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泥になって歩く
海の方から風が吹くと
私じしんである 泥
がかわいてしまいそうになる
おまけに潮のにおいまで
はりついてしまいそうになる
この湾岸沿いの道は 淋しさ
そのものが細長く伸び ....
はじめて声を上げる。はじま、りの、はずか
しい過去を背負ってまで、橋を渡って喉をふ
る、ふる、ふるわせる。てえぶるの、表計算
の、[枠]の中に囚われ、ていた酸素の、また
《二》酸化炭素の、見え ....
 詩の読み方といっても、そんなものが決まっているわけではないし、決められるものでもない。読者は自由に、自分の読み方で詩を楽しめばいいのだ。だが、そう思う反面、詩の読み方に根本的な誤りがある人が多いよう ....  かつて、いまよりもずっと若い頃、僕は夭折に憧れていた。いま考えると何とも恥ずかしい話であるが、かつては若くして死ぬことに感情的に強く惹かれていたのだ。中学生の頃から詩のようなものを書き始めていた僕は ....  木葉揺の書く詩には常人では思いもよらないような妙な味があって、それが彼女の詩の鮮烈な個性となっている。個性があるというのはそれだけで大きな武器になりうるものだが、悲しいかな、個性というものは努力して ....  詩の批評ということについて、少し考えてみたい。とりわけ、批評の必要性について。既にわかりきったことであるのかもしれないが、自分の頭の中を整理するためにも、ひとつの文章を書いておきたいという気がする。 ....  忘れる。人だとか物だとか、さまざまなものを人は忘れていく。今日を生き延びるために、無理矢理にあるいは自然に、忘れていく。だが、その一方で、忘れないでいるという選択もある。かつて一緒にいたけれどもいま .... とどける。せかいのどこかでいきをころしている君の
ために、ひとつのうたをとどける。君がなにものなの
か、だれにもしられていなくて、しられていないこと
は、みたことのないけむりのようなかいかんでも ....
いのちを
てのひらのように合わせる
欠けたまま
あることの
ひとつの償いであるかのように
頭上の硬い岩は
いつでも欠けたままで
(満ちることなど
たまにしかない)
私たちの不安定な歩 ....
欠けている
それだけで思い悩む
砂のようないのち
たとえば
ふたつの石を打ち合わせて
火をつくる
そのために
石が欠けたとしても
かまわずに石を打つ
ただ
火をつくる
それだけの ....
答を探している
人生のすべてをかけて
日常の暇が出来た時を見つけて
探しつづけている
火曜日はよく燃えるので
腰まわりを綺麗にしておかなければならない
(よく湿らせておかなければ)
とも ....
      ――Sに



ばらばらにされる
    (君のせいで)
        俺が歩く その先々で
俺は自らの破片をばら撒いてゆく
    路上に
        天井に
 ....
      ――Sに



家に帰ると
君のために心をばらばらにする時間がほしくなる
俺は怪物になれるかもしれぬ
あるいはなれないかもしれぬ
そんなことを思うのもすべては
君のためで ....
      ――Sに



すべての結果に原因があり
物事は (心の中の事象でさえも)
そのまっすぐな道を歩いているだけであった

だが

垂直に落ちる滝のようにひとつの感情が
 ....
 村野四郎を近代詩人に分類するのは多少のためらいがある。確かに第五詩集までが戦前に刊行されており、戦前に出発した詩人として近代詩人の範疇に含めてもおかしくないかもしれない。だが、戦後三十年を経た昭和五 .... 溺れていく夏の海の傲慢を乗り越えて、原色
の光景にすべりこんでいく。速度を上げろ。
減速してはいけない。止まってしまったら、
たちまちにして恐怖がおまえをとらえるだろ
う。夏に生きる恐怖。夏に ....
      ――Sに



世界は美しいと感嘆する前に
やらなければならないことがあって
誰もがそこへ向かって走っている
完璧なソネットなど書けやしないから
俺の言葉はいつだって
掘 ....
夜 眠ろうとすると
世界中のあちこちから甥がやって来て
カブト虫を探してくれと言う
逃げてしまったらしい
眠くてもしかたがない
夜はまだ長いから
大勢の甥たちと一緒に
カブト虫を探してや ....
詩はいつも夜明けの相貌
足の記憶をひもとく余裕もなく
私は迷う
自らの足を踏みつけながら
置き去りにしてきた
枯葉の午後を追う
踏破せよ
惑いの道
あらゆる塩に咽びながら
入眠の甘さ ....
ふうふうと
息をのぼらせ
この坂道をのぼってゆく
季節は溶解し
逆転し
暗転し
眠るものの肌を焦がした
ふうふうと
息をのぼらせれば
ふうふうと
あえぐ空 または地

