すべてのおすすめ
流れにあらがい
生きていた頃が、ありました
いつもいつまでも
淀み 聞かされた
乳房の谷に湧き出る
哀瀬の流れの
さだまらなかった
....
風来は たいふうの
すきほうだいに 人をもてあそぶ
時雨のあらがいようもない
もうまわりは すっかりうす暗がりで、
背にする重たい気圧 に 青ざめてしまうほどに
息をひそめ ....
蹂躙する環状線の
分離帯にたたずみ
海蛇さながらに うごめき流れさる車たちの
列をなしてすべり進む そのあまたな先頭に
まっすぐに向かって駆けだせ
つめたい高架の道を
ざらめく足の裏 ....
色のない街は、
誰もがうつむき同じ顔をつくる
雑踏の行きかうコンコースの{ルビ黄泉=こうせん}
かぎりない人たちが 少しもかわらぬ服をまとっている
はてなく続くエスカレーターの無限階 ....