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かわいがっていた犬が死んだ夜に
新しい犬を飼おうと思う人がいました
家族、いなくなる為に準備をして
汚れた服を着るほかないのなら
いぶかしそうな視線に
それでも
違います、とは云え ....
電話ボックスの中で膝を抱えていたね
名も知らぬ群青の子
あの人に前髪を触られたい
そうして
あの人は鶏頭の花に口を寄せるんだ
あたしは
まだよちよち泳ぎながら
アールとエル ....
まるで、その背中から
おぼろに光る翼が生えてきそうな
おんなのこ達
三十を過ぎても
ひらひらと
生きていると初めて知るのは
人が曲線で結ばれている
と解る時だ
黄 ....
初雪の日には
浮き世に慕情
あいかわらず
と笑いながら
かのかおりに
御辞儀をする
ほしいものがない人に
ほしいものはない人に
新聞紙に包んだ焼き芋を
押し付けるように手渡 ....
みずうみの名は
みどりこ
といいます
その昔、此処は険しい谷で
人も獣も草も水もありませんでした
みどりこは
ちょうど五本指の掌みたいなかたちをした
ゼリィ状のみどりこでした
ひら ....
ちいさな掌を
ひとつ結んでは覚えてゆく指あそび
ほんとうなんて要らない
と言い聞かせながら
それは未だ新しい
老いさらばえた両腕は
調和したスープと
子守歌で満たされる
動かな ....
雛壇は燃え尽きた
軽い母を背負って
彷徨う脚がつる
ここらで捨てな
と
早口で
母が云う
あの鞭で叩かれて
怯えながら
でも
忠義は誓わなかった
本を抱えて
黒い ....