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{ルビ欅=けやき}葉の道の向こうへ落ちにけり
{ルビ百合=ゆり}の木の葉のいく枚か色づきて穏やかならん秋の人達
雲の{ルビ峯=みね}水なき川を渡りけり 子規
明治三十二年、子規三十二歳の夏の作。私の最愛の句。また子規には
{ルビ藻刈舟=もかりぶね}雨ふるかたへ帰りけり 子規
とい ....
同じ事を{ルビ廻灯龍=まわりどうろう}のまはりけり
子規の句。たしかに走馬燈とはそういうものだ。この句を知って以来、ひとつの古ぼけた走馬燈が心中で廻っている。私にとって普遍の走馬燈となって ....
葡萄つまみ雨をながむる女かな
そうめんを茹でる音聞く{ルビ夕立=ゆだち}あと
あの人もこの人も濡れ{ルビ夕立=ゆだち}かな
義娘来て前夫の話しはずむ妻おれ、おるんよおれ、おるんよ
美しき雷光の射す手紙かな
人ひとりとどめてありぬ夏の山
暑き日を背に静寂の真鯉かな
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