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特に取り柄もない私でも
唯一確実に操れる
彼の自動を奪って
私と正反対の動きをさせることが出来る
右手を上げると左手をあげ
後ろに下がると前へ進む
私が見ていないと
何をしているかは ....
新しい扉を開けると
君がきっと溶けてしまう
かわいくて
すこしいばっているヤツだ
遅めに降った雪を
手のひらに収まるくらい
二つ丸めて
小さいのを重ねて
まーるい炭でボタンをかけよ ....
鉄を切り開いて、
飛び散る火花が停止する。
か細く宙で燃え続け
さらに点は小さく弾け
儚げに見えるにかかわらず、
芳醇に香る。
淫らな花粉が煮詰まった様に、
....
死のうと決めたあの日
僕は函館の深夜
朝を待つ待合室にいた
電車はもうない
待合室には他に何人か雑魚寝していた
この人たちは
そのナップザックに
人に見られたくない
何かをしまっていた ....
あの子の瞳は遠くの方を見つめていた
見つめ合ってはいたけれど
その黒は、星が流れる広大な虚空よりも深く
氷に閉じ込められたまま、燃え上がるような黒だった…
その炎に触れてしまったら ....
救われたいために
あの町を出たんじゃない
ましてや逃げたかったわけでもない
ただ、確かめたかった
私はもっと素晴らしい私に
子供の頃に憧れた大人に
じっとりと動けないような
貝殻 ....
見渡す風景は透明な水色
水の中より君を見る
舞う蝶よ
ここでしばしお休みなさい
厚いガラスに気付かぬふりで
我らはしばし寄り添おう
夜になれば
きっと境も忘れよう ....
夢を見ていた
都合の良い夢を
倒れた案山子
そこが滅びた都市の枯畑であろうと
雪積もる冬の崖の上でも
倒れぬ案山子
秋の稲穂は脱穀を終わり
副産物の藁で人型を編みこ ....
私の中で何かが眼を覚まし
それは動き始めている
それは触れられるものではなく
であるのに、つられて鼓動も高鳴る
長い冬を越していた
寒さに耐え、眠っていた
今、スイッチが入り
眼を覚 ....
あぁ、一人を恐れてはいけない
群れの中では
草の声も
月の声も聞こえまい
あぁ、一人を愛してはいけない
風の歌も
小雨の歌も
苦しくさせる時がくるだろう
あぁ、 ....
ふれられない
それは届かない
でも僕らは知っている
その悲しさを
包み込んだと思うとなくて
忘れた頃に背後に現れ
酷い事をした時は容赦なく
眠れ ....
僕の寝床は
三角形の屋根裏で
天窓の向こうには
お月様がいたりする
あぁ…、冬の真夜中は
きっとあの子が泣いている
あの子の湿った悲しみが
街の灯りを重くする
....
鳴かないカナリア
枯れた白百合
ガラスの割れた本棚
傷だらけのギター
折れないように
志だけは
例え孤独が
体に沁みても
倒れた男
撒き散らした酒瓶
涙の跡
微か ....