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カナリアは憧れていた
眠りにつく前には決まって
とりかごを定規に
空を測っていた
カナリアはフルートに嫉妬した
自分よりきれいに泣く
フルートに嫉妬した
しかしそれこそが
自分が愛 ....
忙しい作家みたいに
見えない締め切りに追われてさ
渋谷の人ごみ追い越して
ひとりぼっちのおいかけっこ
横断歩道を
渡る
手を挙げた老人の
律儀な背中にしょった
いくつもの
ストーリー ....
白い貝殻を拾ってネックレスを作るように言葉を組み合わせるの、と
詩を書くあなたは言うけれど
私はビー玉をころころと太陽に透かすように
光のかけらと じゃれていたい
ノープランの恋愛ですが ....
ピアノの弦がきしむように
心が鳴った
あなたが悲しい顔をしたから
聞かなければ良かった、
ただそれだけ
プールの栓をぬいて
黒い、水の底から
月に照らされるように浮かんだ
予定調和 ....
しとしと雨が降る日には
なんだか耳が遠のいて
クツノウラの世界へ行けそうだ。
狭くなった世界の
はずれにあったベンチに腰掛け
雨が降らないこの場所で
夢のカケラをひとりつまみ食い。
....