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ためされていることは
わかってる

と、いって
おとこはさっていった

このよにおとこはいて
はじめから
いなかったかのように

るすでんをさいせいすると
まだいきて ....
はたらきありが
よるになっても
すにかえらない

はなは
まよなかも
さいたまま

つきとほしは
たいこのむかしと
かわりなく

ゆうごはんを
つくっても
あな ....
 
 
きらきらと
光が降りている
あれは神さまが
写真を撮っているのだ
という話を
君としたかもしれない
木漏れ日の下で
あの日僕らは
どんな生き物の姿で
 ....
 
 
かつて人だったものたちの
声に耳を澄ましている

繰り返される
波の音は
そのようにも聞こえ

バスは子供たちを乗せ
茜色に染まりながら
海岸線を通り過ぎていく
 
 ....
 
その人のことを
空さんと呼んでいた
空さんは
だだっ広くどこまでも
青くなったり赤くなったり
涙したりして
人のようだった

空さん

時々丘の上から
呼びかけてみるけれど ....
 
かくしごとなんて
はじめからなかったはずなのに
生きてると
知られたくないことの
ひとつやふたつあるものでした

できることなら
椅子に生まれて
何も思わずにただ生きて
人を支 ....
 
今日友達がね、と
父さんに話しかけると
父さんの背中が
スローモーションみたいに揺れていた
揺れているだけで
振り向きたいのに振り向けない
奇妙な動きをし続けていた
ビデオが壊れた ....
 
満月が
おおきくくちを開けて
新月になる
夜空をひとつ
噛み終えるまで

いくつもの時を食べつくし
それでもなお
夜はおとずれる

無数の星は彼らの目だ
今日もどこかで
 ....
 
故郷での暮らしは
けっして貧しいものではなかった

手に入るものは手に入り
手に入らないものは手に入らない
ただそれだけだった

小さな都会で暮らして
もう二十年になるけれど
 ....
 
ひとさし指で手紙を書く
砂のうえに
潮が引くときだけ
ゆるされる

返事が来る
潮が満ちるときだけ
あなたから
光と光の
波にさらわれる

こぼれた文字の
貝殻をひろう
 ....
 
サービスエースを決めようとしたら
今日からあたし入院します
と言って
ネットのむこうのあたしが
眠ってしまった

ときどき点滴したりして
管がネットにひっかかると
 ....
 
それからどうしても
行きたいところがあると言うので
つれていった

寝ているときは
額に汗をかく人だった
まぶたの裏の世界でも

雨が降っていた
誰かの涙なのだろう
誰かがと ....
 
あたしが
死について考えてるうちは
死んでないから

ぼくが詩を書き終えるまで
思ってる
誰かが

そのことを
忘れたふりして
思い出した
ただそれだけの作業のような
気 ....
 
雑音が聞こえる
鞄の中から
聞こえる声を聞きながら
母は呆けた

雑音が聞こえなければ
昔のような
声で母は話した

鞄の中から
雑音が聞こえると
途端に母は
声を濁らせ ....
 
いつからか
真夜中になると
ダンクシュートの途中で
目を覚ます

眼下には
シュートを終えて
遠いところへ歩きはじめる
祖父がいた

ボールがやわらかく
バウンドしながら
 ....
 
秋に夜が訪れて
炭酸水が流れこむと
暗い海の底
音もなく稲穂が揺れる

えら呼吸をはじめる
溺れないように
母が子守唄を歌う

目を覚ますまで
魚になる
泡をこらえて ....
 
風呂の戸を開けると
いつかの僕が
髪を洗ってる

背中を洗ってあげると
ありがとう
そう言って
妻がしてくれてると思ってる

湯船には
いつかの祖母が入ってる
髪を洗う僕に ....
 
