すべてのおすすめ
パンのみにいくるにあらずとパンなしではしんでしまいますよ
数えれば29個も
もっと切ってひらいてつまんでいけばたくさんの
おれを連ねてきたものだなあ
たてに
たてだけにかさねて
....
折りたたまれてゆく季節は
いつか振り返れば
一瞬なのかもしれない
湧きいずる水におされて
いま
雲母のいちまいが
なめらかに遠ざかる
使いきれなかったノートの白さ
描ききれなか ....
指一本動かないほど疲れきって眠りに落ちる時に
おっぱいのことを考えているのは誰だ
泥のように眠りながら夢の中でも
おっぱいのことを考えているのは誰だ
朝起きてなによりもまず最初に
お ....
いまここに
来たるべき夜の紺青は
誰しもの
奥深くに眠る
逃れられない
悲哀の色をして
春はいつのときも
悲しみ覚えたかたちを
おぼろに映すから
すこし涙もろくなる
さ ....
カマンベールを食べ
ロゼワインを飲む
ガラスのように
砕けそうな心
つまらない事に感動し
つまらない事に涙して
耳元でささやいて
つぶやいて
ありがとうは
心の潤滑油
笑顔 ....
冴え渡り 裸木連なる砂大路
赤下駄の大小 足跡は縄目模様
指しゃぶり 零れた涙は飴玉
頬拭う唇は 紅汚れ残し
「母様は水底に嫁いで去った」
有明月 呑み込み 囁く
....
折れた枯れ枝に添ったまま
消えていく水時計を持つ土色の葉
陽射しを後にした地の床への風くぐり
通りの方から聴こえる小声
渓谷は乾き こぼれた石
切れた羽に 埋め込まれ
飛ぶ ....
すくわれた
一匹の蜜蜂の羽音
渇いた微風にそよいだ
草木の乱れ
鋭い鎌をたずさえた
物を乞う義足の少年
まちかまえる
一頭の蝶の不確実な飛翔
その美しい軌道
転々と巡礼を続ける修行僧 ....
喉が渇いたので
駅のホームのキオスクで買った
「苺ミルク」の蓋にストローを差し
口に{ルビ銜=くわ}えて吸っていると
隣に座る
野球帽にジャージ姿のおじさんが
じぃ〜っとこ ....
わたしがメキシコへ行くのなら
まずメキシコを思います
わたしが右へ行くのなら
まず右を向いてみます
行きたいところがあるのなら
行きたいところを思います
....
たくさんの花を枯らした
サボテンやアロエも枯らしたし
ケフィアやカスピ海ヨーグルトも駄目にした
それでも命は大切にしなければならないからと
小さな虫はその形や色が嫌いでも
なるべく殺さず ....
私はここにいたんですよ
時にはそっと問題を解くけれど
街灯が点いたり消えたりするから
羽のように笑っています
千切れた場所を見せびらかして
添い寝に意味なんてないのに
ベッドはやたら飾 ....
やまない雨は無いけれど
曇らない空も無いんだね
だから天気予報は当てにならない
明けない夜は無いけれど
暮れない昼も無いんだね
だから光が必要なんだ
悲しいなんて言わな ....
裏庭で流木を見つけました。
流木なので、
どこからか流れて、
どこからかこの庭に、
流れ着いたのでしょう。
流木はぐっしょり濡れていて、
近づくと強い潮 ....
長い年月を波に洗われて打ち上げられた
流木のように古びた椅子に座っている
おまえがいるだけだった
正午の青空のした 影もなく
呼吸さえ 受動で
降りかかる陽射しに ....
今から進む時間の中
時計の針は常に右回りでまわりつずける
嘘ついて傷ついた僕の肉体は
ボロボロになって間接がギシギシと
不気味な機会音と共に鈍く動く
ヒカリの ....
あの子はとても臆病
電車に乗ることすら
躊躇してしまう
きっと
知らない世界に行ってしまうに違いないわ、なんて
あの子はとても臆病
食わず嫌いばっかりして
チョコレートは ....
{引用=
雪睫毛、って言葉を
貴方に送る手紙の冒頭に書きたくなって
意味も勿論分からないままに
便箋を箪笥から出してきました
}
「雪睫毛」
二〇〇六年 十二月 三十一日 大 ....
誰かが結び目をほどくように
この世からすべての母はいなくなってしまった
それからというもの
わたしたちはわたしたちのてのひらに
なにかしら母と呼べる物を乗せ
黄昏の明かりにそれらをかざし ....
切れかけた灯が点滅して
夜の空気をざわめかせている
人もまばらな公園で
赤く染まった爪先が
あなたの頬を蹴りつけた
ちらちらと瞬く安い灯りは
薄暗く二人を纏う
その中で白く浮かぶ ....
見つめ合って私ではないのがあなたです
目が覚めて一言目
やさしく囁いた
青い夢を見ていた気がする
一日の始まりに飲む苦いコーヒーが
私の中に少しずつたまっていく
あなた ....
最初の一口は甘く冷たいらしく
あなたは舌の先を上手に使って
丁寧に私を舐めるけど
どこまでも続くバニラ味に
途中であなたは飽き飽きし
コーンをかじってしばらくすると
....
ここに
太鼓がある
太鼓は
太鼓の皮と胴があって
バチで叩く
皮だけでは
太鼓にならない
胴だけでも
太鼓にならない
太鼓の音は
どこからするのだろう
白い春の夕暮れ
浅い眩暈が意識を通過する
柔らかな距離がゆるやかに傾き
西に沈む誰かの声 遠い声
傍らの抽斗の中で
淡い儀式の記憶が疼く
それはやはりある春の夕暮れの
古い棟のうらさ ....
ターミナルに出ると
うす青い空が広がっている
通りは車で渋滞していて
そのまんなかでは 赤信号が
意味をさがしながら
点滅する
帰らなければ、と漠然とおもっていた
帰ろうとするその方角を ....
ガタンゴ トン
漁港に 差し込む陽
水面の 強烈な色彩は
青 深い 青
ゴトンガ タン
流れる 風
一戸建て 時々 市営住宅
人々の思惑 息遣い
カ ....
何者かが
爪を立てて
音もなく乱暴に
青い森を切り裂いていく
静けさの魔性を駆逐して
さざめく命の連続性を絶とうと
想像の上に生きてきた魔獣が
眼を覚ましたのだ
そ ....
国道を利根川の河川敷にむかって歩いた
あそこで彼女と連れションして葉っぱでふいたりしたことを
いま
しみじみとおもいだしている
腕の中には死んだタヌキ
わたしたちは
それを埋めたかった ....
何を書きたいのか忘れてしまった
....
手をつないで
深いところまで、いってしまった
引いてゆくまにまに
記憶の砂がすれあっては
かすかに音をたてる
ノートブックの波に
毎日つづった、日記
夕立ちをよけて、キスをして、 ....
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