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はる風がふくと
ぼくらは旅に出る
あき風がふくと
ぼくらは旅に出る
風がふくたびに
ぼくらは彷徨い
風がふくたびに
ぼくらは傷つき
その代償のような
中途半端な安息を得てきた ....
突然
写メールを送りつけてきて
おれの誕生祝いに
夫婦ふたりで
温泉に行くのだという。
ちょっと待てよと
息子としては思う。
おれの祝いなのに
なんで
昭和元年と
大正十四 ....
ひかりものに
おおくのさかなが
むれてくる
ひとが
ぞろぞろ
つれてくる
うみが
しずかに
わらっている
なつ
しおが
まあるく
みちてくるのは
ぼくらのからだに
きざまれたひつぜんだ。
しおが
まっくらに
ひいてゆくのは
かぜがおしえる
このほしのぱずるだ。
このほしとつきとのなぞ ....
夏
午後
湖まで
二万歩を歩く
ふたりで歩く
途中
息づかいが消え
ふり返ると
青桐の葉を持って
笑っている。
夜
タバコを買いに
五階をくだる
ふたりでくだる
途中
....
ぶつぶつと
涙吹く
蟹たちの
{ルビ現実=うつつ}を食って
それでも
なお
風をみつめている
ひくひくと
こころがひくついて
うまれて
はじめての
すんじきゅうかを
しゅちょうしたから
おれは
ぴくぴくと
からだを
けいれんさせながら
それにこたえようとしたら
そりゃあな ....
解かれた家はあたりの景色を変え
歴史のつむじ風を吹かせる。
ユンボが
さっぱりと暦をかみ砕き
暦はまた小さな風となって
背筋を寒くする。
鳥肌の立った皮膚に
父と母の
祖父と祖 ....