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桃色の屋根をぶら下げて
花を振りまくあの売り子に
トマトをぶつけてやる
熟れすぎて
腐りかけの赤を
思いきって投げる
彼女は手を差しだしてまで
受け取ろうとしてくれるだろう
いまのは世界中の石像が
月のちからにひかれ
変身しようとして
均衡をうしない
たおれて砕けた音だ
呼ばれていく
わたしの行く場所は
今はもうない
小さな平屋の家
家々の裏をすり抜けるように駆け抜け
小さなコンクリートの階段を上がると
カラカラと音がするサッシの引き戸
薄いガラスが嵌め ....
暗闇の中に、
わたしはあなたの
横顔を探したい
満たされて静かに微笑む
十六番目の月のように
もういいのだと言った
あなたの横顔を、
....