すべてのおすすめ
今夜
ぼくの知らないどこかの街に
一足早く八月がやって来るそうだ
寝苦しさに耐え切れない人妻たちが
全裸で街中を駆け回り
路上駐車している車に火を放つ
コンビニでぼんやりと
成人 ....
コレ あげる
ソレも あげる
でも アレだけは
ぜったい あげない
コンコンとノックして
混沌がやって来た
混沌はソファに腰掛けると
懇々と愚痴をこぼし続け
やがて喋り疲れて
昏々と眠り続けた
窓の外は真っ暗闇で
季節はずれの雪が
コンコン降り ....
経営していたデザイン事務所が潰れ、夜逃げ同然に実家に戻って来た。以来、年老いた両親に煙たがられながら家の中でゴロゴロするだけの毎日が、この二月ほど続いている。ここに転がり込んだのは梅雨の終りの頃だっ ....
もうすぐ
爆撃機のように
八月がやって来る
さあ灯りを消して
ふたりで
ベッドに隠れよう
と
に
か
く
地
球
は
グ
ル
....
午後の生ぬるい図書館で 退屈と眠気のあいだを 振り子のように行き来しながら
頭の中では 隣に座った 白いブラウスの女のことを考えている
読んでいるわけでもない太宰治のページの端を 人差し指 ....
たまたま人からもらって一度だけ食べたお菓子の味が忘れられないのに、どこのなんというお菓子なのかさっぱりわからない。しかも、その人とは音信普通になってしまって、もはやそのお菓子を探す手がかりが何もない ....
自動販売機の陰の
真っ黒な塊がゴソリと動いて
よく見るとそれは
汚れた分厚い毛布に包まった人だった
たとえば
ここが砂漠で
水も食料もなく困っている人と出遭ったのなら
ぼくはいくらか ....
真夜中に笛を吹くと蛇が来るよ
死んだお婆ちゃんは
いつもそう言っていたけど
んじゃ
真夜中にディジュリドゥ吹いたら
一体何がくるんだろう
試しに吹いてみたら
隣の家のダンナさんが ....
明日の朝まだ日が昇る前に
わたしのアパートまで
迎えに来てください
最新型のスポーツカーで
あの角をゆっくりと曲がって
わたしのアパートの前で
静かにエンジンを切ったら
わたしは小さなバ ....
スイッチを「パチン」と入れて、
と思ったら
スイッチがない。
あるはずのところに
スイッチがない。
昨日、
夜寝るときにはあったのに。
今朝、
顔を洗ったときにはあった ....
真夜中の森で月を見た
満月には程遠い
アンバランスな円
妙に自慢げに
名も知らない鳥が一羽
きれいな円を描いて飛んでいた
欠けた月を
笑っているのか
飛べもしないおれを
嘲っているの ....
真っ昼間の北新地を歩くのが好きだ。
北新地というのは、大阪キタの高級クラブやスナックがひしめきあう歓楽街だ。バブルのころは、それこそ“座っただけでウン万円”という店がごろごろしていたらしいが ....
約束の時間から3時間も過ぎても サユリは現れない
ぼんやりと待っていても仕方がないので
とりあえず先に出発することにした
目的地は とある湖で
そのほとりに 以前来たときにはなかった小屋が ....
知り合いのレストランのオーナーシェフから聞いた話。
そのレストランの常連の客に、貿易関係の会社を経営するBさんという人がいた。Bさんには、もうじき小学校に入学する香奈ちゃんという娘さんがあり ....
ねえ 凜
前にも話したかもしれないけれど
きみが生まれる前に
きみのために考えていた名前が
ほんとうは ふたつあったんだよ
どちらかといえば
ぼくはもうひとつの方が
ほんの少しばかり ....
私小説というものがほぼ死に絶え、小説はエンタテイメントとして書かれ・読まれ・消費されるものになって久しい。それに対して、詩というものは、未だに“私詩”とでも呼ぶべきものが大半を占めているように思える。 ....
どれだけ美味しいカレーが作れるか
それは
抱えている苦しみの重さで決まる
インドのある村では
古くからそう信じられているそうだ
その村では
美味しいカレーを作るために
大切に育て ....
当たり前のことだけれども、ディズニーランド(以下TDLと略)には、ミッキーマウスがいる。今では誰もが知っている話だが、あれは「本物のミッキーマウス」なのであって、決して人が中に入っている着グルミでは ....
この間、地下鉄の中で興味深い光景を目撃した。
小学校の2、3年生ぐらいの男の子と女の子が、仲良くシートに腰掛けていた。二人はどうやら付き合っている(!)らしく、今度の日曜日にどこにデートに行くか ....
あしびきの
やまどりこっこ
こけこっこ
たまごうんだよ
ぬばたまの
よるにうまれた
くろたまご
つるっとひとくち
おいしいね
おはだつるつる
たらちねの
ままのおっぱい
みるき ....
宝を探しているつもりで
必死で掘っていた穴は
実は自分の墓穴を
掘っていたのだと気付くように
そんな風にして
いろいろなものごとが
終わっていく
音もなく飛んでいく飛行機見送りながら
君と二人、屋上で煙草吸った午後。
曇り空には一筋の飛行機雲さえ残らず、
君の吐き出す煙だけが
ぼんやりとした一筋の軌跡を宙に描き、
それを眺めておれと君 ....
ぼくが、日記をつけているというと、意外な顔をされることがしばしばある。
中学の頃から、2年書いて1年休んで、というようなペースで書いてきて、就職してからしばらくは書いてなかったんだけど、ここ数年 ....
ワックスで固めたヘアスタイル
オマエのイカシた頭の周りで
馬と鹿がデッドヒートしてるよ
見えてないのはオマエだけ
今のところ馬が2馬身のリード
加速して加速してどんどん加速して
そのうち馬 ....
穴のあいたナイキをつっかけて
オンボロの自転車にまたがって
BGMは耳元を通り過ぎる風の音
駅までの長い坂道
飲み干すように一気に滑り降り
背中に翼が生えてくるイメージで
そのまま行かせて ....
すべてのおんなのこは
みんな桃の実のようで
ピンクに染められた指先を
風が撫でてゆくたびに
わけもなく泣きたくなる
土砂降りで
街は
真っ白に
光っていて
おれは
雨の終わる場所を
ずっと
探し続けている
今日みたいに
何もかもが
調子悪い日には
瞼の裏の深緑
ただ眺めながら
ぼんやり過ごすのさ
濃い深緑
薄い深緑
光る深緑
暗い深緑
輝く深緑
走る深緑
世界はぜんぶ
おれの深 ....
1 2 3