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はくとう下さい
と叔父は言った。
手渡されたのは
白い桃。

白い甘みが
語るのだった、
その地に
黒糖のないことを。
Tシャツをハンガーに掛ける
ちゃんと裾のほうから
ハンガーをフックに掛けようとして
フックを見失う
フックが見当たらない
ハンガーが掛けられない
行き場を失い
ハンガーを手にうろうろする ....
雪をひとすくいすると
そこには
南のきみたちの
あこがれが埋まっていた
冷たいぼくの手と
冷たくないきみの手

(手袋あげようか)
(いいよ、雪があたたかいから)

雪があたたかい ....
(吐く糸で自分をがんじがらめにした)

誰かのために紡いでいたつもりの
それがいつの間にか
こちらに巻きついてくる
糸を断ち切ろうとあがいても
やわらかい糸はすべての力を飲み込む
包容力 ....
渡し場で舟を待つ。
遠くから響く風に耳を遣ると
今しがた現れた
言葉がみんな消えてしまった。

残念なことだ、
水面の紋でさえ
こんなに早くは消えない。

渡し場に佇む。
風に運ば ....
{引用=  "You be lookin' groovy
   In a sixties movie
   Maybe tell the press you died
   Littl ....
いつもさいしょでさいごに
いまここにいる、

小石の投げこまれた池のように
よどんだ
時。わたし。

そうして飛び出した
時と時とをわたすはしごを
少しも休まずにわたる、
いつも時 ....
ウロボロス、

光のなか、虚の時間、
あなたたちは2匹ずつ笑って
互いの尾を噛み
楕円となって回り続ける
生成と消滅がくりかえされるそこで
それは生まれた
衣を破って
なにもないとこ ....
結婚指輪をなくした女に会った。
子どもがどうしても貸してほしいというので
貸したらなくされたのだという。

青い砂が、風に少しさらわれていった。

女は忙しいのだという、
子どもが騒ぐと ....
男の子は今のうちよ
ちょっと大きくなったら
なかなか話もしてくれないの
うんと大きくなった今は優しいけどね
うちの子にもこんな時期があったんだわ

なくした宝を
手の届かない場所に見つけ ....
沈んでた黄色い潜水艦で
深海魚が宇宙旅行に挑戦
マリンスノーに逆らって
ゆっくりとそらに向かう
ああ
こんなにまぶしい世界は初めて
体が軽くて
見知らぬ生きものがたくさん
ついに大気圏 ....
ぼくはまた青い砂漠にすわって
アルデバランを見ていた。
遠い星は焦点からうまく逃れる


ぼくはあきらめて少し横を見る、すると
たちまち機嫌を直したアルデバランが
現れる。
子どもの ....
おうい諏訪の兄ちゃん
どうした飲みすぎか
あーあ だから若い奴ぁだめなんだ
おいおまえら
そんなに元気なら
神輿担いでこい
こらこんなとこで止まんなよ
いやいや今から出てくるって
お茶 ....
コップの中には
牛乳が入っている
それは黒くない
黒い牛乳のことを
少しだけ思いながら
白い牛乳を飲む
アメリカの音楽が耳に流れている
私の牛乳は白い
私は白い牛乳を飲んで
謎を解こ ....
地球をおおう大木に生るひとつの実としてのわたしは

わたしは?

わたしは
何を言おうとしたの?

地球をおおう大木に生るひとつの実
とはつぶやかれたので脳に録音されていた
それより ....
土星をめぐる氷に乗って
電車の中吊り見るように
星々を眺める
あの青いのが地球だね
とあなたが指さした

氷の中に一匹の虫
琥珀に囚われたよう
土星に住んでたの
なぜここにいるの
 ....
ゼウスが来た

ある暑い昼に
いきなり
雷霆ふりかざして

洗濯物を取り込め
自転車にカバーかけろ

ゼウスが過ぎ去った

何事もなかったかのように
アポロン呼んで

ゼウ ....
雨がやまない。青い砂にしみこんでいく。砂
漠の雨は一滴ずつ降る。砂の青は一粒ずつ深
まるばかり。

雨粒は壷にもたまる、そして壷のなかで波に
なる。粒でもあり波でもある光の雨。ぼくは
壷を ....
あなたは私の胎から出て
次にはベビーベッドから
そして部屋から出た
いずれ
家から
町から
島から
国から
そしてついには世から出るとき
私はどこで
あなたを迎えるんだろう
恋月 ぴのさんの下門鮎子さんおすすめリスト(19)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
はくとう- 下門鮎子自由詩3*07-1-29
マリオネット- 下門鮎子自由詩2*07-1-26
- 下門鮎子自由詩5*06-12-22
テクストの蝶- 下門鮎子自由詩4*06-11-29
渡し場- 下門鮎子自由詩10*06-10-22
60年代と自由- 下門鮎子未詩・独白4*06-10-3
時のはしご- 下門鮎子自由詩5*06-9-28
ウロボロス- 下門鮎子自由詩8*06-9-24
風と指輪- 下門鮎子自由詩4*06-9-7
男の子- 下門鮎子自由詩3*06-8-30
深海魚の宇宙旅行- 下門鮎子自由詩2*06-8-26
アルデバラン- 下門鮎子自由詩4*06-8-18
神輿- 下門鮎子自由詩4*06-8-7
白い牛乳- 下門鮎子自由詩3*06-8-2
誰のどこの細胞だろう、これは?- 下門鮎子自由詩2+*06-7-22
地球投げ- 下門鮎子自由詩5*06-7-17
ゼウスの訪問- 下門鮎子未詩・独白2*06-7-15
砂漠に雨が- 下門鮎子自由詩5*06-7-8
あなたは私の胎から出て- 下門鮎子未詩・独白2*06-7-7

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