引き金を引こうか。
口を開けて、押し込んで。
引き金を引こうか。
何もかも忘れられるさ。
引き金を引こうか。
おもちゃのように、軽く。
引き金を引こうか。
最 ....
戦いは終わったかね
ならば
潔く
首を斬りたまえ
もう必要ないだろ
なんだ
イチゴジャム塗れだな
冷蔵庫の中で
マシンガンでも
ぶっ放して
ジャム瓶ごと蹴散らしたんだろう
慎まし ....
「鬼婆の髪を見に行きませんか」
ローカル新聞社の記者から電話があった。
「或るお寺にですね、鬼婆の髪があるんですよ。そのルポを書いていただかうかと」
「インチキなんぢゃないの。拝観料とか取るのか ....
鍵が手元に2つあります。
これで無くしても大丈夫。
でもやっぱり無くしたくないです。
我儘だねって笑うかな?
スペアキー。合鍵。誰のための?とかね。
部屋に帰れば暗いです。
たま ....
ナフタリン
遠い思い出
六月の衣替え
土曜日に雨
二人で聴いたレコード
三度減圧を繰り返した
潜水夫の足取りで起き出す
昼間はほとんど何も見えなくなった
月や星は
正午にも光っているというのに
エフェクトマシーンのような空
卵の黄身のような月
白い雲にさえぎられ
引っ込んだり現れたり
うなぎがビーカーから飛び出す
不穏な夜
まぶしいまぶしい
夜なのにまぶしい
白い雲がなまずの ....
小学生の頃に乗っていた青い自転車は
ボタン一つでロボットに変形した
サドルの裏側にボタンはあったのだけれど
変形すると股間に隠れてしまい
外からは押せなくなってしまう欠陥品
だから自転車に戻 ....
少し離れた
海のようなところを
目覚まし時計がひとつ
泳いで行きます
古い色のバス停で
返却期限の過ぎた図書を
二冊抱えたまま見送る
息継ぎだけが
わたしの動作でした
プルルルル プルルルル
リリリリ リン リリリリ リン
知らない人こんにちは 初めまして
番号一つ前ですね
プルルルル プルルルル
リリリリ リン リリリリ リン
知ら ....
接ぎ木を重ねて枯れた樹が
庭の入り口をふさいでいる
小さな寄生木の花が咲き
風は粉と名前を運び
誰もいない街に撒いてゆく
山に残る最後の雪に
ひとりはぐれた鶴がいて ....
弔いの言葉が捌かれて
彼らはそれを咀嚼する
通約された痛みの淵に
紫紺の{ルビ輪=ループ}を描きながら
桜は
自らの闇に向かって落下する
....
あなたに愛される
蝶のようには
なれなかった日
私は一匹の蛾となって
その燐粉は七色に
辺りに飛び散るのです
私の周りには虹ができ
私は私の毒に
やられてしまう
あなたは ....
わたしはプロの修繕屋
まるまる全部直すのだって
お安い御用だが主義じゃない
その場その場で繕って
さすがプロだと言わせてきた
だけど これ以上
自分を繕 ....
車内、を 満たす
爆音、ムスクの 香
それらに
巧みに 織り込まれ、た
幻聴、二百台 目の
サイレン、と 瀕死者 等の
呻き、に 魂、其の、或る種、は
ゆっく り、と 白い
城、 ....
白く大きな建物が倒れ
道に大量の湯を噴き出していた
蒸気と飛沫がとびまわり
離れても離れても熱さは変わらず
自転車を手で引きながら
白いかたまりを見つめていた
....
大切にしていた小鳩を
私がそっと取り上げて
早く大きくなりなさいと
あなたの耳に囁きかける
男の子なら
強い猟師になるべきだと
お父様もおっしゃいました
お父様は自由に空を駆け回る
....
ベッドが泣きべそをかきながら
部屋の中をうろうろしていた
寝ぼけて
もう何が何だかわからないのだ
思わず笑いそうになったけれど
どの引き出しが口なのか
自分でも判別がつかなかった
....
ながれて
出会って
くっついて
ひとつになって
形を変えて
また新しくなって
ながれて
消えて
また生まれて
雲も
あたしも
いっしょだね
約束の
5分前には
来てください
もし
1秒でも
遅れたら
あなたの
首を
刎ねますよ
首を刎ねらられたら
人は
死ぬのです
だから
私の家に来 ....
ばななね
だめになったよ
真っ黒に
もう
食べられないね
好きなんだけど
ばななね
黒いとこは
残すよ
おいしくないから
食べてもいいけど
おいしくないよ
黄色好き?
そう
....
仔猫が生き埋めになっている場所に
機械が出来ていたらどうしよう!
どうしても仔猫を助けてあげられない!
仔猫が生き埋めになったあの今もあるふくらみ
機械の音が聴こえてきたら?
……仔猫はもう ....
女王なのだよ
あたしたち
何も入っていない
おなか突き出して歩く
白線の上を
手ぶらのまんま
ふちどられた
土地は
不毛の匂いが
するのさ
あたしの
体を死んでいった ....
目を閉じて
思い出すことは
あまりない
目を閉じて
思い出すことは
あまりない
目を閉じて
目を閉じて
思い出すことは
夜障子の隙間にひとり立って
あからさまに見ていた ....
灰色の光
開かれた窓
庭の切られた木の前に
ひとりの午後が立っている
乱れた髪の
乱れた羽の
飛べない午後が立っている
雨雲と空の境いめをふちどる
青 ....
誰かの隣で
こうもりがとんでいる
アスファルトの塔の向こうで
みどり色の空がわらってる
子供達の声が
消えていく公園で
ブランコが何かを掴み損ねておどってる
砂場の奥から
早く ....
ひいた こより
てのなか ふるえてる
だれかの ため
よういされた ことばが
こころのおく ねづく
だれにも したがいたく ない くせに
ひとつのもじ に かんきん されてしま ....
しゃがみこんで
つまみ上げてみてごらん
たいていは
どうでもいいモノゴトでしょ
そういう
どうでもいいモノゴトを
寄せ集めて積み重ねて
それで
できあがっているのが
世界なの
....
ポップコーンを口いっぱいに頬張った後で
鼻から炭酸水を流し込むと
きっと、宇宙へと飛んで行ける
地球は青いですか?
地球は本当に、青いですか?
古代エジプトの王の墓の目の前で ....
大きく口を開けてください。
はい、そのまま開けてください。
右の上奥歯に過去がはさまってます。
取り除きますね。
右の下奥歯には偽善が詰まっています。
そのままに ....
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