれ漂ふ紅葉葉の
{ルビ言=こと}に出づとはあらずとも
心鎮むる文となる

風の流るる草の野に
そよめそよめく{ルビ薄穂=すすきほ}の
波を立つとはあらずとも
心 ....
詩を書くあなたは
言葉に恋をすることは
自由ですが
言葉と交際することは
禁止です

愛していることを
愛していると書いては
いけません

愛している以上に
愛を言葉で綴らなけれ ....
秋の絵を描こうと思って
外に出たら
筆を忘れたことに気がついた
これでは紅葉が描けない
真っ赤な葉の中にも
黄色があることを
描きたかったのだけれども

秋の心情を書こうと思って
シ ....
秋の中にも秋があり
気がつく時がうれしくて
秋を問わず
季節を愛させる

暦でわかる秋よりも
手に触れる
目に見える
やわらかい秋があることを

自分の中にも自分がいて
気がつく ....
少年は宿題をやらなかった
先生から言われた居残りは
いつものように嘘泣きすれば
みんなと一緒に帰れることを知っていた

交差点で友達と別れた帰り道
不自然に動くものが
彼を横切る

 ....
ぼくは詩人

その季節にはその季節でしかなく
その人にはその人でしかない

今日もまた

夜の散歩をしていると
秋風に出会いました

その風は
暑くもなく寒くもない
夏でもなく ....
昨日の夜
ちゃんと確認すればよかった
空っぽのランドセル
学校に着いてから
気がついた
空っぽのランドセル

歩いている途中でも
軽いとわかっていたけれど
今日は体育の授業が多いから ....
コンクリートだらけのこの町に
ポエマーがやってくる
その名は
スーパーポエマー

マンションだらけのこの町に
スーパーポエマーがやってくる

聞くところによると
早打ちらしい
キー ....
雨が上がったその道で
どこからともなく吹いてくる
シャボン玉

次から次へと線となり
弧となり
連なる透明の球

曇った空を照らしながら
やがて溶けてゆく
風に流れるシャボン玉
 ....
入道雲の夏をして
暑い{ルビ思い出=おもいで}した後に
夕焼け空の秋をして
心も揺れる紅葉する

冷たい雪の冬をする
寒い{ルビ思い出=おもいで}する前に
赤いトンボの秋をして
心も揺 ....
「ありがとう」と言われたその瞬間
なぜだろう
口の中に栗が入ってきた

