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椅子の上に
左脳がひとつ置かれていた
色褪せた譜面から
いくつかの音符はこぼれ
床のうえでひょこひょこ跳ね
透き通った窓は、わたしたちと
青 ....
他にやり方はあったはずなのに
言葉でもよかったのに
きみは{ルビ擁=いだ}くことを選んだ
他に道はあったはずなのに
きみの肩ごしに
山並みは夕日に ....
{引用= ――Raymond Carverに}
男の頭を
少し傾けるとレイに
もう少し傾けるとアル中患者になる
注意深く
あなたは頭を傾ける
朝
....
祖母の家で
祖母と話す
昔ながらの広い居間
たっぷりの朝日が射しこんでいる
通っている盆栽教室のことを
嬉々として話す
新しく入った若い女の ....
仕事をおえ
歩む家路の安らかさ
大切な人とともに食べる
白米のしぜんな旨さ
簡単に愛してよ
行間にひそませた
なんやかんやはいらない
....
まがいものに
きみは
こころほれて
まがいものに
きみは
いやいやをして
だけど、きいて。
しんじるということは
う ....
41.
光のうちに
五つどころか、六つも八つも
感覚は踊り
誘う
42.
空き缶の塔に住む五十七歳の老人
43.
失 ....
1.
海岸に
打ち上げられたふたりの詩人が
詩の話をしている
金持ちが金の話をするように
2.
都市を撃ちぬく
弾丸
僕たちの指 ....
1.花畑に咲く
{引用=もう朝は終わってしまった
ちいさな女の子の
やわらかな手のうえで
朝は終わってしまった
だれかの罪が
ぼくの眠りを食んで
プランターの中で育って ....
最後の夏。
ぼくの皮膚の裏を焼く
最後の夏??
ぼくは生きようともがいている
最後の夏!!!
ぬかるみのなかを背泳ぎで行く…………
ぼくはも ....
ぼくはいつか、
ひとを殺すだろう。
五月の雨のざぶざぶ降る、
世界の中心で。
かなしくて、
くやしくて、
憎しみのようにふくらんだ
き ....
どこか遠くで朝が鳴らされ
どこか向こう側でカーテンが開けられ
窓枠の内側で
いくつもの頽廃が木枯らしに舞う
部屋
ありとあらゆる醜 ....
{引用= 哀なる愛と君は逢い、
やがて霧中の夢と解る。
負の歩を背に瀬を進めば、
蒔いた舞から今日が始まる。
焦がれた点は天へ。
求める血は地を濡らし、 ....
秋の夜の
電柱……
たとえばそこに
世界が着床する
ありふれて
ひとつに結ぶ
街の残像
心の残響
季節はやがて
....
ぼくは髭を剃ることが好きだ
冬の朝の洗面所で
鏡に向って
そのとき空が晴れていて
死にたいぐらいに青ければもっといい
もしもそれが
洗面所から見えない空でも
....
ヒロシマという街に
原爆ドームという建物がある
アメリカという国には
銃口のねじまがったピストルの像がある
僕の住む部屋に
ガンダムのプラモデルが二十二体 ....
引用符を背負った
かたちのない人たち
昨日の影に向って
蝉の声が落ちてくる
薄暗い景色は
横断歩道の向こうで止まった
僕をさ ....
白い魚を
この両目に見た
淡い午後のこと
そこらじゅうに
焼きついていたのは
光だけだった
水槽のような
街にきみは泳 ....
{引用= 君が想うなら、
無限さえ自由さ。
君が想うなら、
永遠さえ在する。
君が想うなら、
其処が宇宙さ!!}
意識。
....
日曜日の
台所
きみは皿を洗う
その手はぼくから見えない
春の水はきっと
未だつめたいだろう
形のないものは
流れる
痛いほどの ....
もう静かに語る
ひとつながりの都会
夜の新宿を見つめながらきみは笑っていた
その手のひらで
やわらかい声がふくらむ
どこへゆく ....
まず思考が積もり、
湿った言語が積もり、
牢獄のような会話が積もる。
(一人の自分として生まれたからには)
(一人の自分として死なねばならない)
....
{引用= 昨夜、
光が花に成り
音が花に成り
匂いが花に成り、
闇の膨らみの上、
しとしと積もっていった。}
(そして、僕は僕だ。)
円 ....
静か。
過去、いくつもの過去が来て
未来、いくつもの未来が来て
いまきみに重なる。
ぼくは息をのむ。
西日に映えて、
....
片すみで祷るのをやめて。
居ることに嘘をつかないで。
愛することに向き合うために、
愛するひとに背を向ける。
ひなたでまざりあう ....
まぶしい日が終わると
遠くの唄はきこえない
窓を閉じて
あの悲しみから距離をおく
ゆるされた時はどれほどの厚みだろう
どうか今日は
....
やさしいだけの今日が
昨日と同じテーブルに載った
たがいちがいに席につく
憂鬱はしずかに揺れる
満たすだけが心ではないのに
くりかえす ....