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いくつもの古時計が 
まばらな振り子を鳴らす 
時の無い珈琲店 

木目のテーブルに
頬杖をついて 
ものを思う 

いつかわたしも 
衣服の抜け殻を地に遺し 
空へ消える煙となろ ....
十日前の旅先を思い出そうと 
揺り椅子に腰掛けて  
手にした「大和路」の頁を開く 


一枚の挿絵は 
{ルビ夕暗=ゆうやみ}の時刻 
唐招提寺の円柱に 
そうっと片手をあてる 
 ....
ペンキの剥げた 
「幸福の青いベンチ」に腰かけ 
いつまでも手の届かぬ恋の花や 
身を粉にしても報われぬ仕事の 
やるせなさを思う 

誰の手もふれられない 
こころのうつむきに 
寄 ....
年賀状の
返事を出しに 
近所を歩く 

遠くに見える
赤いポストの頭に 
新年の日が映り 
うっすら後光が
射していた 

かけがえのない人々の
名を記した年賀状を 
輪ゴム ....
法隆寺を後にして
大和の日も沈む夜 

土塀のつづく石畳の道 
街灯の灯る曲がり角に 
顔の無い水子の仏像が 
肩を並べて待っていた 

しゃがんで 
幾人もの丸石の顔等に 
手を ....
「 この茅の輪を
  八の字に回ってくぐると 
  一年の穢れを清め 
  開運を招きます     」 

大晦日の朝  
京都駅の地下道で  
八の字眉毛で真剣に 
白看板の説明書き ....
今日も{ルビ賑=にぎ}やかな 
職場の仲間は 
跡形も無く姿を消した 
残業の時刻 

静まり返った部屋で 
ぱらぱら 
書類の{ルビ頁=ページ}を{ルビ捲=めく}りつつ 
手にした判 ....
じゃじゃりり〜ん 


紅茶が美味しい原宿のCafeで 
初老の紳士が羽織ったジャケットから 
小銭が床に散らばった 

赤いチェックのワンピース 
栗毛に{ルビ薔薇=ばら}のリボンを ....
今から40年前 
モノクロームな戦後の昭和
素朴なふたりの物語  

たまたま
男は人の紹介で 
ある会社に入り 

たまたま 
女は求人広告で見た 
ある会社の電話番号のダイヤル ....
ましろい壁に伏せた顔を 
100数えて振り向くと 
そこは360°静まり返った 
今日という日の地平だった 

いつのまにか鬼になっていたぼくは 
今から探さなきゃならない 

閉ざさ ....
テレビのリモコンボタンを押して 
ワイドショーを開いたら 
闘病中のある歌手が 
病院内の階下に身を落とし 

後日の葬儀で 
ひとりのファンが 
霊柩車の後を走った 

本屋で手に ....
昨日の疲れた仕事のメモを 
丸めてゴミ箱に放り投げる 

( ストライク! ) 


日々のユニホーム姿で立つ 
少し高いマウンドは 
いつもたった独りだ 

バッターボックスに立 ....
蜜柑の木々が生い茂る 
庭園の芝生に立つと 
山の緑の間に 
遠い海は{ルビ煌=きらめ}き 

枝々の無数の実は 
青みがかった光を帯びて 
自らの歓びを 
天に捧げておりました 
 ....
最近運動不足だったので 
行きも帰りも 
家と駅の間を歩き 
めっきり乗らなくなった自転車が 
ある冬の日の玄関で 
肌寒そうに置かれてた 

( 今日は休みだたまには乗るか ) 

 ....
北風に震える 
枯葉並木の向こうへ 
携帯電話の画面を見ながら 
朝の歩道をのんびり歩く 
ふたりの女子高生を 
追い抜く 

シャッターを開いた 
動物病院の女医が運ぶ 
{ルビ檻 ....
小さい頃 
目の前に立ちはだかる 
でっかい親父と向き合い 
パンチの練習をした 

額にあてられた 
ぶあつい手に 
視界を覆われ 
打っても打っても届かない 
小さい拳 

 ....
中年サラリーマンの膝上に 
大事に抱えたバスケットの{ルビ蓋=ふた}を開け 
ひょっこり子犬は顔を出す

うたた寝首を垂れている 
飼い主の顔を{ルビ覗=うかが}い 
時折子犬は体を反らす ....
机の上に置かれた 
飲みかけの水がゆれるグラスに 
一粒の太陽がひかる 

パスタ屋の2階から見下ろす 
銀杏並木の道を 
まっすぐに人々は 
みえないものに押されるように 
それぞれ ....
目の前に 
清らかな川の流れがあった 
両手ですくった水を飲むと 
足元の小さい花がゆっくり咲いた 