 
 
村のしくみ


西の空に
捨てられた村がある

誰もがそこで
暮らすことができた

今日は村長さんの
誕生日だった

まだ生まれてなかった


+

 ....
人になりたかった
人に憧れて
その日を待っていた

等しく並べて
輪郭をつくると
それは人間だった

近づいては遠ざかる
消えそうな
わたしの輪郭

人は人がいなければ
人 ....
真夜中
港まで自転車で走る
橙のあかりが点々と
その下に一人
また一人と
釣り人が並んでる

釣れますか
聞いても誰もこたえない
みな透明だから
二人乗りしてきた友人も
いつのま ....
みえない
というよりも
みたくなかったのです
ははのしを
かなしいなみだはながさずに
きみはろくがつのはなよめになって
いきるよろこびをちかった
そこにはいない
きょうのひが
ははに ....
たとえば
ハムからは肉が見えない
考えて動かす
そのしなやかな筋肉が

薄くて向こうが透けそうな
ハムになるまで
少し考え過ぎたけれど
もっと考え過ぎた人がいたので
その魂を背負っ ....
長さが
ちょうどいいので
いつもその道を歩いた

長さは長さ以上に
距離ではなく時間だったから
帰る家もなつかしい

廊下の床がゆるんで音が鳴るのは
散歩と人の長さが
同じ距離に ....
野球を見に行った

試合の途中
本日の入場者数がアナウンスされて
僕が生まれ育った町の人口ほどだった

思わず観客席を見回すと
そこには
懐かしい人ばかりいるような気がした

当 ....
虹のようなところに
キャベツが生えている

抽選でもれなく
誰でも食べることができた

今日はマリーという人が
当選した

まだ生まれたばかりだった
春の土が
炊きたてのご飯のように
顔を出す

そんなご飯
誰も食べないわ
君が言う

君が炊いたご飯なら
僕ひとり
よろこんで食べたのに

おかわりしたら
夏になった
ため息の瞬間は
一度落として再浮上させる
ギアチェンジのようだ
うまくいかない
何度もギアを入れ直す
あなたは
うまくギアが入らないねと
やさしく言う
うまくギアが入ると
ギアが入っ ....
がっくりと
落とした肩を拾う
何かの実のように
赤く色づいて
種を持っている
やがて発芽する
青くてたくましい
力を持っている
肩は落とした数だけ
冬を語っている
肩は拾った数だけ ....
景色が歩いている
わたしではなく
まるで時のように
目をつむれば
色をうしなって
古い景色が歩いてくる
錯覚していた
わたしはこの世界を
歩いてなどいなかったのだ
目の前で
ひらりと舞い上がって
足跡は空高く飛んでいった

あのひとの足跡も
ひらりと舞い上がった
慌てて両手でつかまえて
背中に隠したけれど私はすべてを知った

行き ....
yo-yoさんの小川 葉さんおすすめリスト(30)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
再生- 小川 葉自由詩311-7-27
24時間営業- 小川 葉自由詩311-3-24
木漏れ日カメラ- 小川 葉自由詩14*10-5-26
記憶の海から- 小川 葉自由詩809-12-30
空以外の空- 小川 葉自由詩6*08-12-19
椅子- 小川 葉自由詩21*08-11-30
友達- 小川 葉自由詩208-11-24
夜を噛む- 小川 葉自由詩8*08-11-4
手のひら- 小川 葉自由詩708-10-29
人指し指から、お願いします- 小川 葉自由詩12*08-10-20
卓球カフェ- 小川 葉自由詩508-10-14
- 小川 葉自由詩608-10-11
東京タワー- 小川 葉自由詩308-10-6
- 小川 葉自由詩17+*08-9-29
真夜中にダンクシュート- 小川 葉自由詩2*08-9-27
微炭酸- 小川 葉自由詩11*08-9-14
入浴- 小川 葉自由詩608-9-3
世界のしくみ- 小川 葉自由詩6*08-7-31
人間の輪郭- 小川 葉自由詩508-7-8
- 小川 葉自由詩1108-6-18
ジューン・ブラインド- 小川 葉自由詩2*08-6-11
ハム- 小川 葉自由詩308-6-6
むずかしい散歩道- 小川 葉自由詩1108-5-1
野球観戦- 小川 葉自由詩1208-4-15
キャベツのしくみ- 小川 葉自由詩908-4-4
おかわり- 小川 葉自由詩408-3-14
ため息- 小川 葉自由詩607-9-12
- 小川 葉自由詩307-9-12
錯覚- 小川 葉自由詩707-9-8
足跡- 小川 葉自由詩1107-6-1

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