(私はあ ....
 詩のことについて考える。自分が詩を書いているということについて、その意味を考える。詩を書くことに意味はあるのか? あるといえば、ある。ないといえば、ない。はっきり言えばよくわからない。だが、自分が詩 ....                  そして、
海は濁っていった。青黒く、あるいは黄色く、
濁ることで海はひとつの予兆を示した。水平
線までの正確な距離をはかろうと、漁師たち
は考えをめぐらせ、砂 ....
間違いを犯さずに
生きていようとつとめてきた
  少なくとも
    大きな間違いだけは

生後 という
言葉がある
生まれた 後
という意味だが
つまりはこの世に参入してからの
 ....
のこされた風の中
四月がやって来る
この思いをのこしたままで
新しい輪に入らなければならない
記憶を背後の倉庫に閉じこめて
残酷な月が始まる
すべての匂いや音や色が
われわれを呼吸困難に ....
夭折


{引用=まだ生きているのか
そんな声が聞こえるのは
夜の 穏やかな枕の中だ
まだ生きている
時代を通過して
場所を通り越して
まだ何とか 生きているのだが

もう生きて ....
箱入り娘に関する一連の推論は、世界という
もうひと回り大きな箱に対する裏切りのひと
つであり、それを論じる者たちは、それを奪
おうとする者たちと同じく、等しく同じ罰を
受けなければならない。箱 ....
書けなかった詩の断片が
ちぎれた草になって

風に舞っている

いのちは永すぎる未完
死してなお
始まりにさえたどりつけない 未完

私の夜はいつもと同じ旋律を
内側の街路にまきち ....
ご覧なさい
桜の花が満開じゃないの
ねえ

ご覧なさい
誰もが浮かれて
踊るように笑っているじゃないの
ねえ

花見だか何だか知らないけれど
生きている人って
気楽なものじゃない ....
ゆうらりと
ゆれてしまえばかげひとつ
かげとかげとがかさなって
もっとおおきなかげひとつ
もっとおおきく
もっとかぼそく
うたってしまえば 月 むざん
うたってしまえば 夜 むざん

 ....
 以前から思っていたのだが、恋愛というものは詩のテーマにするにはあまりにも難しいものではないだろうか。それなのに、やすやすと恋愛をテーマに詩を書く人が多いのは、僕にとっては疑問である。恋愛詩を書くのは ....
銀猫さんの岡部淳太郎さんおすすめリスト(78)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
湾岸経由蜜柑畑行き- 岡部淳太 ...自由詩24*07-2-6
産声- 岡部淳太 ...自由詩6*07-1-22
■批評祭参加作品■詩の読み方について- 岡部淳太 ...散文(批評 ...15*07-1-8
■批評祭参加作品■夭折をあきらめて夜が明けてゆく- 岡部淳太 ...散文(批評 ...13*07-1-6
■批評祭参加作品■木葉揺_その個性の行方- 岡部淳太 ...散文(批評 ...10*07-1-5
■批評祭参加作品■ピラミッドは三角か?- 岡部淳太 ...散文(批評 ...13+*07-1-5
忘れること、忘れないでいること- 岡部淳太 ...散文(批評 ...16+*06-12-27
とどける- 岡部淳太 ...自由詩12*06-12-17
eclipse_**- 岡部淳太 ...自由詩14*06-12-10
eclipse_*- 岡部淳太 ...自由詩13*06-12-7
火曜日に燃える- 岡部淳太 ...自由詩15*06-11-5
破片- 岡部淳太 ...未詩・独白8*06-8-25
俺たちとは呼べない俺と君- 岡部淳太 ...未詩・独白5*06-8-25
ポエティック・メランコリー・シンドローム- 岡部淳太 ...未詩・独白8*06-8-21
近代詩再読_村野四郎- 岡部淳太 ...散文(批評 ...7*06-8-9
溺れていく夏の- 岡部淳太 ...自由詩16*06-7-21
出来損ないの七十行- 岡部淳太 ...未詩・独白7*06-7-17
世界中の甥- 岡部淳太 ...自由詩15*06-7-9
迷路、あるいは疲労した道- 岡部淳太 ...自由詩9*06-7-1
地霊- 岡部淳太 ...自由詩8*06-6-15
平準化する世界に対抗するために_——池袋ぽえむぱろうる閉店に ...- 岡部淳太 ...散文(批評 ...12+*06-5-7
そして海は濁っていった- 岡部淳太 ...自由詩11*06-4-24
生後- 岡部淳太 ...自由詩10+*06-4-17
四月のいる場所- 岡部淳太 ...自由詩16+*06-4-11
夭折(三篇)- 岡部淳太 ...自由詩13*06-3-27
箱入り娘に関する詩的考察- 岡部淳太 ...自由詩6*06-3-21
未完の夜- 岡部淳太 ...自由詩18*06-3-14
幽霊と桜- 岡部淳太 ...自由詩12*06-3-8
霊能者が書き留めた幽霊の聴こえない歌- 岡部淳太 ...自由詩8*06-3-1
恋愛詩の可能性- 岡部淳太 ...散文(批評 ...17+*06-2-18

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