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太陽が西に傾き
橙色の弱光が窓ガラスを抜け
誰もいない教室をほのかに染める
グラウンドでサッカーボールを追う少年達
その声が
遥か遠くに聞こえる
教室の後ろの掲示板
はられた絵が眠る ....
やわらかな日差しと
浮かれる街に誘われて
少し冒険に行ってきました
普段電車に乗らない私にとって
キップを買うことから冒険なのです
ペットボトルを開けるのに必要な力加減と
ポテトチップ ....
あなたはカラスは可哀想だと言う
黄色い色が見えないから
菜の花畑の心地よさがわからないと
黄色に指定されたゴミ袋を見て言うんだ
はじめから見えないモノ
知らないモノ
それがわからなくて ....
月の光がやさしく降りそそぐ夜明け前
星のカケラのように
ぼた雪ふたつ みっつ
急な斜面の屋根の上
ひとつ転がり
ふたつ弾んで
みっつ溶けて泡になる
月の光に吸い込まれ
色を音を時さ ....
雪国の町は空気も凍る
重い空の下
ねぇ
あなたは凍えていませんか?
秋の日の柔らかな日だまりの中で
産まれたばかりの私を
あなた
そっと抱きしめてくれた
それが暖かで
それが安ら ....
小春日和の太陽は
一見優しく
地上に温もりを与え
散りゆく草木を
名残惜しむ
その慈しみに触れたと思い
人々は
それぞれの想いを胸に
去りゆく
季節から日常から人から
帰化して ....
街を歩くキレイなお姉さんは
秋晴れの空の下
ふかふかのブーツを履いていた
ブーツの上は素足で
短いパンツでお尻だけ
包んでるんだ
変なの
そう言う私に
キレイなお姉さんは
ふふっ ....
漁村の朝は早い
6時にもなると御丁寧に
町の中心に置かれているスピーカーが
朝を知らせるサイレンを叫ぶ
二階の窓から見える風景は
殺風景な野原の向こうに
海が見える
野原と海が半 ....
夏の暑い昼下り
溶けて落ちたアイスクリーム
ちっぽけな黒蟻が群がる
うじゃうじゃと
小刻みにうごめく黒い固まりは
ただただ気味が悪いだけだった
ほたるこい
の歌のように
自分の水は ....
とある町に
1人の男が住んでいました
小さな店を営み
妻に先立たれたため
幼い娘と2人で暮らす
日々でした
ある日
店の卵が異常に売れることに
疑問をもち調べ
それが
魔女を呪 ....
北の森に住んでいる
ローラという若い魔女は
いつも自転車に乗っています
雨の日はバスか電車です
ほうきに乗って
空を飛ぶことも出来ません
魔法は何も使えません
それでも彼女は魔女なんです ....
ちぎれちぎれの茜雲のもと
飛びかうトンボの色が
世の中の色を更に朱に染める
桜並木、葉に紅がまざり
隣に流れる大河は
やわらかな日差しを受け
こがね色に輝きながら
音もなく流れる
....
あなたの横顔を切り取って
額の中に入れました
そっと伏せて
見えないように
見ないように
それでも
あなたはそこにいるんです
正面のあなたは
涼しげな瞳で
わたしの心を見透かすよ ....
夏の終わりを惜しむ人がいる
勝手にエアコンをつけて
夏を拒絶していたくせに
夏の終わりの
さみしさは感じているようだ
夏は夏らしくしていたかっただろうに
異常気象とやらの
まわりの勝 ....
朝、目が覚めたら
右の手のひらがチクンとした
キップだった
日付はちょうど1年前の今日
行き先は書いていなかった
チクン
今度は胸が痛かった
その日付を忘れるはずがない
忘れら ....
ひざ小僧
どこの小僧か知らないけれど
みんなが知ってるひざ小僧
スカートの下でかくれんぼしてる
いやらしいなぁ
だけどね
転んだときに一番傷つく
ひざ小僧
私を助けてくれるから
....
シャボン玉
悲しい歌とお母さんが教えてくれた
風々吹くな壊れるな
虹色に揺れながら
くるりと回って
弾けて消えた
洗濯のりを入れると壊れないよと
お父さんが教えてくれた
だからね
....
毎日同じ時間に起きて
同じ道をたどり
同じ席につく
そして
退屈な時間が流れだす
ここは私の場所であって
私の場所ではない
晴れた日には知らない道を歩きたい
見たことのない景色に胸 ....
鏡は反対にうつるから
鏡の中なら、ほら
私はとってもビューティフル
素直な私
かわいい私
でもね
反対だったら私
あなたがキライってこと?
それは嫌
一番許せない ....
花びらひとつに夢ひとつ
風に吹かれて流されて
花びらひとつに愛ひとつ
あなたに届けと願います
すらりと伸びたスイセンの
葉っぱが風になびいてタクトを振れば
ラッパが奏でる愛の歌
....