思わずその栗を噛み砕く
栗の味とその匂いが
自分を包み込む

なぜだろう
食べてもいないのに

そういえば ....
便利なものが満ち溢れ
心満ちると思えども
便利さのみが溢れ出て
欲求のみが加速する

高価なものも尊とまれ
何であるかもわからずに
高価がゆえに追い求め
評価のみがそこにある

名 ....
秋の日差しに照らされた
小さい花をただ見つめ
薄くて淡いその姿
はかない生を手で撫でる

やさしい土を踏み歩き
草の匂いか風が吹く
今だけ香るその世界
心とともに響きあう

空を流 ....
まだ青き紅葉の枝に止まり来る
秋はまだかと茶色い蜻蛉
夏らしい暑さも過ぎた昼下がり
石に腰かけ秋が流れる

その風に誘われたのかまた空へ
どこへ行くのか茶色い蜻蛉
吸われゆく雲の形は秋の ....
テストの開始のチャイムが鳴った
ぼくは集中して
問題に取り掛かった

気合が入る
これでぼくの進路が決まるのだ
このテストはぼくにとって
大きな闘い

ぼくは強かった
どんどんと問 ....
いつの頃からそうなのか
わからないけれど
物心がついた時から
ぼくの家には屋根がない

どうしてなのと
親に聞いたら
そういうものだと諭された

友達の家にも
遊びに行くお店にも
 ....
コンクリートの壁は
滑らか過ぎるくらい滑らかで
虚無が手を通して
伝わってくる

その平らな壁は
計算に計算を重ねた
蓄積そのものだった
自然への抵抗

しかしそれは同時に
自然 ....
暑き夏歌を詠もうと外出れば
  流れる汗に言葉は止まる

詩を放棄しなくてはならないほど
言葉が出せない
頭の中で淡く思いつく言葉たちは
ペンに伝わるまでに溶けてしまう

それは熱した ....
生きるものにとって
その生の躍動が大きく羽ばたく頃
森の中にそっと足を踏み入れる
静かな朝

光が遮られた場所には
シダの葉が青々と続き
時よりの木漏れ日は
地面の土を黒々と照らす
 ....
ぼくは詩を書きたい

あるべき姿は
あるべき所に立ってこそ
あるべき姿になる

今日もまた

朝の散歩をしていると
風鈴に出会いました

林の中に風鈴が落ちていたので
そっと持 ....
ぼくは詩を書きたい

流れの速い人の世
だからこそ
人に流されない自分がある

今日もまた

朝の散歩をしていると
早瀬に出会いました

曲がった川の外側を
勢いのある流れを見 ....
ぼくは詩を書きたい

物体は外から力を加えない限り
静止しているものは静止し続け
動いているものは動き続ける

今日もまた

朝の散歩をしていると
物理学者に出会いました

 物 ....
ぼくは詩を書きたい

人は安堵を求めるために
漂い彷徨う

今日もまた

朝の散歩をしていると
詩に出会いました

丘の上に
ひっそりと石に刻まれた
一編の詩

 人は安堵 ....
ぼくは詩を書きたい

何も気にしないことに
気になるものである

今日もまた

朝の散歩をしていると
ネコに出会いました

目が合うなり
さっと距離をおかれてしまった

嫌わ ....
ぼくは詩を書きたい

当然に疑問を抱かないことが当然ならば
疑問を当然とすることが疑問である

今日もまた

朝の散歩をしていると
清風に出会いました

この風は太陽からつくられ
 ....
ぼくは詩を書きたい

歌は灯火 詩は心
自然に生あり 人に命あり

今日もまた

朝の散歩をしていると
あじさいに出会いました

今にも雨が降りそうな
暗い空の中
輝くものは鈍 ....
ぼくは詩を書きたい

早いか遅いかは
その時点の問題であり
大切なのは
その時点で何を創り出したかである

今日もまた

朝の散歩をしていると
草船に出会いました
 
小川に架 ....
ぼくは詩人

失うものがあるということは
それだけ
生み出してきたということ

今日もまた

朝の散歩をしていると
詩に出会いました

 失うものがあるということは
 それだけ ....
ぼくは詩人

動けないことと
動かないことは
まったく別なこと

今日もまた

朝の散歩をしていると
防風林に出会いました

均等に並べられた
その杉の木は
まっすぐ
空の ....
佐野権太さんのぽえむ君さんおすすめリスト(128)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
古典詩ほうらむ(初段)- ぽえむ君未詩・独白16*06-10-1
秋の一葉とあらまほし- ぽえむ君自由詩13*06-9-30
詩を書くあなたは- ぽえむ君自由詩17*06-9-29
秋をなくしてしまった秋- ぽえむ君自由詩9*06-9-28
秋の中にも秋がある- ぽえむ君自由詩10*06-9-24
片足の雀- ぽえむ君自由詩7*06-9-23
ぽえむ君−秋風−- ぽえむ君自由詩11*06-9-22
空っぽのランドセル- ぽえむ君自由詩9*06-9-22
スーパーポエマー- ぽえむ君自由詩10*06-9-20
雨上がりのシャボン玉- ぽえむ君自由詩6*06-9-18
紅葉する- ぽえむ君自由詩9*06-9-17
秋の「ありがとう」は栗の味がする- ぽえむ君未詩・独白11*06-9-17
秋にものを想う- ぽえむ君自由詩6*06-9-14
ひたすら秋をしみじみと- ぽえむ君自由詩7*06-9-9
茶色い蜻蛉- ぽえむ君自由詩10*06-9-8
試験中は誰もが哲学者- ぽえむ君自由詩6*06-8-31
ぼくの家には屋根がない- ぽえむ君自由詩14*06-8-30
不規則な規則- ぽえむ君自由詩6*06-8-24
言葉は溶けてゆく- ぽえむ君自由詩7*06-8-15
過ぎゆく時の中で- ぽえむ君自由詩8*06-8-13
ぽえむ君−風鈴−- ぽえむ君自由詩5*06-6-30
ぽえむ君−早瀬−- ぽえむ君自由詩6*06-6-1
ぽえむ君−慣性−- ぽえむ君自由詩4*06-5-31
ぽえむ君−流浪−- ぽえむ君自由詩6*06-5-27
ぽえむ君−癒心−- ぽえむ君自由詩7*06-5-25
ぽえむ君−清風−- ぽえむ君自由詩7*06-5-23
ぽえむ君−花玉−- ぽえむ君自由詩10*06-5-22
ぽえむ君−草船−- ぽえむ君自由詩8*06-5-19
ぽえむ君−永遠−- ぽえむ君自由詩8*06-5-16
ぽえむ君−風林−- ぽえむ君自由詩7*06-5-16

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