村に戻り 
壺に汲んで運んだ水を 
器にそそいで皆にわけると 
口に含んだ人のこ ....
その頃田舎で独り暮らす老婆は
畳の部屋で湯飲みを手に 
炬燵の上に置いた
一枚の白黒写真をみつめていた 

身に纏う軍服と帽子の唾下から
時間を止めたまま今も微笑む 
あの日の息子 
 ....
江ノ電の窓辺に{ルビ凭=もた}れ 
冷たい緑茶を飲みながら 
ぼうっと海を見ていた 

突然下から小さい手が伸びてきて 
「かんぱ〜い」 
若い母の膝元から 
無邪気な娘がオレンジジュー ....
昨日のゴミ置き場で 
幸せそうに日向ぼっこしていた 
白い便器の蓋が 
今日は無い 

腰を痛めて十日間 
介護の仕事を休んでいたら 

先月の誕生会で 
目尻の皺を下げていた 
 ....
藍色のカーテンを
閉め切った部屋で 
スタンドの灯りに
照らされた机に向かい 
すれ違うこともないだろう 
百年後の誰かに手紙を書いた 

万年筆を机に置いて 
深夜の散歩に出かけると ....
雨の日にモーツァルトの{ルビ弾=ひ}く 
ピアノの単音を背後に聞きながら 
今頃声をかけあい 
ひとりの老人を介護する 
同僚達を思い出す 

{ルビ忙=せわ}しい職場を離れ 
こうして ....
 くるるるるるる・・・ 


羽ばたいて 
空へ吸いこむ
黒影の 
鳩の言葉は訳せない 


 one は one 


   一 は 一 


 「愛」 は 「Lo ....
日中というものは 
人前で働く時に 
何処か怒った風貌でいるのです 
そうでもせぬと 
いつも背後に立っている 
怠けた腕をなよなよ伸ばす 
自分の影の手招きに 
ずるずる 
引きずり ....
パソコンの電源を落とした 
画面の暗い鏡に 
カーテンを閉めた隙間から 
入る一筋の日射し
うっすらと照らす 
ぼやけた私の白い頬

暗い鏡に映る自画像の
背後の壁に 
風にたなびく ....
建築中で骨組みの
家の前で 
彼はぼうっと立っています 

皆それぞれ忙しそうに 
柱の上や足元で 
とんとん釘を打ってたり
しゅっしゅとカンナで削ったり 
重いバケツを運んだり 
 ....
{ルビ呑気=のんき}な仮面を被っていても 
ほんとうは 
わたしもあなたとおんなじように 
ひとつの大きい影を背負って 
流浪の旅路を歩いています 

木造校舎の開いた窓に 
手を振って ....
異国へ旅立つ 
彼の背中を 
小さい額の中から 
いつまでも 
亡き母はみつめていた 

手前に置かれた花瓶の百合は 
あふれんばかりに咲き乱れ 
いくつかの細長い{ルビ蕾=つぼみ}は ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ぢろばたにて_- 服部 剛自由詩308-1-21
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Tao_- 服部 剛自由詩208-1-11
投函の間_- 服部 剛自由詩308-1-7
水子ノ声_〜法隆寺の小道にて〜__- 服部 剛自由詩308-1-5
開運の輪_〜京都にて〜_- 服部 剛自由詩108-1-3
パレード_〜年の瀬の夜〜_- 服部 剛自由詩807-12-28
「_Help!_」_- 服部 剛自由詩307-12-28
Born_- 服部 剛自由詩407-12-25
かくれんぼ_- 服部 剛自由詩6*07-12-20
空の五線譜_- 服部 剛自由詩307-12-17
日々の投球_- 服部 剛自由詩2*07-12-7
蜜柑の木陰_〜鎌倉文学館にて〜_- 服部 剛自由詩4*07-12-4
自転車の唄__- 服部 剛自由詩7*07-11-29
檻の犬_- 服部 剛自由詩4*07-11-29
シャドウボクサー- 服部 剛自由詩607-11-26
飼い主と犬_- 服部 剛自由詩2*07-11-20
一粒の太陽_- 服部 剛自由詩2*07-11-19
水のふしぎ_- 服部 剛自由詩8*07-11-15
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ウルトラマンの人形_ー江ノ電にてー_- 服部 剛自由詩7*07-11-8
「_無_」- 服部 剛自由詩32*07-11-6
宛名の無い手紙_- 服部 剛自由詩6*07-11-5
モーツァルトの指_- 服部 剛自由詩4*07-10-26
伝書鳩_- 服部 剛自由詩6*07-10-23
風のなき声_- 服部 剛自由詩307-10-18
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うつろな大工_- 服部 剛自由詩107-10-7
山下_清_- 服部 剛自由詩7*07-10-7
Ave_Maria_- 服部 剛自由詩4*07-9-30

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