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墓地と背
鎖を手に
見えない声
遠い灰の音
雨が
雨のための径を通り
去ってゆく
傘の無い街を
照らす幻日
呑まれゆくものに
小さなものらに ....
橋をくぐる橋の向こうに
ひとつおきに壊れた灯があり
ひとつおきに鳥の背を射る
青のなかの金
金のなかの青
朝に昼に 夢をめくり
めくりめくり 剥がれ落ちる
....
接ぎ木を重ねて枯れた樹が
庭の入り口をふさいでいる
小さな寄生木の花が咲き
風は粉と名前を運び
誰もいない街に撒いてゆく
山に残る最後の雪に
ひとりはぐれた鶴がいて ....
白く大きな建物が倒れ
道に大量の湯を噴き出していた
蒸気と飛沫がとびまわり
離れても離れても熱さは変わらず
自転車を手で引きながら
白いかたまりを見つめていた
....
灰色の光
開かれた窓
庭の切られた木の前に
ひとりの午後が立っている
乱れた髪の
乱れた羽の
飛べない午後が立っている
雨雲と空の境いめをふちどる
青 ....
夜の柱に伝わるもの
にじみたなびく煙の端々
昼の友の鼓動
原を走る火の行方
冬のはじまりを映して川は流れる
遠く静かな道のりをゆく
幻日の虹のまわりから
....
轡の火
午後をめぐり
片翼の会話
道にまたたき
よみがえる
窓をあけ
両腕をひらくかたちの影が
飛び立とうとする鳥に重なる
はばたきはかがやく鉱を持ち
にじむ ....