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陽だまりのベンチで
あなたの姿を見つけたよ
何気ない仕草のひとつひとつから
幸せのあり方を掬いだしては
これで良いのだと
ひとり頷くあなたの姿
大きな卵でも抱きかかえるように
胸の前で孤 ....
【#1 巡礼】
赤く
熱く灼けた砂に跪き
空と大地は
逆さまのまま
おまえは
まるで祈るかのように
うずくまり
彼方には陽と
境界線が ....
バスの発車する音が聞こえた
15時02分
西日に染まる時間
カーテンにくるまって見送っていた
ビルの向こう
机の上に広がった書類
領収書も
重要なメモも
紛れ込ませている
そう ....
夜道で
目の前を歩いている女性の存在に耐えられず
追い抜こうと早歩きをはじめた瞬間に
その女性が早歩きをはじめたので
追い抜こうと走り出したら
その女の人も走り出して
誰か助けてといった
....
いつまでも気付かなければ良かった
と思うことがある
熱帯夜の寝苦しさに目をふと覚ますと
わたしの知らないおとこのひとが
わたしの横で寝ていて
二つ並んだお揃いの枕と
ふたりで寝るには狭いベ ....
私は鳥ではないので
空の彼方をこの身体で見ることは叶わないし
私は魚ではないので
海の彼方をこの身体で知ることは叶わない
それでも私は私なので
切なくなっても寂しくなっても詩を謳うし
....
カーテンの隙間から
ほほに落ちた
朝の雫
やっぱり明けない夜はなかった
無理やり今日をやり過ごせば
また夜は来るけれど
蟻が蝶を運んでいる、
ああヨットのようだ。
と、書いた人は歴史に名を残したので
キャベツとキャベツがマヨネーズで引き合っている、
ああボンドのようだ。
これで ....
父の墓に特級の日本酒をぶっかけたい
父の墓をキックしたい
父の墓のまえで煙草を吸いたい
父の墓の前で女とやりたい
父の墓の前で女にしゃぶらせたい
父の墓の前でいろいろ考え ....
蒼き夜空に裸体の桜
瞬く星に影だけ揺らす
オリオンの傾きが
その時を告げるまで
その腕に
無数の蕾を抱いて
むすんだくちびる
静かに眠る
くちづけは
春一番に
ポットから注がれる
最後の一滴には
葉の命ともいうべき
紅の色と美味しさが
たっぷりと入っている
君から注がれる
最愛の言葉には
葉の命ともいうべき
囁きの吐息と秘めた想いが
た ....
私はとても小さいので
海を見れば
海でいっぱいになってしまう
私はとても小さいので
空を見れば
空でいっぱいになってしまう
私はとても小さいので
風を匂えば
風で ....
洗脳されました
日に日に
それは目でもわかるほど
見事に実に艶やかに
洗脳されています
そんな脳を元に戻そうと言う人がいますか?
洗脳を洗い流す者がいますか?
いや、いないで ....
赤と緑が
美しく共存する
いつからかクリスマスのシンボルとして
家々に飾られるようになった
花を守るために
葉が変化したという
赤い花苞
この世界には
今も ....
満水の夜に
感覚をとぎすませながら
無数の魚が泳いでいる
距離と、位置と、
上昇する体温と、
そういうものを
止めてしまわないように
蛇口に口をつけて
あふれ出すカルキを吸うと ....
目を閉じ
緑はほとばしる
陽の音が 陽の熱が
やわらかな迷路に落ちてゆく
川に沿って光は曲がり
風は遅れてあとを追う
土のかけらは水のなか
異なる火となり揺れている
....
あしたは
きみの旅立ちの日だから
きょう、ぼくは
青い鳥の羽根を
洗おう
すこしばかり疲れた
青い鳥の羽根を
洗おう
ざぶざぶざぶざぶ
きれいにきれいに
なんどもなんども
....
色の抜けてしまった部屋
一人で静かな不安定
案外几帳面な冷蔵庫の中や
案外不揃いな洗濯物の干し方
そんなことさえ愛しい
お日様の光は残酷だ
朝が濡れ
渇いたのどに
ゴクゴクと
....
想うだけで
心があたたかくなる
そんな人が
私にはいるから
大丈夫
まだがんばれるよ
すべてを失いました ほんとうにすべてです
そこで手に入れたのは、ちっぽけなタネです
でも、信じてしまう
みんなだってそうだと思います
だから、たいせつに水を与えつづけます
ミルクが欲しい1歳は
男が欲しい21歳に
あっけなく捨て去られる
新しいゲームソフトが欲しい12歳が
プラダが欲しい32歳の
財布から金を抜き取る
夢が欲しい33歳は
安定が欲し ....
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