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仄白く明けてゆく空と
暦の眠りから覚めた蕾が
共鳴して
三月の和音を弾く
冬を忘れた陽射しは甘く
僅かに紅を挿した絹の切れ端に
はなびら、の名を与える
こころにある哀しみや空洞を ....
サテンの光沢まばゆく
風が雲の緞帳を翻すとき
ひととき白日夢に眩む
まだ蕾、とも呼べぬ小さな膨らみは
幼すぎて花の名前を知らない
その風の名残のなかで
わたしは繰り返される春を
....
きっと白に近くあり
霧雨を含んだ夜のなかに
咲き急いだ桜がひとつ
白く闇を破る
陽射しを浴びて
咲き競うのは
きみ
きらいですか
こんな湿った濃紺の中で
意表を突いて ....
秋の匂いのする風は
夏毛にふわり優しくて
愛なんてものを
かたちにして
誰かに見せたい気分になる
さっき
薔薇の棘みたいに
剥がれ落ちた爪は
カナシミってやつと戦ったから
ゆらゆら尻尾が休憩 ....