すべてのおすすめ
ひくく香りは 風の帆を駆け上がり
瞑っているもやの巣の中
はやく運ばないと
息を つのらせてしまうから
どこかに隠れていた
泡の綿帽子が
ささやきを運んでいく
腕時計をすると
その下に洞穴ができて
取っ手のないバケツが
ピチョン ときた時のために
埋め込まれている
なげ槍の中に住み込み
解毒剤の研究をしているスルメ
永遠の若さって 日干しね ....
介添えの眠るお天気雨
ふくらませたかかと
眼を覚ませば
占いのためにだけ
花を摘めない人がいる
なくした言葉を入れる
風の器は すぐに壊れ
花の行方に問いたかったのに
ここ ....
なだれゆく 曇天の鱗
きりぎり 虚空にさす枝先
絡めた糸で 傷付けるから
鳥は 近づいてはいけない
どこにもいらない花のように
身を潜めて
散る花の中へおちていく
踏む先に ....
きれた風が コップの中
五つの渦を 見上げている
行きつけの船の舵取りにしか
読めない星雲
人指し指をやめない
子守り歌は
コップのガラスをまわり
砂丘におちていく蝶の
石 ....
なをかけ
そらす
わにゆれ
くいる
つつしむ
よるに
こびんの
はおと
すめない
つちに
とべない
かぜに
まつうた
うたう
はなれぬ
はると ....
ひからせや あかく
つれゆく ねごもり
ほうらせ かたせに
おとなう みにおう
きりあめ とかれて
ゆきいろ ぬかるみ
おりこむ みついろ
枕の高さの分だけ
浮いてる孤独
しわのように
なみが 追いかけてくる
向きを変えたいけど
やっと こもってきた熱だから
隙間に入り込む外の風を
力なく拒む
しろくにごる ....
さんびどおもってらば
まだ ゆぎっこ ふってくるおだおの
まぢの たんぼだば すてっときえで
ながぐつなば はずがしして
みせっこさ よ ....
折れた枯れ枝に添ったまま
消えていく水時計を持つ土色の葉
陽射しを後にした地の床への風くぐり
通りの方から聴こえる小声
渓谷は乾き こぼれた石
切れた羽に 埋め込まれ
飛ぶ ....
あの若者は
なんであんなに
頭を下げるんだろう
野球好きならやればいいじゃないか
お金がなくて好きな事を諦める人はたくさんいる
野球ファンだけ汚れがないなんて変だ
全国民に頭を下げ ....
枠に閉じたら 絵だと
逆らわなかった息づき
飛べたものが 石の中
墜落もできずに
鎮火を待つ間
まだ 蝶でいる
地殻に居眠りする風の群れ
襟元合わせれば
擦れた羽音
すり抜けた鼓動の列の空
眠らないと 届かない宙
ひたった真昼の花の蜜 逝き
寡黙をあぶる眼に しゃがれ
かがみこんで握り ....
猫の鈴が暗い緑を揺らす
さわりのない ぺたんこの靴と
長くて白い靴下
じゃんけんで負けたように肩を落としていましょう
まだ 存じません
鳴るかも知れません
唇をつきだして
ふふふ ....
せとものが 乾いていく
洗った水を流す
手のとどかない
光源からのぬくもり
雇われたわけでもなく
息を 野に延ばす
図の中にいる血脈
末端を一巡り鼓動
いつか影を潰し
完 ....
凍えてしまえば
つもるものに
かけられる冷気にも
なれてしまって
記憶をなくしていくことだけが
自分へのやさしさ
ぬくもりにさえ 気を許さなければ
白い唇のまま 冬に 終えたのに ....
いえでします
と書き付けて机に置いた
小学校に とりあえず向かう
誰に叱られてだったか
何故か知っていた 家出というものを
はじめて決行した 小学一年生の時
きょろきょろみた ....
結婚が決まって 指輪を買いにいった
おもちゃみたいなアクセサリーばかりの私
緊張して店員さんに 結婚指輪をと言うと
いろいろみせてくれた
自分の指のサイズも まともに知らなくて
次々に ....
花の咲いた間だけ
とげに触れぬように
見張るように透明なコップに
移し変えたのは
空の下で枯れるすべての事から
逃げるためですか
守るためですか
とげよりもおそろしい指で
....
爪の丸みさえ
新しい希望のように
削った続きは 荒々しく
ひかれて こなごななのに
刃向かいきれない
小ささえ
隠し持てる 最大の武器にして
地図のいらなくなった
なつ ....
小説か詩かと作品について批評されているのを読み
ずっと前に知り合った詩友さんを思った。
エッセイの中で彼は書いていた。
最初は小説を書いていたけれど 体力的に無理で
詩に変更したと。
二十数 ....
倒れたからって
いつか倒れるんだから
なんの問題もない
みえなくなっても
いつかみえなくなるんだから
逆らわない
動かないのか
動けないのか
はっきりしろ
寝たままで
....
とってのこわれたカッター
囲まれたからおとなしく
折れたら折れた先で
汚れていく
自分と自分以外の事
時々 ねだるように
捨てられないだろうと
机の隅で 灯りから
はみでる
....
月の 蜂つぼ
ねかせられた
宿のない小石
そらんじた沈黙
からかうような
漆黒の 隙間
吹き矢に痺れる
鈴の壊れそうな
苦みになく小声
外堀の端に 蝶が あら ....
リボンひとつで
あなたの気をひけるなんて
信じてやしない
けれど
リボンひとつでもしないと
あなたに会えない
二十歳頃の作品
どこから こぼれてきたのですか
雨の かがみ込んだ内で
抜けられない 靴ずれに
しみる痛み
知らないうちに 紛れ込んだ
砂の汚した 靴下
脱いで 素足になりたいけど ....
付き合ってたって?
同窓会の席で唐突にきかれた
は? 誰と?
と 聞き返すと
詩の交換してらがったって
話 聞いてきたど と
興味津々の同級生
確かに 詩を見てもらった同 ....
サンタになる
と 義父が言ったのは 六十歳になったあたり
子供の頃からの夢だと言い
衣装をそろえ 駄菓子を買い込み
白い布など用意したので
義母は 義父用に衣装をつめたり
白い袋にした ....
黄色から赤信号に 変わった
コンビニエンスストアの 前の交差点
朝 うっすらと雪で凍っていた路上も
お昼を過ぎる頃 スリップする心配もわずかに緩み
直進の列に いつものように 並び
....
ふるわされた小紋の
遅い続き
とりつけられたままの
フレーム
切り落とした爪だけ
泣いてる
どこにいければ
そこは どこなの
力づくと
開けられたものに
かぶる 溶 ....
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