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初めに知ったのは母親の体温だった
温かな羊水に浮かんでいた記憶はないけれど
むすんで、ひらいて、して
あれからいくつの温度が僕を通り過ぎたのだろう
居心地の良い夢を見て
蝶々を追いかけて ....
体調を崩して(半分は仮病でもあった)
授業中の、保健室で
そのベッドから見上げた模様が好きだった
長方形を積み重ねてあって
ロボットの顔を想像して
胴体までは上手く作れなくて少し残念
....
歪んで、軋んで
そして破れた
音を立てて
後悔は、ないわけではなくて
でも意地
それが邪魔をする
つまりプライド
それは可愛い
温かいカプチーノを淹れたら
心は ほぐれたかな ....
この足が踏みしめているものを
確かめようと視線を落とせば
いつもの国道の歩道
そんな当たり前の、日常という名前だった
小さな石ころ、蹴飛ばしてさ
歩いた幼い帰り道
今も時々思い出しては ....
ひとくくりの名で
呼び習わされた私たちという存在
名前ごと踏み潰されて
それでも再び季節は巡って
そう、思えば芽生えから危機
タイミングよく行事が狙う
競争とは名ばかりで
それでも私 ....
空気読めよ
話聞いてた?
優柔不断
何それ全然おもしろくないんだけど
わがままだな
ついていけない
自分さえ良ければいいんだな
知りたくもない、そんな不幸話
違う生き物だから無 ....
星の営みとしてそれは
いつからなされていたのか…
終焉と誕生の
繰り返し、そうそれは繰り返し
灰の中から
もう一度炎が上がるような
終わりながらそれは
終わらない永遠のループ
....
あぁいい天気だ
この場合は曇りのことをいうんだよ
南方海上はどうなんだい
ほぅ、いい具合な低気圧だ
空は曇って
風は冷たくって
よろしいじゃないか
あぁ 雨の匂いがするなぁ
や ....
わけもない始まりが毎日にありふれて
同じような存在が今日も街を歩く
私も あなたも
他の何十億と、何の違いがあって
だけどつまりは、どこまで行っても
私は私、
あなたはあなたで、
違 ....
始まりは何処からか
喩えれば欠けたパズルのピース
風に飛ばされて
均衡が、なかったことになる
そんなある日が訪れることを
支配者は知らない振りをする
砂上の楼閣は初めから
そう、あっ ....
保育所に通っていた頃
家で、積み木を積んで遊んでいたっけ
積んで、積んで、積み上げて
だけどそれは、バベルの塔ほどではなかった
小学校に上がって
年を重ねることを覚えた
それからアタマ ....
{ルビ私=わたくし}は一日の終わりに
あるいは毎食後に
または休日の安らぎに、人待ち時に
いつかどこかで、あなたに出会うだろう
砂糖も入れていいよ
ミルクだってお手の物さ
閉じ込められ ....
或る 陽射しが穏やかな午後
風はゆるやかに 丘を流れる
窓枠に切り取られたその風景の
ずっと彼方を 少年は見ていた
鳥かごの中
「日常」は夢のまた夢
その身には 穢れなき白と
何もの ....
目の前にするとき
まるで舞台上で スポットライトで
照らされているように 私たちは
鍵なんて探して ポケットをまさぐって
見上げれば月が明るくって
まるで孤独で 砂漠のただ中にいるみたい ....
広がりを天に
透明な輝き 陽光を受けて
例えば台所、テーブルの上
飽きもしないで 口をあけて
満たされるのを待つ
透明感をまとって
海の青 空の青も
細長く切り取って、私は立つ
....
鮮やかな原色が
夜の暗闇に明るく浮かんで
いざない続ける営みの明るさが
原始の本能を、ふと思い出させて
{ルビ集=つど}っている
人はその下へ
夜に生きる種族は
愛を、切り売りしてで ....
深い谷に橋を架けよう
向こう側へ行く 旅人のため
大きな川に橋を架けよう
渡し守が 今以上傷付かないように
こちら側と向こう側があって
渡るための橋が架かる
どこにも属さないそこは
....
人差し指を天に
ナンバーワンは指差して
「1」と書かれた旗の下
笑顔で 列を作っている
みんな なりたくて
ナンバーワンになりたくて
血眼に走って 転んで
膝をすりむいたら オンリー ....
音を立てて 虹は崩れる
思い描いた理想が
心の弱さで 淡く消える
十字架は、貴方には背負えなかった
いつかの嘘は晒され
最後まで 隠せたなら、あるいは?
しかし背負えなかった十字架は
....
近づいてくるその時を
気付けど、なぜか 見ないふり
逃げ回るのは、心だけ
追い詰められた、その時に
実感さえ
どこかへ置き去りに
現実から
半歩先へと、移ろう心
羽などは生えて ....
都市
その足元は黒に染まる
灼けては、また凍える
現代の 大地とでも呼べるだろう
黒くなった三億の悠久
忘れられて
尊くも足下 誰も
誰も、考えはしないで
あんまり痛くて、裸足 ....
