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兄、あるいは姉と呼ぶべき
生まれなかった命にむけて
もしかしたらこの時代は
貴方たちの手で変えられたかもしれないと
そんな期待を寄せるわたしは
我が侭だとわかっています
....
戸惑いがちな指先で
そっと書いた「の」の字たち
あの その
真っ直ぐ言えないことだから
くるりと曲がってしまうんだ
その あの
「僕の好きな君の
好きな僕でいさせて下 ....
幼い頃に覚えた童謡を口ずさんでみれば
なぜか悲しい気持ちがわいてきて
もしかしたら
うたの歌詞が悲しいのかもしれないと
確かめるように繰り返してしまう
夏と秋のさかいめは
きっ ....
膨らんでゆく不安を感じていた
知らない人とすれ違うたびに
増してゆく孤独があった
遠のいてゆく誰かの背中に
思いつく限りの名前を呼んで
立ち止まらせたいと思ったのは
それが優しさだ ....
九月
雨が多いのは毎年のことで
それはさしてめずらしいことでもない
のかもしれない
秋というにはまだ早く
ちょうど残暑という言葉があてはまる
そんな晴れの日も多い
九月
家 ....
目を閉じてひゃく数えるあいだの
静けさがこわかった
(いーち にーい さーん)
ぼくはずるだと言われるのがいやだったから
はんぶん泣きそうになりながらゆっくりと
(しーい ごーお ....
「サンタマリア」
僕は神様の名前を
あなたしか知らないけれど
僕は神様の存在を
信じたことはありませんでした
「サンタマリア」
僕にも名前があるけれど
あなたは知って ....
飛ぶ夢を見たことがある
動物園のダチョウはすっかり砂にまみれていて
それはつまりダチョウの習性であって
その目的は害虫を防ぐことだ
そんなダチョウに翼があることは
どうにも不自然 ....
聞こえるはずもない
花のつぼみがひらく音
それが優しい歌に聞こえて
蝶がちゅるりと
その花の蜜を吸うとき
それが優しい歌に聞こえるから
ぷーんと飛んできた蜂が
そ ....
ふと遠いところへ行きたくなる
通過電車に手をのばせば届きそうで届かない
本気で身を乗り出すと本当に連れ去られてしまうから
「危険ですから、黄色い線の内側までお下がりください」
というアナウ ....
今日が終わる
その少し手前で
ひとつ足りないことに気づく
いつものように
君を送りとどけた駅で
「またね」でもなく
「さよなら」でもなく
「ありがとう」でもない
ひとつ ....
線が
小さな点の集まりだと知ったのは
まだ恋なんて知らない
幼い頃のことでした
とぎれとぎれに
一つ一つの出会いがあるように思えても
振り返ればなぜか
すべてがつながっているよう ....
じんべえって
まるで人の名前みたいだ
こんな夏の日に
すっかり涼しい顔をして
遊びに行こうって言っている
(ほら、じんべえ
祭りばやしがきこえるよ)
ふわっ ....
まだ幻になるには早すぎる夏
したたる汗を拭きながら
影を引きずってみる
昼下がり
気がつけば青信号は点滅し
横断歩道は白くアスファルトを削っている
そしてゆらりと
行き過ぎる ....
どんなに薄めても
悲しみは消えませんでしたから
少しずつ明日を
塗り重ねてゆこうと思いました
悲しみは複雑すぎて
はじめとおわりの区別もつかないけれど
晴れわたる空に喜びは
....
台風が近づいてくるという
天気予報通りに降りだした雨に
慌てて部屋の窓を閉めました
(淋しさというものは
そんなささいなところに隠れていて)
窓の外から聞こえてくる雨音を
半歩遠 ....
僕はきっと虫なのだと思うありふれた夜。
その理由はいくつかあるのだけど、つまりそれは虫であるはずもない僕の外見からは想像もつかない。たとえば横断歩道をわたろうとするとき、わき腹のあたりがむずむず ....
七月の窓辺
夏色の羽をはばたかせて
揚羽蝶がひとり
庭に迷い込んできました
羽を持って生まれてきた生き物は
そんなふうに飛ぶのが
当然なのだというように
ゆらりと抱いた風をふ ....
入院してる友達のために折ってるのと
その子はちょっと淋しそうに
鶴を折っていました
それを手伝おうと
わたしも折ったのですが
できあがった鶴の
羽を広げようとしたとき
その子 ....
父と別々の家に住むようになってから
ときどきは会いに行こうと決めていた
小さい頃から
一緒に暮らした記憶などなくて
なのに父は
僕との思い出話を聞かせようとする
うんうんと
僕が ....
探さないでください
そんな手紙を残して
君がいなくなってしまったから
僕はちまなこになって探したんだ
押入れ、風呂場、トイレ
良く行くレストラン、レンタルビデオ屋
何処にも ....
