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研ぎ澄まされたナイフで空を
切り裂いた太陽は
六十億もの穴の空いた
大地にやがて沈んでゆく
プラタナスの葉に覆い被さるように
牧羊神の与えた息吹が
薄いガーゼとなって絡まる
初夏の森を中 ....
教会の鐘を逆さに春の闇
わが死後は一匹の蠅のみ知るものを
澄む空とわが髪からむ青嵐
電車過ぎやがて月食はじまりぬ夜風静かにうぶ毛を揺らす
噴水も止まり後には静寂と夢なきわれの影はゆらめく
他郷での海岸にでて小鳥らにここも故郷と言ひてはばかる
少年は手にもっている一つの林檎を空に向かって投げる
するとそれは翼を拡げる鳥になった
少年は青い空が好きだった
空の中は永遠に汚れぬ世界であると信じていた
少年はどこまでも途切れぬ煙突 ....