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まだしっかり帽子をかぶった黄緑の
君の大切なたからもの
やわらかい手が両方ふくらんで
哀しそうに助けを求める
ひとつも手放したくないんだね

小さなポッケを教えると
手の隙間から零れない ....
水色のキャンパス
白い花びら、ふたつ、みつ
風の描いたような君の唄
軽く手をふるハロー、ハロー


 鉛筆画の微笑みは
 鉛色の雫でできてるの
 はじめから
 うまくのれてなかった、 ....
いつだって遥か遠くを
見つめていた、正太
本当はそんな名前じゃないのに
誰もがそう呼んでいた

*

学校へ行く途中
平然と菓子パンを買った、正太
朝飯なのだと、悪びれず
無造作に ....
  あなた、ルリツグミのヒナと
  お昼寝をしたことはあって?



風を確かめるように浮かべた
少女の白いあご、のライン
穏やかな微笑みに
たたまれてゆく{ルビ睫=まつげ}


 ....
ばっさり斬り落とした短い髪に
唖然とたたずむ
 (なんか、めんどくさくって
照れたように君が笑う
右の頬を隠して

僕の知らない君の夏
正しい折れ曲がり方なんて
よく分からないけどさ
 ....
{ルビ吃水=きっすい}の切り拓く直線に
弾け、昂ぶる蒼波の振幅も
いつか、{ルビ理=ことわり}を{ルビ纏=まと}い
穏やかな泡波の
幾重にも沁みわたる

船側をすり抜ける速さに
戸惑い、 ....
引っ越したアパートは
薬屋の二階だった
辺りには小さな商店しかなかったが
近くに大きな川が流れていて
君の心を支えながら
よく土手を歩いた

神社には大きな桜の樹があって
薄紅の季節を ....
朝顔の 浴衣着せられ すましても
{ルビ囃子=はやし}の誘いに 鳥のはばたき

色具合 綺麗じゃないかと なだめても
姉のお古に チョーさん唇

何故わかる 金魚の匂い ぐいぐいと
群れ ....
冷たい消毒槽は
三歩で渡ると決めていた
プールサイドの足跡が
しゅわしゅわと、夏にしみこむ

浅黒い肌の散らばる奥に
見え隠れする
白い朝顔
先生の御子だという
なるほど、鼻筋はそっ ....
腹に響くエイサーの
どごん どごん
飛び跳ねる常夏リズム
どどごん、かつ、かつ

手踊りが咲き
歯は白く輝き
乾いた{ルビ三線=さんしん}の{ルビ音=ね}が走り出す

空を切り裂く指 ....
  あなた、アオウミガメの背中を
  匂ったことはあって?



少女は
さして、答えを求めるふうでもなく
空と海の継ぎめを見つめたまま
潮風にふくらんだ髪を
そっと抑える


 ....
初夏の雫を集めた、里芋の
透明な葉脈の裏側で
夏風の子が
小さな産声をあげる
まだ、うまく飛べない

棚田の{ルビ畦=あぜ}に沿って
緩やかな曲線を描くと
早苗に浮かぶ蛙が
水かきを ....
夏少年の、硝子の{ルビ背=せな}に
せせらぐ
ピアニシモ

白い{ルビ喉=のど}の、滑るシトラスに
透けてゆく
アダージョ

戸惑う爪先の、細い苦悶
ふるえてゆく
アレグロ

 ....
ブルーチップの青いリスは
目を離すと、すぐに増殖して
ガマ口をはみ出してしまうから
台紙にきちんと貼りつけなければいけなかった
母は台紙をもらってくれると約束をしたのに
永遠と立ち話をやめや ....
海を見たことがなかった
見え隠れする光
あれがそうだ、と無骨な指で示された海は
たいして青くなかった、が
軽トラックが、ギシギシとカーブを曲がるたび
輝きを探して、車窓にしがみついた

 ....
大きなガラス扉
日焼けしたブラインド
貸店舗、の白い貼り紙
コンビニになりきれなかった
角の、たなか屋

殺風景な店先のコンクリートには
ただひとつ
小さな郵便ポストが生えたまま
舌 ....
千代紙こうてくれへん?
匂い付きのやつやで。
嗅ぐと、鼻の奥んとこが、ジーンとなんねん。
何や懐かしいこと、思い出せそうで、思いだせへん
あわーい陶酔があんねん。
千代紙には。
何でやろ、 ....
本当はセリカがよかった
が、人気車には、やはり手が届かなくて
中古車屋のおやじに勧められるまま
同じエンジンだというコロナにした
家に帰ってよく見ると
左のドアが少しへこんでいた

―― ....
駆け足だったあの頃
{ルビ躓=つまづ}くたびに零れた
ぎこちない音も
こうして、つないでみれば
いつか、優しい旋律

奏でられる音階、の隙間
置き去りにした、いくつもの溜息
そっと、触 ....
今日は
どんな空を駆けてきたの

泣いた子 笑った子
みんな輝いて 一目散

おかえりなさい
この胸に

おかえりなさい
この温かい胸の、内に
{ルビ故郷=ふるさと}に近づく列車
向かいに座った女性は
首のすわりかけた赤子を
前向きに抱えていた

一瞬、驚いたあと
すぐにうつむく仕草は
内腿の{ルビ痣=あざ}を
男子生徒にから ....
ねずの波間に
抗う術もなく
不規則に浮き沈む夜は
瑠璃のしずく
そっとほどいて

乳白色の束を覚えず
春の浜にまどろむ

理不尽に打ちあげられし
砂にまみれた海藻は
幸か 不幸か ....
帰らなくてはならなかった
ガード下の公園
オレンジと灰色の記憶
あれはいったい
どこだったか

ガムの包み紙の甘い香り
急すぎる石の滑り台
の冷たさ

風はどこからかやってきて
 ....
追いかけてきたものは、何であったか
追いかけるべきものは、何であったか

あの蒼々 あの爽々

届くはずもないと{ルビ諫=いさ}められても
羽ばたく自由まで
奪われたわけじゃない

 ....
気持ちのいい場所で

気持ちのいい格好で

吹かれていたい

風に

ただ、風に
こらえても ゆがむくちびる ふるふるふる
うるみ零れる おかっぱの髪

パパあげる 玄関先で 待ちわびて
握り続けた シワシワの春

負けないぞー きいろい声は どこいった
頭ならべて  ....
富良野に行こうと思うのさ
もちろん君を連れてさ
そりゃーいいところさ

水色の空の下で
パステルに揺れる
あのラベンダーの薄紫をすくって
両手からこぼれる
光の匂いを
嗅ぎまくりたい ....
小さなホールケーキ
真ん中に添えられたクッキーには
“パパ たんじょうび おめでとう”

みどり色のロウソクがひとつ
中ほどがポッキリ折れていて
むき出しの白い芯が
辛うじて身体を支えて ....
春を待ちきれず
同棲を始めたと喜んでいた貴女は
近頃、思い悩んで
すっかり痩せてしまっていたという
(僕が、よう怒れへんかったからかなぁ
お父さん、つぶやいて
肩を震わせる

一週間前 ....
ピチリ
動きが止まる
その瞬間をねらって
ピチリ

(爪は、どこまでのびるの?

問われた僕は
細心の注意を払うあまり、つい
どこまでもだよ
なんて
いい加減に答えてしまう

 ....
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早春のレクイエム- 佐野権太自由詩9*06-3-24
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