目の前を何回か通り過ぎたと思ったら
いつのまにか腕の中にいた
陽だまりのなか
生まれた熱をくるむようにして
うっとりと瞳を閉じたのは僕の方だった
はっぱをめくればなめくじ
みんなにきらわれて
しおをまかれたりする
おまえなめくじ
うまれてからずっと
からだじゅうでないている
おれだっておなじ
みんなにきらわれて ....
母さん僕は
あなたの子供であることを何度
嫌味っぽく言ったかしれない
似ていると感じるほどに
それを振り払うような喧嘩を何度
繰り返したかしれない
そんな母が
「田舎に帰 ....
ふいに君と目があってしまったから
とっさに空を見上げて
あっと声をもらしてしまった
そんな僕を見て
君も不思議そうに空を見上げる
めずらしい鳥が飛んでいたんだよ
なんてもっとも ....
眼を閉じると古代の森が広がる
見たこともないはずの
それらが
私の中に確かに在る
植物は草食恐竜に食べられ
草食恐竜は肉食恐竜に食べられ
そんな彼らはみな土に還り
そうやって
....
眠いと一言
残して君は寝てしまった
車の窓から見える
夕日も海岸線に吸い込まれようとしている
そんな余所見をする
僕の危なっかしい運転のことなど
まるで知らない無防備な寝顔を見なが ....
裾に広がる森の緑
雲よりも白いその頂は
はるかにそれを越えて空をさす
足元ばかりを見つめるような日常にも
そうやって見上げる景色があり
富士はまるで矢印のように
その向きを教えてくれて ....
{引用=桜の頃を過ぎて
ふとした淋しさがこみあげてくる
そんな五月の夕べ
ずいぶんと久しい人へ
したためた手紙を読み返している
前略
いかがお過ごしでしょうか
花見の頃 ....
感情が表に出やすいのは
母ゆずりだ
そんなところだけでなく
顔も話し方も似ている
考えていることも何となく
わかってしまうのだ
けれど
母は僕の拒食を理解できない
夕食どき ....
千波 一也さんのベンジャミンさんおすすめリスト
(118)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
生まれなかった命にむけて
-
ベンジャ ...
自由詩
20+*
05-9-26
「の」の字
-
ベンジャ ...
自由詩
12*
05-9-25
夏と秋のさかいめは、きっとこんな夕暮れ
-
ベンジャ ...
自由詩
14*
05-9-16
スクランブル交差点の真中で
-
ベンジャ ...
自由詩
10*
05-9-15
夏からの手紙
-
ベンジャ ...
自由詩
14*
05-9-13
ぼくは鬼ごっこの名人だったんだ
-
ベンジャ ...
自由詩
13*
05-9-9
神様の名前
-
ベンジャ ...
自由詩
6*
05-9-8
空を飛ばないダチョウにも翼がある
-
ベンジャ ...
自由詩
13*
05-9-6
それが優しい歌に聞こえる
-
ベンジャ ...
自由詩
11*
05-9-5
夜の地下鉄は海の匂いがする
-
ベンジャ ...
自由詩
53*
05-8-31
ひとつ足りない
-
ベンジャ ...
自由詩
17*
05-8-24
点と線(そして座標)
-
ベンジャ ...
自由詩
12*
05-8-22
じんべえ
-
ベンジャ ...
自由詩
9*
05-8-22
陽炎
-
ベンジャ ...
自由詩
13*
05-8-18
空色の絵の具
-
ベンジャ ...
自由詩
17*
05-8-8
雨が止むのを待ってます
-
ベンジャ ...
自由詩
14*
05-7-26
僕はきっと虫なのだと思うありふれた夜。
-
ベンジャ ...
自由詩
23*
05-7-16
揚羽蝶
-
ベンジャ ...
自由詩
10*
05-7-13
千羽鶴
-
ベンジャ ...
自由詩
68*
05-7-3
会話
-
ベンジャ ...
自由詩
10*
05-6-27
グラタンをあたためながら
-
ベンジャ ...
自由詩
13*
05-6-15
抱き猫
-
ベンジャ ...
自由詩
11*
05-6-7
めくるめくなめくじ
-
ベンジャ ...
自由詩
37*
05-6-2
始発に乗って母は田舎に帰る
-
ベンジャ ...
未詩・独白
9*
05-5-31
そのとき鳥は飛んでいなかった
-
ベンジャ ...
自由詩
6*
05-5-26
みんなの森
-
ベンジャ ...
自由詩
3*
05-5-23
幸せな寝顔
-
ベンジャ ...
自由詩
7*
05-5-15
富士
-
ベンジャ ...
自由詩
5*
05-5-13
花便り
-
ベンジャ ...
自由詩
5*
05-5-10
母の背中
-
ベンジャ ...
未詩・独白
6*
05-5-8
1
2
3
4
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