思い出す
あの日を、思い出す
遠いあの日を、思い出す
あぁ 今 風に吹かれて
最後に笑った
あの日のことを
最後に道を選んだ
あの日のことを
一瞬に嗅いだ 風の匂いで
心はい ....
お気に入りのスニーカーと
私たちのDNA
それらは、歩くようにできている
足裏から伝わる感触に、踊るようにできている
森の腐葉土、落ち葉
そして草原の土だったそれは
いつかアスファルト ....
陰影を それとも
明暗を、善悪を?
表すそれは すべからく
正反対? そう正反対
対照であり
しかし時に
それは混じりあい
グレースケールは、幻のように
コントラストで語り
....
その言葉は 曲がり角の向こうで
待ちわびている
貴方が そうやって話す
その 頭か何かの中で
今か 今かと
あの角の向こうから
今 来るかと
その言葉は 焦がれている
腰掛けた ....
息を切らして
汗を流して
漕ぎだす足 右、左
急な坂道、狭い路地裏 朝夕に
駆ける、駆ける
風になって
走る、走る
廃線の 鉄道の{ルビ跡道=あとみち}
青い背中に
いったい ....
夕暮れの放課後
自転車をこいで 風と
堤防の道 駆けた
もう忘れかけた 甘酸っぱい思い出
堤防を溢れんばかりの
青春という奔流は
あの頃
何人の少年を大人にして
架かる橋の上か ....
水面に 乱反射
オレンジと 銀色と
さらさらと風
きらきらと揺れ
浮かび上がる
水鳥のシルエット
夕景が
夜の闇に溶ける前に
浮かんだ小船の 孤独を思う
風に吹かれた
さざ ....
西日 照らされた住宅街
傾いた影は 次第に伸びて
視線の先の曲がり角
出くわしてみたい {ルビ逢魔が時=おうまがとき}
路地裏の猫は知っている
坂道を上ると
いつも佇んでいる
相変わ ....
ゆらり 細く立ち昇る
{ルビ煤=すす}けた灰色の煙突から
青い空へ溶けていく
風向きは 西から東
よく わからないものへ
もう 手の届かないところへ
貴方のカタチが なくなって
粉だ ....
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(44)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
88、手探り_【てさぐり】
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雨宮 之 ...
自由詩
4*
07-3-9
85、天井_【てんじょう】
-
雨宮 之 ...
自由詩
1*
07-3-1
83、仲直り_【なかなおり】
-
雨宮 之 ...
自由詩
3*
07-2-20
81、足下_【あしもと】
-
雨宮 之 ...
自由詩
4*
07-2-16
80、雑草_【ざっそう】
-
雨宮 之 ...
自由詩
6*
07-2-12
78、イメージダウン_【いめーじだうん】
-
雨宮 之 ...
自由詩
2*
07-2-8
76、再生_【さいせい】
-
雨宮 之 ...
自由詩
4*
07-2-3
74、雨は降っているか?_【あめはふっているか?】
-
雨宮 之 ...
自由詩
1*
07-1-30
73、最後_【さいご】
-
雨宮 之 ...
自由詩
3*
07-1-28
72、崩壊_【ほうかい】
-
雨宮 之 ...
自由詩
5*
07-1-26
71、積み上げる_【つみあげる】
-
雨宮 之 ...
自由詩
4*
07-1-24
70、コーヒー_【こーひー】
-
雨宮 之 ...
自由詩
9*
07-1-22
68、天使と悪魔_【てんしとあくま】
-
雨宮 之 ...
自由詩
6*
07-1-17
67、扉_【とびら】
-
雨宮 之 ...
自由詩
5*
07-1-12
66、グラス_【ぐらす】
-
雨宮 之 ...
自由詩
4*
07-1-9
65、ネオン_【ねおん】
-
雨宮 之 ...
自由詩
6*
07-1-7
64、橋_【はし】
-
雨宮 之 ...
自由詩
8*
06-12-28
63、No.1_【なんばーわん】
-
雨宮 之 ...
自由詩
4*
06-12-20
62、嘘_【うそ】
-
雨宮 之 ...
自由詩
7*
06-12-10
61、逃げ回る_【にげまわる】
-
雨宮 之 ...
自由詩
3*
06-12-4
60、アスファルト_【あすふぁると】
-
雨宮 之 ...
自由詩
8*
06-11-26
59、あの日_【あのひ】
-
雨宮 之 ...
自由詩
4*
06-11-23
58、散歩_【さんぽ】
-
雨宮 之 ...
自由詩
5*
06-11-18
57、白と黒_【しろとくろ】
-
雨宮 之 ...
自由詩
3*
06-11-13
56、待ち伏せ_【まちぶせ】
-
雨宮 之 ...
自由詩
6*
06-11-11
55、自転車_【じてんしゃ】
-
雨宮 之 ...
自由詩
9*
06-11-8
54、堤防_【ていぼう】
-
雨宮 之 ...
自由詩
4*
06-11-3
52、さざなみ
-
雨宮 之 ...
自由詩
5*
06-10-29
51、路地_【ろじ】
-
雨宮 之 ...
自由詩
2*
06-10-28
50、煙_【けむり】
-
雨宮 之 ...
自由詩
4*
06-10-27
1
2
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