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泣くために悲しんだことがある


砂浜にかじりつくようにくいこんでいた白い貝は
まるで生きているみたいに艶やかな色をしていたから
指先で撫でたら深くもぐりこんで逃げてしまうような気がした
 ....
見ていられない手つきで
君が包丁をにぎるものだから
僕は目がはなせない

指の皮すれすれで切り出される
それはきっと食べ物なのだろうけど

目を皿にしても
そこにおいしく彩られることは ....
夜闇の波に揺れて
わたしの海は広さをなくす


いったい何が不安なのかと
ひとつひとつ問いかけてくる波に
ひとつも答えることもなく


わたしはひとり揺れている


「あ」から ....
動物園でペンギンを眺めていたら
一羽のペンギンが
小さい羽をぱたつかせ
しきりに何かをうったえてきた

けれど僕には
ペンギンの言葉がわからない

それが通じたのか
ペンギンは淋しそ ....
まるであなたの
唇のような色でした


10月
神様のいない月に
願い事は増える一方で困ります


去年きれいに咲いた
シクラメン


冬に灯りをともすようにして
春先まで ....
「ねこの手」


ねこの手も借りたいような
忙しいとき

君はさりげなく
手伝ってくれるけれど

君の手が小さく動くたび
僕は何もできなくなってしまう


  *


 ....
風が言葉をさらっていった

ただ黙って
夕暮れを見送る

綺麗なものへの憧れは尽きることなく

たとえばそう
悲しみの結晶が透明であるならば
過去も無かったことにできるだろうか

 ....
すらすらペンを走らせれば
紙の上にハトを飛ばすこともできる

あるときは灼熱の雪を降らせ
またあるときは凍りついた心も融かす

僕はマジシャン

人の気持ちも思いのままに
不思議と動かす言葉を使う

 ....
スキップがうまくできなくて悲しい


昔見た映画の主人公みたいに
雨の中でも楽しそうに
水たまりをけって飛び跳ねる

憧れはいつも
自分にできないことが
少し上をかすめてゆくもどかし ....
満員電車の中で溜息をつく
人の間をすり抜けてゆく生暖かい空気

すみません、おります、という声に
押されてできた小さな隙間
赤いランドセルが送り出される
紙くずが舞うホームに向かって
歩 ....
殺してしまった

今日、何の罪もない
言葉を

奥歯で
噛み殺してしまった

悔しかったのだろうか
それとも
悲しかったのだろうか

そんなことは
いずれ忘れてしまうのだろう ....
(その3 園芸屋のおじさん)


おじさんは良く独り言をいっているのだけど、実はそれが独り言ではないということに気づいたのはつい最近のことだ。

植物に音楽を聞かせるときれいな花が咲くという ....
なんだかとっても寒いので
財布の中をのぞいたら
やっぱり寒い

ころりと100円玉
音をたてることもなく居て

街角の自動販売機
120円という表示が淋しい

一昔前なら缶コーヒー ....
(その2 自転車屋のおじさん)


おじさんの手にはすっかり油がしみ込んでいて、指紋もわからないくらいになっている。

それが職人の手だと自慢していたけれど、あんまりじろじろ見ていると少し恥 ....
(その1 時計屋のおじさん)


裏通りにある時計屋のおじさんは、まるで手品師みたいに器用だ。

おじさんの大きな手からは想像もつかないような、ちいさな部品をちょこちょこといじると、さっきま ....
ほら
ちからをぬいて
ほねなんかなくても

ごらんよ

こんなにうまく
きみはおよげる
雪融けのせせらぎが
草木に沁み込む速さで伝わる春

ひらいた花のはなびらが
舞い散る中で見た空の
青さを呼吸するような夏を過ぎ

虫の声に名残匂わす
涼しさにはほんのりと憂いの秋が
 ....
ガラン ゴロン
缶入りドロップをふると
そんな音がする


家を飛び出したはずの僕が
すっかりぼろぼろの身体になって
そんなふうにまた転がり込んできたとき
せっかく作ってくれた料理を
 ....
明日よ
おまえのことがわからなくて
今夜も僕は眠ることができない

