嘘つきだったのは

きみじゃなくて


君がいるだけで
なんて言った

ぼくのほうで


燃え付き落ちる隕石は

決して願いはかなえない


知ってて願った


 ....
すくえるものの おちていくすがたは
ただ だまって ながめるばかり

かたちなきものの ながれゆくようすは
ただ あふれて すきとおるばかり

おもいは灰に、
火にちりりと焦 ....
今日も遠い北のはずれでは
北風がつくられている


私は妹の手をとって歩きながら
「ごらん、あれが北風だよ」と
すり切れそうな雲の端を指さして言う

すると雲は
少しずつ形を変えなが ....
部屋の電話線は
きっと
つながっているのです
耳をそえると
懐かしい雨音まで
聞こえてきます


ロウソク工場の煙が東へ流れて
小さな雑草の黄色い花が
激しく雨粒に
たたかれてい ....
誰にも読めない
真っ黒なページに
隠された物語を
私は
読まなければ
ならないのでした

ちぎって捨ててしまうのは
いかにも 乱暴で
悲しいのですが

もしも 読むことができたら ....
手で、ずれた眼鏡をあげる、八月の、水をふくむ、曇り空。閉鎖された父の勤務先、N社の自動車工場の脇を通り、母の自動車で、霊園に向かう。いままで納めることのできなかった、父の灰が、眠っている。わたしは、新 .... バスの窓から見てる

ハーフミラーのビルには

モザイクの空・・・

西の外れには

大きなオレンジが

惑星に沈みかけてる

そろそろ星が輝きだす

月の光が強くなる
 ....
その大きな手は
いつもどこかにあって
5才の目には映らない

小さな手で
探し当てたのはシャツの端っこ
まよい子が迷子にならないように

届くはずがないと
街の底から見上げれば
と ....
夜の柱に伝わるもの
にじみたなびく煙の端々
昼の友の鼓動
原を走る火の行方
冬のはじまりを映して川は流れる
遠く静かな道のりをゆく


幻日の虹のまわりから
 ....
浅い夕闇をきりさく
白と赤の急行電車は
あたたかい愛情と
あわい思い出と
あかい空っぽの
カバンを乗せて
ゆっくりと隅田川に沈む

水面に浮かんだ
マミドリのヒカリの
デコボコは崩 ....
そこにいてはいけない
広がる闇がせまっている
いのちが傘を畳むように
ひとつの音楽がおわろうとしている

からみあう僕たち
下草の湿った野原で
傾いていく橋
今光が走った
ここには
 ....
轡の火
午後をめぐり
片翼の会話
道にまたたき
よみがえる


窓をあけ
両腕をひらくかたちの影が
飛び立とうとする鳥に重なる
はばたきはかがやく鉱を持ち
にじむ ....
炎天の下

雪兎一匹

気紛れで生まれた

雪兎一匹

我を見つめて

涙が一滴

真夏の雪兎

溶けてそれきり
気配を感じて
虫の音が止む
一瞬

あなたが
嘘をつく前の
静寂に少し
似てる

(黙れ黙れ)

通り過ぎた茂みから
虫の音はまた響く

(疑念のように)

夜は
み ....
荒野は祝福されている
たおれるな ふりかえるな
魔がさせば
魂をぬかれるから せめて
くるしんで詩をかくな
テンテン
赤い顔
肩に噛みつく
明日は
大津に
行くんだって
テンテン
緑色
優しくなる
明日は
牧師に
会うんだって
テンテン
白銀の街
手を取り合う
雪がやむと
帰 ....
たゆたうみたま
いずこへむかう
いぶきゆらゆら
ほどけてきえん

いしくもいちずに
まもるまなこは
かがりびゆらゆら
うつしてきえん

かなしかなしや
いわけなきこえ
ことのは ....
やはらかな ひかりの かけら

あつめて はなつ かほり

かぜの おびを ほどき


めざめよ


とほき ゆめの かなたより

はなは あさに ひらき

とりは ひ ....
くられ ねんね の
いと しゃみ あんや

ふるぎ おもや に
かえ とぐ そぞろ

にちにち からかむ
てづな の とんぼ

まくり まわし て
けんけん ぽん ちょき

 ....
飛散したガラスの破片が
危ないものだなんて知らなかった
キラキラとひかって
みんながとても喜ぶだろうと
そう思ってた
ひらいた おやまの
むこうの おそらに

ちいさく てをふる
おにのこ つちのこ

とんとん とんのに
とうせん はなおに

とんから とんから
とうそう はなおに

ひらいた ....
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