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飛ぶ鳥はとても軽いのだということを
わたしはときどき忘れる
飛ぶために鳥が捨て去ったものの重さを
わたしはときどき忘れる

鳥の骨は細く軽く
すきまだらけで脆いということを
150kg超 ....
黒い円盤に封じこめられた過去の叫び
くるくるまわる盲目の蜥蜴
蜥蜴の王は
わたしを
見ない

幾千の音符が
それぞれは鎌のかたちをして
わたしの胴と四肢とを裂き
全体 ....
霧は晴れた 夜は明けた そして戦争は終わった
だからこそカーニヴァルがひらかれ
娘たちと青年たちはみな
陽気な音楽のリズムに身体を預け踊り狂ったのだ

レイヴンよ おまえは覚えているか
戦 ....
奇怪な生物が群れ泳ぐ
微細な海で
きみは自在にはねまわる

ぼくはきみをすりつぶす
人差し指の先っちょで

ぼくと君のあいだにある
屈曲率が
あんまり悲しいので




( ....
老女になりたいと思うことがある
老婆 というのでは色気がないので
老女 というのになりたいのである
あくまでも 老女 なのである

お抹茶たてて優雅にきみしぐれなど食べながら
とい ....
猫は中空を見つめていることがある。
なにもない空間。
なにもないはずの。

猫の視線がどこか一点に凝固して
黒目が大きくなると
わたしはすこしわくわくする。

猫の視点が
わたしの背 ....
海岸沿いに露出した三十年まえのゴミ山のうえ
新しい嘆きがそっくりひとつ捨ててあった
壊れた自転車
割れたブラウン管
骨の折れた傘
骨折り損のくたびれ儲け
破れた心臓
そんなもののうえに
 ....
窓をあける
蠍座がみえる

もうそんな季節なのだ
夜明けまえ小さな田舎の駅にも明かりは点り
どこかからきてどこかにゆく青い電車が
轟音を引きずってゆく
さよならを言うまでもなかった別れ
 ....
コーヒーには砂糖をいれない、
いま私はめちゃくちゃに機嫌がわるい、
人間なので機嫌が悪い日くらいあって当然なのだけれども、
こんなに機嫌が悪くなるとかえって気分がいい、
コーヒーにはミルクもク ....
春は死にかけている
ぼそっとつぶやいて探偵は
ブラインドの隙間から夕陽を見た

まともにブラインドを開けて見りゃーいいのにと
読者は思うかもしれないが
これはこの探偵の美学であり習慣である ....
夜中に台所で誰かに話しかけたかったら
話しかけたらいい
誰もいなかったなら蛇口にでも話しかけたらいい
君は自由だ本質的に
誰の手にも負えないくらいに

卑猥なことを叫びたかったら
夜空に ....
アゲハは真上に飛び立つ。
目的があるみたいに
だけど少しも慌てず鷹揚に
まっすぐに。

あかるい春の日
かわいた地面に
ゆらゆらと落ちている
アゲハの影。

高く舞い上がれば
薄 ....
人間はいつもゴキブリの飛翔におののく。
りっぱな羽根があるんだから、
ゴキブリにしてみりゃ、
飛ぶのは当たり前なんだが。

ゴキブリ自体は、
単に飛びたいときに飛ぶ。
問題をややこしくす ....
腰のものを赤く染めて鳥が鳴く。
うぶめ、と呼ばれる鳥である。
産の穢れに死んだ女は鳥となる。
ほう、と鳴くが聞こえるか。

生まぬとしても女は女と男は言う。
うぶめの悲しみを知らぬは幸福と ....
目醒めて夢をみたのか
夢のなかで醒めたのか
ともあれ俺は夢のなかで
不意に見出したのだった
油絵具でかっきり描いたような無人の街と
そこにたたずんでいる俺自身を

夢なのだから飛べるはず ....
暗闇れもんさんの佐々宝砂さんおすすめリスト(15)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
軽さへのあこがれ- 佐々宝砂自由詩44+*08-3-18
蜥蜴の子- 佐々宝砂自由詩405-3-12
真昼の霧、あるいは老いた詩人たち- 佐々宝砂自由詩304-12-28
水のなかの女- 佐々宝砂自由詩404-12-28
営業活動としてのマドリガル- 佐々宝砂自由詩3*04-11-6
ささやかな奇跡- 佐々宝砂自由詩504-3-26
寝付けない理由- 佐々宝砂自由詩17*04-3-23
アンチ・アーレス- 佐々宝砂自由詩704-3-21
クソババアになりたい- 佐々宝砂自由詩9*04-3-21
はるだし(私立探偵編)- 佐々宝砂自由詩404-3-18
夜中に台所で誰かに- 佐々宝砂自由詩8*04-3-17
アゲハ(百蟲譜22)- 佐々宝砂自由詩704-3-17
ゴキブリ(百蟲譜18)- 佐々宝砂自由詩5*04-1-25
私は石である。- 佐々宝砂自由詩24*03-9-14
墜落のはじまり- 佐々宝砂自由詩503-9-2

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