現実を消化するのが僕の仕事だ
逃げ出さずに立ち向かうのが僕の務めだ

明日よ
なのにおまえは夢や希望だとか
しがみ ....
光と水と二酸化炭素から
酸素と糖をつくりだす

ずっと前に教わった

植物は
自分が呼吸するための酸素と
成長するためのエネルギーを
自分でつくることができる

僕にもできるかな
 ....
兄、あるいは姉と呼ぶべき
生まれなかった命にむけて

もしかしたらこの時代は
貴方たちの手で変えられたかもしれないと
そんな期待を寄せるわたしは
我が侭だとわかっています

 ....
戸惑いがちな指先で
そっと書いた「の」の字たち

あの その

真っ直ぐ言えないことだから
くるりと曲がってしまうんだ

その あの

「僕の好きな君の
好きな僕でいさせて下 ....
子供のころは簡単だった
青いクレヨンで雲のかたちをくりぬけば
それが空だと言えたけど


いま僕が描こうとしてる
この空には青が足りない


たくさんのことを知ると
たくさんのこと ....
季節はずれの花粉のせいなのだと
説明する僕のことを

受話器のむこうで
君がくすくすと笑っている

きのう雨の中でけんかして
雨なのか涙なのかわからなく濡れたふたりが
いまはこうして傘 ....
もっときれいな出来事が あってもいい


良い事をするのは
良い事だと教えられた 僕ら

悪い事をするのは
悪い事だと教えられた 僕ら

昨日のニュースで聞いた事
思い出したくない ....

プラットホームの端っこで
小さく手を振る人がいる


動き出す列車の背中には
きっと誰かの

そう
見送る視線のその先には
きっとそんな

夏の終わりが ....
幼い頃に覚えた童謡を口ずさんでみれば
なぜか悲しい気持ちがわいてきて
もしかしたら
うたの歌詞が悲しいのかもしれないと
確かめるように繰り返してしまう


夏と秋のさかいめは
きっ ....
膨らんでゆく不安を感じていた
知らない人とすれ違うたびに
増してゆく孤独があった

遠のいてゆく誰かの背中に
思いつく限りの名前を呼んで
立ち止まらせたいと思ったのは

それが優しさだ ....
九月
雨が多いのは毎年のことで
それはさしてめずらしいことでもない
のかもしれない

秋というにはまだ早く
ちょうど残暑という言葉があてはまる
そんな晴れの日も多い
九月


家 ....
となり街にある
パン屋のお兄さんはいつも笑っている


入り口の貼り紙には
「冷めないうちに食べてください」と書いてあって

お店のショーケースにもところどころに
「冷めないうちに食べ ....
銀猫さんのベンジャミンさんおすすめリスト(167)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
砂浜で拾った貝殻はどこまでも沈んでいった- ベンジャ ...自由詩11+*05-10-24
まな板の上の恋- ベンジャ ...未詩・独白5*05-10-24
夜闇の波- ベンジャ ...自由詩11+*05-10-24
動物園のペンギン- ベンジャ ...自由詩3*05-10-22
シクラメン- ベンジャ ...自由詩8*05-10-15
ねこねこねこねこ(ねこの詩よっちゅ+α)- ベンジャ ...自由詩4*05-10-14
悲しみに別れを告げるとき- ベンジャ ...自由詩12*05-10-13
マジシャンの憂鬱- ベンジャ ...自由詩6*05-10-12
スキップがうまくできなくて悲しい- ベンジャ ...自由詩4*05-10-11
「街波」【やったよ連詩!やっぱり連詩は楽しいね!】- ベンジャ ...自由詩6*05-10-10
殺してしまった- ベンジャ ...自由詩8*05-10-10
シリーズ「おじさんと僕」3- ベンジャ ...自由詩4*05-10-9
100円玉の温もり- ベンジャ ...自由詩15*05-10-7
シリーズ「おじさんと僕」2- ベンジャ ...自由詩9*05-10-6
シリーズ「おじさんと僕」1- ベンジャ ...自由詩9*05-10-4
くらげのように- ベンジャ ...携帯写真+ ...10*05-10-3
リレーする季節- ベンジャ ...自由詩11*05-10-3
缶入りドロップ- ベンジャ ...自由詩8*05-10-1
明日に捧げるポエム- ベンジャ ...自由詩8*05-9-30
夜書いた詩も光合成をしている- ベンジャ ...自由詩6*05-9-29
生まれなかった命にむけて- ベンジャ ...自由詩20+*05-9-26
「の」の字- ベンジャ ...自由詩12*05-9-25
この空には青が足りない- ベンジャ ...自由詩17*05-9-24
僕はくしゃみをする- ベンジャ ...自由詩12*05-9-21
もっときれいな出来事が- ベンジャ ...自由詩7*05-9-21
「夏の終わり」(コラボレート作品)- ベンジャ ...自由詩1105-9-20
夏と秋のさかいめは、きっとこんな夕暮れ- ベンジャ ...自由詩14*05-9-16
スクランブル交差点の真中で- ベンジャ ...自由詩10*05-9-15
夏からの手紙- ベンジャ ...自由詩14*05-9-13
パン屋のお兄さんは、やわらかい笑顔をしている- ベンジャ ...自由詩12*05-9-11

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